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【100カ国以上で放送!!】世界中で愛されるスーパー戦隊シリーズの魅力とは?

二重作昌満博士(文学)/PhD(literature)

こんにちは!

文学博士の二重作昌満(ふたえさく まさみつ)です。

立春が過ぎ、少しずつ春への期待が高まる今日この頃、

皆様いかがお過ごしでしょうか?

さて、今回のお話のテーマは「スーパー戦隊シリーズ」です!!

皆様は、スーパー戦隊シリーズはご覧になったことはありますか?

スーパー戦隊シリーズとは、カラフルなコスチュームを着た5人のヒーロー達がチームとなって悪の組織と戦う内容で、漫画家・石ノ森章太郎先生と八手三郎先生原作による東映制作の特撮ヒーロー番組です。

「獣電戦隊キョウリュウジャー(2013)」(筆者撮影)
「獣電戦隊キョウリュウジャー(2013)」(筆者撮影)

シリーズ第1作『秘密戦隊ゴレンジャー』が1975年に放送が開始されて以降、『太陽戦隊サンバルカン(1981)』、『恐竜戦隊ジュウレンジャー(1992)』、『忍風戦隊ハリケンジャー(2002)』、『海賊戦隊ゴーカイジャー(2011)』、『獣電戦隊キョウリュウジャー(2013)』等々、シリーズは続いて行き、最新作『王様戦隊キングオージャー(2023)』まで全47作品がこれまで制作されてきました。

「キングオージャー」より玩具DXキングオージャー(筆者撮影)
「キングオージャー」より玩具DXキングオージャー(筆者撮影)

このように半世紀に渡って制作され続けたスーパー戦隊シリーズは、今やウルトラマンシリーズや仮面ライダーシリーズと並び、日本を代表する特撮ヒーロー番組として、現在も地球の平和のために戦い続けています。

さて、そんな世代を超えて愛されるスーパー戦隊シリーズですが、現在100カ国以上の国々で放送されていることをご存知でしょうか?

台湾や香港等のアジア圏を訪れると、コンビニや専門店で玩具や本がたくさん売っている、

台湾・香港で発売されたスーパー戦隊関連商品(筆者撮影)
台湾・香港で発売されたスーパー戦隊関連商品(筆者撮影)

アメリカを訪れると、レコード店でスーパー戦隊シリーズのDVDがずらりと並んでいる、

米国版スーパー戦隊DVD(筆者撮影)
米国版スーパー戦隊DVD(筆者撮影)

・・・等々、日本で暮らしていると「そうだったのか!」と思える発見が、海外ではたくさんあります。そこで本記事では、日本からアメリカへと活躍するスーパー戦隊シリーズに焦点を当て、彼らは現地でどのような形で受け入れられているのかについて、私の体験談も交えながらお話ししたいと思います。

※本記事ですが、「スーパー戦隊シリーズを観たことがないわ」という皆様のために、概要的にお話をしております。お好きな物を片手に、ゆっくりご覧頂けますと幸いです。

おもちゃを巡る喧嘩で警察が出動?!バンダイが世界最大の玩具会社の一員になった背景とは?

スーパー戦隊シリーズが米国へと進出したのは1993年のこと。シリーズ第16作『恐竜戦隊ジュウレンジャー(1992)』をベースに、“Mighty Morphin Power Rangers(マイティ・モーフィン・パワーレンジャー)”と題して、ロサンゼルスやニューヨークの大都市圏で月曜日から金曜日にかけて午後3時からレギュラー番組として放送されました。

パワーレンジャー(筆者撮影)
パワーレンジャー(筆者撮影)

本作は北米で放送されると爆発的なヒットを巻き起こし、トイザらスやウォルマートといった玩具取扱店舗では玩具が売り切れ、生産が追いつかない状態となったほか、品薄となった玩具の取り合いで客同士の喧嘩が起こり、警察が出動する騒動にまで発展したのだとか。

本作の玩具を販売していたのが、皆様ご存知の玩具大手メーカーであるバンダイ。同社のアメリカ子会社は、1994年の1年間でフィギュアを1800万体で10億ドル売り上げたほか、このパワーレンジャーブームにより同年のアメリカ玩具市場は164億ドルの過去最高を記録しました。

このアメリカの玩具市場最大のヒットにより、アメリカではほんの小さな会社にすぎなかったバンダイが、世界最大といわれる玩具会社の一員となるに至りました。

米国版「手裏剣戦隊ニンニンジャー」関連玩具(筆者撮影)
米国版「手裏剣戦隊ニンニンジャー」関連玩具(筆者撮影)

アメリカでのパワーレンジャーの爆発的なヒットは、その後パワーレンジャーのシリーズ化と共に、日本の玩具メーカーであるバンダイを一躍世界的な企業にした上、その後もバンダイは2018年に当シリーズの玩具の製造権を別会社に手渡すまで、様々な関連商品を米国市場にて販売していくこととなります。

ここからは私の体験談ですが、コロナ前まで米国のハワイ州・オアフ島にてロングステイする機会が度々ありました。私もスーパー戦隊シリーズの大ファンなので、パワーレンジャーのグッズを探しにアラモアナショッピングセンターやウォルマート等の大型商業施設やスーパーへ向かうこともよくありました。中でもパワーレンジャー関連玩具は定番かつ人気商品のようで、5人揃えた形で買えた機会はほとんどなかった上に、日本では売れない悪役のフィギュアもすぐになくなる、玩具を持って店内を歩いていたら「その人形はどこで売っていたの?」と尋ねられ、答えるとそのエリアに向かってお母様・お兄様達が走って行く・・という光景に出会すこともしばしばでした・・。

米国版「獣電戦隊キョウリュウジャー」より悪役玩具(筆者撮影)
米国版「獣電戦隊キョウリュウジャー」より悪役玩具(筆者撮影)

その上、日本では新商品の発売日は○月○日といった具合に、一部地域を除いて発売日が全国統一されているのに対し、アメリカは国土も広い上に州によって商品の入荷・発売日が異なっていたりとコレクター泣かせでした。「海外でのお買い物は一期一会」を、パワーレンジャーを通じて痛感したのは、良い思い出です(泣)。

【ディズニーパークスで大アバレ!!】スーパー戦隊シリーズがミッキーマウス達と肩を並べた背景とは?

さて、『マイティ・モーフィン・パワーレンジャー』が放送されて以降、爆発的なヒットを記録した本作ですが、本作は日本と同様に着ぐるみを使ったアトラクションショーも開催されました。日本でのアトラクションショーとなると、東京ドームシティアトラクションズのような遊園地や、大型ショッピングセンター等のレジャー施設で行なわれることが多いですが、アメリカではユニバーサル・スタジオやディズニーパーク等のテーマパークにて、数多くのパワーレンジャーのショーが開催されました。

「なんでディズニーにパワーレンジャーがいるの?」

・・・正直、私も同意見です。実はこの背景には権利の事情がありました。実は、アジア以外でのパワーレンジャーシリーズの放送権利が、2002年から2011年まで、ウォルト・ディズニー・カンパニーが所有していたことが背景にあります。その期間、パワーレンジャーはフロリダ州のウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート内にあるテーマパーク「ディズニーMGMスタジオ(現在のディズニー・ハリウッド・スタジオ)」内のパレードに出演したり、ディズニーストアでもアクションフィギュアが販売されていた時期がありました。

ディズニー時代のパワーレンジャー関連玩具(筆者撮影)
ディズニー時代のパワーレンジャー関連玩具(筆者撮影)

2011年にディズニーが権利を手放して以降、パワーレンジャー達はディズニーパーク及びストアから姿を消しました・・・と言いたいところですが、実はディズニーがパワーレンジャーの権利を手放した後も、フロリダのウォルトディズニーワールド内の一部パークでは、パワーレンジャー達とばったり遭遇する機会もありました。2014年にディズニーハリウッドスタジオを訪れた際、パワーレンジャーの映画(Mighty Morphin Power Rangers: The Movie)の撮影で使用されたイエローとピンクの着ぐるみが展示されたり、エプコットセンターの日本館では『海賊戦隊ゴーカイジャー(Power Rangers Super Megaforce)』のおもちゃが大人買いできたりと、もう会えないと思っていたので嬉しかったですね・・・。

米国版「海賊戦隊ゴーカイジャー」関連玩具(筆者撮影)
米国版「海賊戦隊ゴーカイジャー」関連玩具(筆者撮影)

Walt Disney World Resort
・住所:1482 E Buena Vista Dr, Lake Buena Vista, FL 32830
・電話番号:+1 407-938-9653
・公式サイト:https://disneyworld.disney.go.com/(外部リンク)

※権利の問題でパーク内の写真は掲載できません。ごめんなさい!

アメリカではファンもアクティブ?自分達でイベントをつくっちゃった?!

日本では、特定の対象に対して熱狂的な人達を「ファン」や「マニア」、はたまた「オタク」等と呼んだりしますが、アメリカでも勿論、ファンやマニアの方は大勢いらっしゃいます。

しかしながら、アメリカにいるファンの特徴的な点は、「自分達でイベントを創作する」ことに、かなり積極的であることが挙げられます。

アメリカでは、東京ドームシティのように毎週ヒーローショーを行なう施設はありません。その代わりに、「パワーモフィコン(Power Morphicon)」と呼ばれる、パワーレンジャーだけの催事が2007年以降、カリフォルニア州のアナハイムやパサデナといった各都市のコンベンションセンターにて定期的に開催されています。

当イベントですが、主催者はなんとパワーレンジャーのファンの方なのだとか。自ら当イベントを企画し、ロサンゼルスの高級ホテルを貸し切る形での初開催だったと知ると、そのスケールの大きさや行動力に脱帽です・・・。

アメリカのファンの主導で実現したこの「パワーモフィコン」ですが、歴代パワーレンジャーシリーズの出演者の方々によるトークショーのほか、サイン会、イベントオリジナルグッズや玩具等を販売する物販など、多様な催事内容で構成されているんですよ。

次回の開催は2024年に予定されています。現地観光と共に覗いてみたいという方は参加してみてはいかがでしょう?

Power Morphicon
・公式サイト:https://officialpowermorphicon.com/guests-2020/(外部リンク)

いかがでしたか?

日本で暮らしていると「スーパー戦隊シリーズ=子ども向け」の認識をお持ちの方もいらっしゃるかと存じます。しかしながら、アメリカを含めより広大な視点から当シリーズを見てみると、老若男女、国籍を問わず様々な人達から愛されているのが、スーパー戦隊シリーズなのです。

もし本記事を読んで、また自分が幼少期に観ていたスーパー戦隊を観返したくなった、倉庫に閉まってある懐かしのおもちゃでまた遊びたくなったという方が増えて頂けたら幸いです。

きっと「大事にすると、必ず良いことがある」と思いますよ。

(参考文献)
・鈴木武幸、夢(スーパーヒーロー)を追い続ける男、株式会社講談社
・大下英治、仮面ライダーから牙狼へ 渡邊亮徳・日本のキャラクタービジネスを築き上げた男、株式会社竹書房
・坂本浩一、映画監督 坂本浩一全仕事 ウルトラマン・仮面ライダー・スーパー戦隊を手がける稀代の仕事師、株式会社カンゼン
・大場吾郎、テレビ番組海外展開60年史 文化交流とコンテンツビジネスの狭間で、人文書院
・長澤博文・今井智司(ノトーリアス)、「スーパー戦隊の常識 ド派手に行くぜ!レジェンド戦隊篇」、双葉社
・尾上克郎・三池敏夫、「平成25年度メディア芸術情報拠点・コンソーシアム構築事業 日本特撮の関する調査」、森ビル株式会社

この記事を読んで頂き、「海外での日本特撮やアニメ作品の展開に興味を持った」、または「日本でお勧めの特撮やアニメの観光地はどこ?」とお考えの皆様、私の過去の記事やTwitterにて、海外現地での様子や商品展開についてもお話をさせて頂いております。宜しければ、ご覧ください。

【なぜゴジラやガメラはアメリカで支持された?】日本の怪獣映画が受け入れられた知られざる背景とは?(CREATORSサイト)
【その広大さ、パワード級!!】ウルトラマンも訪れた!映画大国・アメリカを冒険してみよう!!(CREATORSサイト)
【春休みの旅先はここで決まり!!】今年は親子3世代で石ノ森萬画館を満喫しよう!4つの石ノ森ポイント!(CREATORSサイト)
【なぜゴジラはアメリカで愛された?】世界へ羽ばたく日本のキャラクター達!!(CREATORSサイト)
【ミッキーと戦隊が米国で共演?!】世界に輝く5つ星!!海外で躍進した日本のスーパー戦隊とは?(CREATORSサイト)
【もっと深くハワイを知りたい♪】日本生まれのスーパースター☆キカイダーって何者?(CREATORSサイト)
Masamitsu Futaesaku Ph.D(Twitter)(外部リンク)

博士(文学)/PhD(literature)

博士(文学)。日本の「特撮(特殊撮影)」作品を誘致資源とした観光「特撮ツーリズム」を提唱し、これまで包括的な研究を実施。国内の各学術学会や、海外を拠点とした国際会議へも精力的に参加。200を超える国内外の特撮・アニメ催事に参加してきた経験を生かし、国内学術会議や国際会議にて日本の特撮・アニメ作品を通じた観光研究を多数発表、数多くの賞を受賞する。国際会議の事務局メンバーのほか、講演、執筆、観光ツアーの企画等、多岐に渡り活動中。東海大学総合社会科学研究所・特任助教。

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