【ニセコ】イチイチキッチン/ドイツ発カナダ流の精巧な調理工学的デリシャスランチを週末のお楽しみに!
みなさまこんにちは、ニセコの多国籍料理ライター伊達千歳です。
本日は、イチイチキッチン(ichi ichi kitchen)というレストランを紹介します。
最初はちょっと入りづらかったのですが、空いている時間帯を見つけて飛び込んでみると、そこはお皿の上のユートピア。
雰囲気にのまれて立ち寄らないのはあまりにもったいない。
この感動を、ぜひ分かち合いたく記事にしました。
【ニセコ】イチイチキッチン/羊蹄山ビューの綺麗なお店
ニセコ周辺をドライブしていると、この建物を見かけることはありませんか?
2021年4月にオープンした、新しいお店「イチイチキッチン」。
以前はチーズ専門店でしたが、移転したため、現在はレストランに変わっています。
以前のチーズ店には何度か足を運んだものですが、改めて入店してみると、全面リニューアルしてとても綺麗になっていました。
明るく開放的で、夏季の晴れの日には屋外席に食事を運んでもらえます。
もちろん羊蹄山ビュー。
お客さんが外国籍の方ばかりのこともありますが、店員さんがとても丁寧で、あたたかく親身に接客してくれる方。
入り口に近づいたあたりからだいたいわかるんですよね、「インターナショナルな雰囲気」が。漂う空気が日本語じゃないんです。
そのあたりを察してか、夏季のお店の入り口のドアは「どうぞ気軽に入ってね」と開けっ放しになっていて、地元の一般ピープルの私でも臆することなく入店することが可能でした。
このあたり、シャイな日本人のハートを理解してくれているなあ、と思います。
【ニセコ】イチイチキッチン/アーティスティック!インスピレーション!クリエイティブ!インターナショナルうぅう!
メニュー表にはカタカナが多い上に見慣れない料理や材料の名前も多く、最初とまどってしまう人もいるかもしれません。
ですが店員さんも慣れっこの様子で内容を説明してくれるので、ちんぷんかんぷんのお客をどうどうと優しくなだめてくれます。
日本語メニューなのに「ハンバーガー」しか読み取れなかった私も、この日は「エッグベネディクト(税込1760円)」を無事にオーダーすることができました(笑)。
で、出てきた料理がこのとおりですよ。どこから食べたらわからないくらい美しい。
これ料理ですか?絵画の間違いでは?絵の具って食べられたんだっけ?と、一瞬本気で考えてしまったくらいの芸術的なお皿の風景。
このお店のエッグベネディクトは、自家製イングリッシュマフィンというパンの半分ずつに、しあわせたまごポーチドエッグ、スモークハム orスモークサーモン(選択可)を乗せ、グリーンソテー、オランデーズソースを絡めた料理。
……と、メニュー表には書いてあるのですが、上記の画像、私これ実際にお皿の上で見た時はフレッシュチーズ的な何かだと思ったのですよ。
それくらいしっかりした立体感があってやわらかそうで質感もありそうで、ぷるぷると震えていたくらいだったのですよ。それが実は、
半熟たまごなんですよ?!
あの外観で、「ああこれ生クリームだおいしそういただきまーす」と思ってざくっとスプーンを入れたとたんに勢いよく流出するとろとろの黄身。私悪くない。
サーモンもポテトも野菜ももれなくおいしく食べ進めていったのですが、その真骨頂は最後のエッグマフィン。
それまでにソースや卵の黄身、サーモンの脂などがしっかりとしみ込み、マフィンが各種うまみ成分を吸収して最高に美味しく成長した絶妙のタイミングで、お客さんが食べごろに育ったマフィンとランデブーできるようになっているのです。
お客さんが料理を進めていく時間と、上に乗せた具が解体されてマフィンにしみこむ時間を計算して両者を完璧に合流させるという離れ技。
まさに芸術というか、もう魔術的なものを感じました。
こちらはシェフのおすすめプレート(1760円)で、この日はパスタでした。
スープが先に出されるのですが、ハーブが使われていて、これがまた今まで味わったことがない美味しさと発想。
このハーブ、ピリリと舌を刺激する味で、味覚としては「辛み」を感じます。
私たちになじみのある辛みは唐辛子やわさびが主ですが、痛覚や温度覚を刺激する味という点ではこのハーブも全く同じ。
が、より純粋に舌の痛覚を鋭利に刺激され、なじみのある東洋的な辛みとはまったく別の角度からの辛みで、いうなれば「西洋経由の辛み」。
何か、直接痛覚を刺激されることにより感じる辛みという感じで、同じ刺激による味でも、アプローチの方法に洋の東西があるんだな、と衝撃を受けました。
パスタは幅広の平麺で、なんと同じハーブが練りこまれています。
トマトソースの中に小粒のミートボールが隠れていて、肉がよく詰まっていて、ぎゅっぎゅっと噛みしめると美味しかった。
料理のひとつひとつに緻密な計算に基づいた工夫やサプライズが施されていて、閃きや芸術的な感覚とはまた別の、「調理工学」「調理数学」的なものを、料理を通して感じました。
こちらのシェフはドイツ生まれのカナダ国籍というインターナショナルな方で、穏やかな印象の男性でした。
世界の工業大国ドイツ出身のシェフ……なるほど、と、どこか納得する自分がおりました。
【ニセコ】イチイチキッチン/メニュー一覧表
木・金・土のランチメニューは以下のとおり。
日曜日は「ブランチメニュー」となっております。
ブランチは、朝昼兼用という意味でいいのかな?
エッグベネディクトは日曜日限定のようです。
ビーガン、ベジタリアン、グルテンフリーのオプションもOK。
ディナーメニューもありますが、コースは3300円からとなっております。
飲物も充実してますよ。
【ニセコ】イチイチキッチン/心の国境の壁を越えてここのランチにたどりつこう
ところで店舗に大きく掲げられているこの看板に描かれている、にっこり微笑んでいる可愛らしいお子さんのイラスト。
こちら、実はシェフの息子さんの似顔絵イラストなのです。
そうです、女の子ではなく男の子。
時々厨房の近くで見かけますが、元気で愛らしいお子さんです。
シェフの家族愛が感じられてほっこりします。
素晴らしいランチをいただくために、ぜひ国境の壁を越えてください!