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【札幌市東区】さとらんどで、北海道の農業のすごさを感じた!「丘珠まるしぇ」

ゆべーる地域クリエイター(札幌市)

北海道の農業について、少し考える。

北海道の農産物の特徴とはなんでしょうか。夏の間の日照時間の長さと寒暖の差に起因する、糖度が高めで、旨味成分も強いもの、つまり美味しい!というのは間違いないと思います。

と同時に、北海道の農業、また食糧産業全体の成り立ちの特徴も、風味に大きな影響があると思います。どういうことでしょうか?そのあたりは北海道フードマイスターとして、ずっと考えているところでもあります。

北海道の農業、食糧産業は、まさに日本の生活を支えている巨大な基幹産業だという側面を見逃すわけにもいきません。

日本のジャガイモの約80%、そのほかにも玉ねぎ、かぼちゃ、アスパラガス、とうもろこしなどは日本一の生産量でトマトは2位、百合根やわさび大根は北海道のみです。穀物まで入れると、コメこそ2位ですが、小麦やそばなどは1位。フルーツでもいくつかは国内では北海道のみ収穫されるもの、重要な産地であるものがたくさんあります。まさに北海道は圧倒的な日本最大の食糧基地ですね。

そこまでの規模を達成する上で、北海道の農業は極めて組織化されているのが大きな特徴だと思います。ホクレンや大手の食品メーカーとの関係、明治以来導入されて来たアメリカ式の効率の良い生産方式。石炭産業後の北海道の農業は、漁業などと共にフードの形で日本のエネルギーを支えているのではないでしょうか?

余談ですが、北海道では観光資源となっている花畑も、多くは決して単なる鑑賞用ではなく、農業に深く関わった上での風景であるのも特徴だと思います。ほんの一例をあげると、北竜のひまわり畑は食用油メーカー、美瑛のジャガイモの花はポテトチップスメーカーとそれぞれ提携し、安平の菜の花は独自の生産組合によってオイルに。とそれぞれ農作物生産の嬉しい副産物です。(かつては富良野のラベンダーも観賞用ではなく香料産業のためでした。)農業が北海道の景観、そして観光資源の多くを形成していると言えます。北海道を形成する農業と観光の関係はまた追求したいテーマです。

安平の菜の花畑 2022年
安平の菜の花畑 2022年

日本の基幹産業としての北海道の農業と、ファーマーズマーケットの関係。

そうした一般的に高度に組織化された北海道の農業において、一見そこから外れるようにも見えるファーマーズマーケットの意義とはなんだろう?と思っていました。

伝統的な朝市やマーケットはそれ自体が地産地消の組合である場合が多い。

多くの本州の朝市やファーマーズマーケットでは、本当にこだわりが強い生産者、あるいは伝統的な製法にこだわる生産者が流通経路を通さず、地元の野菜や果物を、地元の人や地元に来た観光客に対面販売しているという面が強いのではないかと思います。

例えば、私が仕事上で比較的よく知っている高山市の宮川朝市などは、そうした地産地消、そして地域に観光客が来てもらうという強い生産者の思いの下運営されています。

北海道の農業には、全国への食糧供給という大きな役目がある。

一方、北海道の農業にはかつての石炭産業のように、地産地消だけではなく、日本全体(あるいはもっと大きな規模の)のいわば食糧工場としての役目が期待されている部分も多いのではないでしょうか?それらは主に直販ではなく、流通経路を通して販売されます。その時に必要な事は、安定した品質を安定した量で提供できる事ではないでしょうか。十勝の幾何学的な小麦やとうもろこし畑はきれいですが、それはトラクターできちんと効率よく収穫するための不断の品種改良、上質なマスプロダクトに対しての努力が行われて来た結果ともいえるでしょう。もちろん日本中の絶対の安心を得るために安全でなくてはならない。この、安心安全かつ安定した品質というものが、糖度や旨味が秀逸という点と並んで、北海道の農産物の大きな特徴であると思います。

語弊はありますが、本州のいろいろな地域で行われている伝統野菜ですと、そもそも流通量も多くなく希少価値があり直販が主体だとすると、その野菜の形が若干収穫しづらい形であってもさほど問題にならないでしょうが、北海道ではそうは行きません。

それでは北海道で開催されるファーマーズマーケットがあるのならば、それはどういったものなのか?いわば流通経路を通して大規模な販売をするための北海道式の農業と、流通経路を介さない直販のファーマーズマーケットは、存在意義が矛盾しているのではないのか?両立できるか?

北海道のファーマーズマーケットの意義を確認して来た。

という時に、ちょうど8/26に「丘珠まるしぇ Sapporo Farmers Market POROKET」に行って来ました。ここが「ハワイのKCCみたいなマーケットをやりたい」という希望を持ってテストを始めたと聞いたので、ちょうど良い機会です。

このKCCをマネージするのはハワイ州の農業、あるいはアメリカ農業全体に関係する組織。大きな視点で農業を考えつつどうやってファーマーズマーケットを維持しているのか、きっと北海道の参考になりそうなところも多いと思います。

というわけで、さとらんどに行きました。

さとらんどは酷暑なれど日陰に入れば風がまだ気持ちよく、なんとか過ごせましたよ。

さとらんど交流館に行きます。早速かわいいトラックがお目見え。キッチンカー?と思いきや、この「丘珠まるしぇ」のプロモーションですね。これは良い。

まずは腹ごしらえ。

少し早めについてしまいましたが、そこにはなんだか美味しそうなフライドポテトの、今度は本当のキッチンカー!

浜厚真の人気のキッチンカー「zzz365 ジージーサンロクゴ」さん。十勝の熟成されたポテトがめちゃくちゃ甘い!そしてスパイスが効いています(スパイスドリームというメニューをオーダーしました)。そして小林農園の平飼いの卵から作った自家製マヨネーズが深い。レモネードも快適。良いスタートを切れました。

ファーマーズブースで爆買い。

今回の屋外は、前田農園(石狩)さん、武田農園(白石区)さん、さん+あーす(北区)さん、ファーム成田(北区)さん、の4ブースです。

登録そのものは20件ほどの農家があるのですが、今回は酷暑のせいもあるのか出店は少なめ。それでも私は冒頭の写真にあるような袋詰200円のミニトマトや、巨大なズッキーニ、そして枝豆など、かなり購入しました。

どちらの農家さんも「いやー不揃いで出荷できなくてね、でも味はなんも変わらないのさ」「このじゃがいもは、ショベルでちょっとひっかいてしまったから出荷できないから、ここに持って来たよ」「ちょっと大きさが足らなくてね」などと教えてくれます。

袋詰めのミニトマトを少し控えめに入れていると、「袋ビチビチまで持っていって!どうせここで売れないと行き場がないのさ」と私の袋を取り上げて閉めることができないほど詰め込んでくれました。これがめちゃくちゃ甘い!高価で販売しているミニトマトとなんら変わらないどころか更に甘い!つまりもう熟しまくっているからです。黄色と赤の色の違いもはっきりわかる。なんて贅沢な200円。

そうか!食糧基地北海道のファーマーズマーケットは、規格外など出荷できないものを(すべてではないにせよ)引き受けることによって成立する、つまり、きちんと食糧工場北海道を補完する存在なんですね。

どうしても日本の文化として、味だけではなく見た目が要求される(贈答品として使う場合は特に)なのですが、そこにこだわらなければファーマーズマーケットを通して良い品物が安く手に入るのです。いわば巨大食糧工場ともいえる北海道のファーマーズマーケットは、農産物のアウトレットモールみたいな相互補完関係ですね。

これは立派な存在意義ですね。このファーマーズマーケットをどんどん活性化して、私たちは北海道の美味しい野菜や果物を格安で手に入れることができるようになると、農家の方々も流通経路に載せられない食材を活用できます。フードロス解消にもなりますね。

食糧基地・北海道の農業にとって、ファーマーズマーケットは農家と消費者をアシストする強力な武器だと理解できました。

では、本質を理解できたところでBBQ。

たった1,000円でBBQスペースを貸してくれます。かご、くし、包丁などもついています。

食材の購入場所は屋外のファーマーズブースの他、さとらんど交流館の屋内にも多数の出店がありますよ。

さっそく食べてみたら、いやー炭で焼いた野菜、特にズッキーニは最高です!もちろんお肉もありますよ!

シェフゾーンのブランチも体験。

さとらんど交流館とは徒歩15分ほど離れていますが、さとらんどセンターの2階テラスにて、事前予約制で朝採れ野菜などをふんだんに使ったシェフによるブランチも楽しめるとの事で行って来ました。開催時間などはこちらを確認くださいね。

今回は美味しいコーンスープや野菜ビュッフェの後、こだわりのチキンや鹿肉や野菜などのプレート。特に鹿肉は美味しいです。そしてマッシュポテトが最高でした。(シェフは毎回変わります。)

個人的にはナチュラルワインが出ていて良かった笑

カタロニアのオレンジワイン。ブドウ品種はマカベオ100%。紅茶やグレープフルーツのような味わいで、ズッキーニやえのきだけとの相性が抜群でしたよ。

オーストラリアのロゼ、ブドウ品種はマタロ主体。そこにカベルネフランなどを追加したもので、結構スパイシーな味わいもしました。これは鹿肉と抜群でしたね。

そして札幌のクラフトビアの新星、STREETLIGHT BREWINGのWhat the Hell。ホップが重厚!

まとめと振り返り。

このファーマーズマーケットを観察していると、うーん、なるほど、本州などの徹底的な地産地消のこだわりマーケットとは少し違い、本来メジャーな物流に載せるべき野菜が規格外などになってしまったものなどを直接販売する場所として活用する未来が見えて来ました。

もちろん味は素晴らしい。ぜひ地元のクラフトビアや、今度は北海道のビオ(オーガニック)意識が高く国際的に競争力のあるワインなどと共に、北海道の野菜を中心に果物やお肉、チーズなども含めて味わう機会を増やしたいですね!

丘珠まるしぇ Sapporo Farmers Market POROKET

メイン会場:サッポロさとらんど交流館

住所:北海道札幌市東区丘珠町519-1(さとらんど交流館)

開催時期:2023/9末まで

開催曜日:土曜日のみ

開催時間:10:00-16:00

必ず公式サイトで情報を確認の上、お出かけくださいね。

公式サイトは。こちら

サブ会場として、Jファーム直売所ピリカにて「丘珠ミニまるしぇ」も開催。
開催期間や時間、定休日は公式サイトをご確認ください。

バス移動時の注意:中央バス東76が土日祝限定でさとらんどに停車しますが、北34条駅を9:20-13:20に出発するバスしか止まりません。またさとらんど停留場はさとらんど交流センターから徒歩15分ほどかかる場所にあります。距離的には丘珠中バス停下車とあまり変わらないようです。

地域クリエイター(札幌市)

通訳案内士(全国&札幌)、そしてライターや町おこし組織の認定ガイドとして、いつも札幌市内の出来事やおすすめ情報を探しに歩いてます。コーヒーショップ、ワイン、レストランなどが大好き。またホルン奏者でもあります。

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