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ニンジンは食べない?10年飼った私が伝えたいウサギの通説の間違い3選

いわさきはるかサイエンスライター
Pixabay

昨年の干支だったことで、ペット人気が高まったウサギ。しかしウサギの生態というのは実はあまり知られておらず、世間でよく言われることでも間違っていることがたくさんあります。そのせいで「思ってたのと違う」と捨てられてしまうウサギも少なくありません。

そこで、10年間にわたりウサギを飼育していた筆者が、間違った通説を指摘するとともに、ウサギのリアルな生態についてご紹介していきます。

ウサギは寂しいと死んでしまう

Pixabay 
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ウサギは野生下だと群れで暮らしているので多頭飼いがいいと思っている方も多いのですが、ウサギの飼育は単頭飼いが基本です。

ウサギは縄張り意識が高い動物なので、相性がよほどよくないと別の個体と暮らすのがストレスになります。オスの場合、縄張り争いから激しいケンカになり命に関わる大ケガをしてしまうケースも少なくありません。

このため「寂しいと死んでしまう」を真に受けて、安易な気持ちで2匹目をお迎えするのは避けておいた方がいいでしょう。とはいえウサギはストレスに弱い生き物なので、ほったらかしにして世話をおろそかにすると体調を崩してしまうのは事実です。寂しがらせないようにたくさん飼うのではなく、1匹にしっかり向き合ってあげる方がウサギはきっと幸せです。

好きな食べ物はニンジン

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ピーターラビットはかじっているニンジンのイメージが強いためか「ウサギの大好物はニンジン」と思われがちです。しかし、実はニンジンはすべてのウサギが好んで食べる食べ物ではありません。

実際私が飼っていたウサギはニンジンを鼻先にちらつかせても全く食べ物と認識してくれませんでした。基本的にウサギは根っこを食べる生き物ではないので、ニンジンの根よりは葉を好みます。

また、ウサギにとってニンジンはあまり栄養的に良い野菜ではないので与え方にも注意が必要です。根の部分であるニンジンは糖質が高すぎますし、葉の部分はカルシウムが多く、尿結石などにつながる恐れがあります。あくまでウサギの主食は牧草にして、ニンジンはおやつ的な位置づけとして与えましょう。多くとも1日5g以内が目安です。

犬猫のように鳴かないから静か

PhotoAC
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ウサギは声帯がないため「鳴けない」のは事実です。ただし、私が飼育した感覚だとあまり静かな動物とはいえないように思います。

興奮すると鼻を鳴らして「ブウブウ」と音を出すこともありますし、怒るとかなり強い力で地団駄を踏みます。ケージ内で地団駄を踏まれるとかなり大きな音が響きます。「出してくれ!」とケージをがしがしかじることも多くなかなかの騒音です。

また部屋で走り回らせると割と足音が響くため、下の階から苦情が入ったという話も聞いたことがあります。鳴き声がないだけであまり静かな動物ではありません。

ウサギは「飼いやすい」動物ではない

ウサギは「鳴き声がしない」「トイレを覚える」「ケージ飼いできる」などの要素からペット初心者向けの動物として扱われることもあります。

しかし、前述の通りそれほど静かな動物ではありませんし、トイレを覚えられない子もいます。ケージ飼いはできますが、運動不足やストレスの解消のためには、ある程度の頻度で部屋の中をお散歩させてあげたいところです。

また犬猫と違い、ウサギはどこの動物病院でも診てもらえるわけではありません。ウサギを飼うときには、犬猫とはまた違った苦労があります。ただ苦労と同じくらい、ウサギにしかないユニークな仕草や、可愛らしさがあるのも事実です。

もしウサギの生態を正しく理解した上で、ウサギと一緒に暮らしたいと思えたら、ぜひお迎えして全力で可愛がってあげてくださいね。

サイエンスライター

保護猫2匹と暮らす理系ライター。猫や犬などペットとして身近な動物の研究をわかりやすく発信します。動物に関する研究は日々進んでいます。最新研究を知っておくと、きっとペットとの生活がより豊かなものになるはず。読めば人も動物もWin-Winになるような記事を書いていきたいと思います。

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