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この小ささで8K ProRes Rawが撮れる、R5とPolarPro Reconが最強な理由

木村ヒデノリテックジャーナリスト/兼業主夫

ついに最強のヘビロテ動画カメラを作ってしまいました。

 テックジャーナリストで兼業主夫のヒデです。今回紹介するPolarProのReconのおかげでとてつもないセットアップが誕生しました。PolarProのフィルターは決して安くないんですよ。でも私はずっと使っていて確実に買って損はない製品だと断言します。そのくらい撮れる映像が変わります。

(参考までに8K ProRes RAWで撮影した動画をアップリました。この際はPolarProのBaseCampを使っています。※追記:2023年11月25日)

まずマットボックスってなんだろう?

 専門的な説明は割愛しますが、マットボックスには主に3つの機能があります。まず上部についている板状の蓋で太陽光が直接レンズの中に入ってしまうのを防ぎます。こうすると画全体が白っぽくなってしまうのが軽減されます。

前方の板を映り込まない位置まで下げることで、夕方など太陽が低い状況でも画が白っぽくなるのが防げる
前方の板を映り込まない位置まで下げることで、夕方など太陽が低い状況でも画が白っぽくなるのが防げる

 次に巨大なレンズカバーの部分で周囲から入ってくる光を抑えることで画のコントラストが上がります。例えば青天時葉っぱの緑色が低くなってしまう、という画質の低下を防いでくれます。

レンズが剥き出しだと周囲からかなり光が入ってしまい、結果色が淡くなるなど画質が落ちてしまう
レンズが剥き出しだと周囲からかなり光が入ってしまい、結果色が淡くなるなど画質が落ちてしまう

 最後はマットボックスを装着することでさまざまなフィルターが着脱しやすくなることです。通常フィルターはレンズの先端に捩じ込まなければならず、リズムよく撮影したい際には支障になります。

ReconはマットボックスやVNDフィルターを取り外さず前からワンタッチでさまざまなエフェクトフィルターがつけられる
ReconはマットボックスやVNDフィルターを取り外さず前からワンタッチでさまざまなエフェクトフィルターがつけられる

マットボックスをつけたままVNDの数値調整できるのもGOOD
マットボックスをつけたままVNDの数値調整できるのもGOOD

 このデメリットを最大限まで簡単、ワンタッチにし、サイズも小さく、マットボックスと板を含めてもなんと200g以下と驚異の軽量サイズ。ただでさえこうしたミラーレスタイプの動画機材は大きくなりがちなので、この小ささで各種フィルターやVNDが使えるのは革命的です。

この機能性でこの軽量、サイズ感は他にない選択肢
この機能性でこの軽量、サイズ感は他にない選択肢

ReconとBaseCampがあるが、持ち運びを考えるならReconが断然おすすめ

 PolarProの製品には今までも販売されていたBaseCampやNano、SUMIITというマットボックス製品があります。違いは丸いCP(偏光フィルター)に四角いNDフィルターを刺して使う点です。このフィルターにはソフトグラディエントと言って、上部だけ濃く、下は透明といった選択肢もあるのでできることはReconより多いですが、どちらかというと静止画に向いています。

 BaseCampは動画にも向いていますが、やや大型になってしまいますので多機能ですが嵩張ります。NanoはSONYのFX30のような小さな筐体に使えばジンバルも小さくできるメリットがあります。

 それぞれの特徴があってどれも欲しくなってしまいますが、今回は「最高画質で最小」ということなのでReconがベストだと思います。

43-82mmアダプタでRF最小優秀レンズにも使える

 この軽量さを最大限活かすためには、レンズ選びも重要だ。Reconは43-82mmのステップアップリングを付けることでRF50mm F1.8 STMやRF16mm F2.8 STMレンズにも使えます。この2つはどちらも165g程度とかなりコンパクトな上に、F値も明るい。さらに口径も同じなので同じステップアップリングを共用できる点が非常に便利です。

こんなにコンパクトなレンズ2本だけでほぼ全てのシチュエーションを撮れるのは他にない、しかも8K ProRes RAWで...
こんなにコンパクトなレンズ2本だけでほぼ全てのシチュエーションを撮れるのは他にない、しかも8K ProRes RAWで...

バラすとこんなイメージ
バラすとこんなイメージ

 マクロも撮りたい方はRF35mm F1.8 Macro IS STMを追加してもいいんですが、こちらは口径が違う上に少々重いので撮る作品にマクロが多くなければ50mm と16mmで十分かなという印象でした。

このサイズ、使い勝手で8K ProRes RAWが撮れるのはReconのおかげ

 もちろんマイクロフォーサーズ機を選んだりフルサイズでもコンパクトなものを選べばもっと小さい8Kカメラは作れると思います。しかしそれではProRes RAWが使えない(そうすると編集時にマシンパワーがかなり必要などとても面倒なことになる)ですとか、マットボックスやフィルター、レンズの着脱、が煩雑になって日の入りなどの自然の一瞬を切り取る時に間に合わないなど、何かしら不具合が出てきます。

私の妻が持ってこのコンパクトさ
私の妻が持ってこのコンパクトさ

収録時間は短めなので工夫は必要
収録時間は短めなので工夫は必要

 そうした最大公約数を考えたとき、このReconを活用したシステムは現状最善だと自負しています。玉に瑕なのは収録時間が短いことですかね...苦笑 これに関してはOKショットのみ最初から厳選して他は削除する、という感じで工夫していて今のところ問題を感じていません。

 ちょっと余談ではありますが、8K ProRes RAWp29.97で撮れるの意外にもこのセットアップであれば5K ProResRAWp59.94で撮れるのもめちゃくちゃ便利です。これだと4Kにするときに圧縮効果で少し精細にできるし、スローモーションも撮れる。最高です。

意外と知られていない5Kp59.94で撮れるEOS R5とNinjaV+の組み合わせ
意外と知られていない5Kp59.94で撮れるEOS R5とNinjaV+の組み合わせ

実はバッテリーもSmallRigのこいつを使うことで、軽量長時間を両立しています。
実はバッテリーもSmallRigのこいつを使うことで、軽量長時間を両立しています。

 Recon以外のセットアップやどういうパーツを使っているか、実際に撮れた映像などは長くなりすぎてしまうので別の記事にします。お楽しみに。

 「新型iPhone買うならフィルター購入はマスト、PolarProなら装着でいつもの写真がアート級に」こちらの記事に買いたように、Reconはなんと新型iPhone15 Proでも使えるようになっています。PolarProのエコシステム、ラインナップの仕方が理に叶いすぎていてよりファンになりました。

テックジャーナリスト/兼業主夫

バークリー音楽大学映画音楽作曲科卒。ガジェットレビュワー/兼業主夫。家事育児をしながらレビュー記事や動画を作っています。ガジェット好きが高じて築50年団地をスマートハウスにリノベしたら沸騰ワード10で紹介されました。家事時短できる製品から育児に役立つハイテクおもちゃまで幅広く紹介していけたらと思っています。

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