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【日本経済は落ち目ですか?】ChatGPTの意外な回答と、聖徳太子が今にも残す遺産とは?

原田ゆきひろ歴史・文化ライター

ときは平成元年、1989年。

会社の時価総額・世界ランキングの大半は、日本企業が埋め尽くしていました。

とくに家電や半導体といった“メイドイン・ジャパン”は、グローバル市場を席巻。

ハーバード大学教授の、とある社会学者は言いました。

『Japan as NO.1! 』

【1989年・世界時価総額ランキング】※ダイヤモンド社データより引用
【1989年・世界時価総額ランキング】※ダイヤモンド社データより引用

バブル期の栄光は影もなし

しかし2023年現在は、どうでしょうか。

同世界ランキングを、50位まで下ってみますが、日本勢の姿は1つもありません。

そのうえ日本は超高齢化社会であり、

これから人口減少による、労働力の低下も続く見通しです。

こうして見ると、このさき未来にかけても、明るい材料は乏しいように思えます。

【2023年・世界時価総額ランキング】※Wright Investors' Service, Inc.データより引用
【2023年・世界時価総額ランキング】※Wright Investors' Service, Inc.データより引用

ChatGPTが評価する日本経済

そこで、いま流行りのChatGPTに、以下のような問いかけを、

いくつか投げかけてみました。

『日本の経済は、凋落してしまうのですか』

その回答とは?

・・全文では長くなってしまうため、要点を3つにまとめました。

ChatGPT画面
ChatGPT画面
  1. ・様々な課題を抱え、厳しい状況にある。しかし回復を見せている指標もある。
  2. ・日本は優れた技術や人材が存在し、将来的には発展する可能性を秘めている。
  3. ・持続力においては、世界で群を抜いている。

3番目の、持続力。

これは、いま巷で話題の“SDGs”において、サステナビリティというワードで表現されています。

要するに企業は、環境保全や社会活動もしっかり手がけて「長続きする形を目指しましょう」という目標です。

これが“群を抜いている”とは、どういうことでしょうか。

世界トップを独走する指標

今まで“持続力”の点で、日本経済を評価する話は、巷であまり耳にしたことがありません。

そこで、この点を深堀りするべく、さらにAIへ問いかけてみます。

『世界で最も長続きする会社が多い国は、どこですか?』

AIは即答しました。

『日本です』

その理由としては、以下のような回答がありました。

  1. ・日本は創業100年以上の会社が約3万あり、これは世界的に極めて特異。
  2. ・職人文化、縁故や調和を重視、本業重視の保守的な運用、といった特徴がある。
  3. ・長期ビジョンを持つ会社が多く、今後もその傾向が続くと予想される。

なお質問においては誘導しないよう、日本の“に”の字も含めず、入力しています。

ChatGPT画面
ChatGPT画面

ChatGPTはアメリカ企業が開発していますので、

日本びいきのプログラムが組まれていることも、まったく考えられません。

よって、上記は完全に公平な視点での回答と、言えるでしょう。

今にも続く聖徳太子の遺産

さて、ここからはAIとの問答を離れ、現実の視点からお伝えしますが、

実際に「創業年数が長い会社数」のランキングにおいて、日本は世界トップを独走しています。

なかでも、その世界1にして、けた違いの歴史を持つのは株式会社・金剛組(こんごうぐみ)

なんと創業1400年以上を誇り、いまなお健在です。

ときは飛鳥時代。今からさかのぼれば、気の遠くなるような、はるか昔。

聖徳太子が招いた“金剛重光”という宮大工が創業し、

以来、おもに神社仏閣や城郭の建築などを、手がけてきました。

また、失われゆく歴史文化財の復元にも、多大な貢献をしてきた経歴があります。

例えば、今も大阪に存続する、名刹“四天王寺”。

織田信長の焼き討ちや、大坂冬の陣によって何度も焼失しましたが、

歴代の金剛組が、復建を手がけてきました。

まさに日本の伝統や文化を、守ってきた会社とも言えます。

さて、視点を現在に戻し、国や会社にとって、最も大切なことは何でしょうか。

利益や豊かさの創出も大事ですが、何よりそれが続かなければ、意味がありません。

2023年現在、売り上げトップの企業は、アメリカ勢が圧倒的です。

その実力や革新は、大いにリスペクトするべきものですが、

一方で、その数百社のうち過半数は十数年以内に、消滅している事実もあります。

短期的に大きく儲けるのと、小さくても長く儲け続けるのでは、どちらが健全でしょうか。

本当に幸せなこと

AIの回答には、日本企業は保守的な傾向という評価がありました。

これは通常、ネガティブな文脈で使われます。

しかし視点によっては、無用な賭けには打って出ず、

末永く守り続ける、長所と見る事もできるでしょう。

また、社会をあげてSDGsの目標を追う事は、たしかに大切です。

しかし自然を敬いつつ、ともに暮らしてきた日本の文化や歴史を見れば、

これこそ、まさに持続可能な共生社会そのものではないでしょうか。

日本の未来の目標は、必死になって海外に求めずとも、じつは足元に、

私たちの祖先の歩みに、あるのかも知れません。

もちろん改善するべきところは改善し、イノベーションを日本で起こすことも

これから、大いに必要です。

しかし大切なのは、1つの面を見て

「日本もいよいよ2流・3流国だねぇ」などと、嘆くばかりではなく

誇るべき部分は誇り、そして、どのようにすれば本当の意味で豊かになるのか?

ときにはAIのように客観的な視点も借りながら・・しかし最後は私たち人間が

知恵を出し合って、良くして行く姿勢こそ、いちばん大切なことのように思えます。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

歴史・文化ライター

■東京都在住■文化・歴史ライター/取材記者■社会福祉士■古今東西のあらゆる人・モノ・コトを読み解き、分かりやすい表現で書き綴る。趣味は環境音や、世界中の音楽データを集めて聴くこと。鬼滅の刃とドラゴンボールZが大好き■著書『アマゾン川が教えてくれた人生を面白く過ごすための10の人生観』

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