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【土浦市】SNSで話題の「帆引き御膳」はまさに霞ヶ浦の宝船!香り立つ常陸秋蕎麦は新蕎麦の季節です

コイケケイコ土浦在住ライター(土浦市)

なんでも帆引き船をモチーフ にした 蕎麦 のセットなるものがあるとの噂を聞き、訪れたのはおおつ野にある「 常陸秋そば 筑山亭 かすみの里 」(以降筑山亭) 。土浦駅より車で約 20分、新しい土浦協同病院のすぐ近くにある蕎麦店です。

平日は地元客、週末は県外からも多くの蕎麦好きが集まる人気店

笑顔が素敵なこのおふたりが「筑山亭」を切り盛りする大将の長峰淳さん(写真右)と女将の薫さん(写真左)です。

おふたりとも元はサラリーマン。地元では有名な企業にお勤めしていて、休みのたびに趣味の旅行を兼ねておいしい蕎麦を求めて信州などで評判の店や穴場の店へと出向いていました。

しかし、なかなか「これだ!」と唸る蕎麦に巡り合えず、だったら自分たちで作ればいいじゃないかと長年勤めた会社を辞めて、大将の淳さんは阿見町にある蕎麦店「常陸蕎麦 信太の里」に弟子入り修行します。

研鑽を重ねて、さらに自分らしい味を見つけ、満を持してお店を開いたのが2015年のこと。今では平日は地元の方々で賑わい、週末ともなると県外から多くの蕎麦好きが集まる人気店になりました。

店内はひとりでも落ち着いて味わえるカウンター6席に、テーブル5卓(22名)、食事会などに最適な座敷は最大8名着席可能です。ジャズが流れるモダンな店内には、窓から自然光が降り注ぎとても開放的です。

これが噂の「帆引き御膳」。ふたりでシェアしながら味わうのも◎

訪れた冬のその日は、大将の気まぐれで作るけんちん蕎麦がありましたが、私はあえて初志貫徹、「帆引き御膳」(1980円)をいただきます。

「お待たせしましたー」と女将さんが運んできたのがこちら。手前の蕎麦や天ぷらのボリュームにも驚きましたが、さらに驚いたのがその奥に見える船。霞ヶ浦名物の帆引き船をモチーフにした船托(←勝手にそう呼んでます)です。もうこの見た目だけでテンションMAX。SNSで話題になっていると噂には聞いていましたが、なるほどこのビジュアルなら写真を撮って自慢したくなります。そういう私もいろんな角度からぱしゃぱしゃ。もう無我夢中です。

帆引き船には霞ヶ浦名産・生白魚と釜揚げ白魚のゴールデンコンビが!

帆引き船には小鉢が2つ乗っていて、そこにはなにやらキラキラとしたものが…

そのキラキラの正体は、霞ヶ浦で漁獲された生白魚。「筑山亭」では、大将の長峰さんの努力の甲斐あって、生白魚のシーズンといわれる時期以外でも年間を通して新鮮な生白魚を味わうことができます。ポン酢にちょこんとつけてぷりぷり、むちむち感を口いっぱいにいたただきます。

もう一鉢は、釜揚げの白魚です。海で獲れるシラスと違い、霞ヶ浦で獲れる白魚は塩分が控えめで肉厚なので食べ応え十分。ちなみに大将のおすすめはご飯に釜揚げ白魚を惜しみなくのせて豪快に味わう「白魚丼」です。

まだまだあります、帆引き御膳は霞ヶ浦のおいしいものパレード!

帆引き船の台とは別にもうひとつお盆が運ばれてきます。こちらのメインは何といってもお蕎麦。川えびのかき揚げと鯉の天ぷら、左上は川えびの佃煮。霞ヶ浦のおいしいものパレードです。

女将さんが作るかき揚げは、川えびをこれでもかというくらい使って水菜とともに揚げます。「筑山亭」の天ぷらは特に女性客に人気があるんです。人気の秘密は揚げ油。どこか甘みがあって、しかもからっと揚がっています。先ほど「白魚丼」での味わい方をお知らせしましたが、かき揚げをご飯にのせた「かき揚げ丼」も人気なんです。

かき揚げの隣に添えているのが鯉の天ぷらです。「え、鯉の天ぷら? 生臭そう…」と懸念していましたが、臭みなんてまったくなく、肉厚で旨みも感じられてびっくりです。穴子のような、きすのビッグサイズ版のような。いや、この旨みは鯉でしか表現できないものかもしれません。

新蕎麦のシーズン到来! 常陸秋蕎麦の新蕎麦は香り、弾力ともに素晴らしい

「11月20日から常陸秋蕎麦の新蕎麦が味わえるようになるので、それ以降に来てください」と、大将に教えてもらい、新蕎麦の時期に合わせてお邪魔しました。上の写真は常陸秋蕎麦の新蕎麦。土浦市新治と阿見町で常陸秋蕎麦作りを営む生産者さんから直接仕入れ、丁寧に心を込めて打った蕎麦は味の深み、奥行きが出るように1日寝かせた熟成蕎麦が「筑山亭」スタイルです。

大きな窯で茹でた新蕎麦は緑がかってみえますが、これが常陸秋蕎麦の新蕎麦の特徴なのだそう。月日を重ねるにつれて色が徐々に抜けていき、私たちがよく知るあの蕎麦の色になっていくのですが、この色味の蕎麦が味わえるのはこの時期ならではです。

水できりっと仕上げた後にざるに盛り付けて御膳へ。

ちなみに「帆引き御膳」は1人で楽しむのもいいですが、2人で訪れるならさらに単品で天ぷらや温かい蕎麦メニューなども注文してシェアをしながら楽しむのも一案です。平日は日中のみの営業ですが、週末は夜の部もあるのでお酒のつまみにしながらゆっくりと味わうのもいいですね。

風味や食感、香りまでまったく異なる、新蕎麦と前蕎麦食べ比べ

お腹に余裕があればぜひ試してほしいのが新蕎麦と前蕎麦を食べ比べできる、その名も「常陸秋蕎麦新蕎麦と前蕎麦食べ比べ」(1100円)です。新蕎麦は1人前、前蕎麦はその半分のサイズを味わえるのですが、こんなに風味だけでなく食感や香りまでも異なるのかときっと驚かれると思います。喩えるなら新蕎麦はボージョレ―ヌーボーのようなもの。前蕎麦と新蕎麦を比較して味わうことで今年の蕎麦の出来を確かめることができます。

ちなみに私がいただいたのは、前蕎麦ではなく挽きぐるみという製粉方法の違う蕎麦の食べ比べです。新蕎麦が新鮮で洗練された味わいなら、挽きぐるみは弾力があって蕎麦本来の力強さが感じられます。「筑山亭」特製のキレのある江戸蕎麦風つゆにちょこっとだけとつけて味わうことでさらに美味しさが広がります。

女将特製の本格的なスイーツメニューも隠れた人気

蕎麦だけでも十分満足なのですが、「筑山亭」は女将さんが作るスイーツも人気で、それだけを味わいにやってくるお客様も多いそう。特に人気のはちみつプリン(380円)は、つくばの山田養蜂場から取り寄せた16種類のはちみつをその時の気候や自分で使い分けて作るこだわりよう。

甘いものは別腹です。

ぜひお蕎麦とスイーツを味わいにゆっくりと出かけてみてくださいね。

店舗情報
常陸秋蕎麦 筑山亭 かすみの里
住所:茨城県土浦市おおつ野7-5-1
電話番号:029-869-8170
営業時間:11:30~16:00(L.O.15:30)、金・土曜は18:00~21:00(L.O.20:30)の部もあり
定休日:木曜、第3水曜
駐車場:あり(※住所でナビを設定すると、店の裏側へと案内されますが、裏側からは入れませんのでご注意ください)
ホームページ:https://chikuzan-company.com/
Instagram:chikuzantei0525

土浦在住ライター(土浦市)

土浦市在住のフリーランスの編集・ライター。海外・国内の旅行関連のガイドブックや書籍制作をはじめ、ブライダル情報誌の編集にも携わる。食べること・飲むことが好きで、趣味が興じて最近では食を中心にWEB、紙媒体などで取材執筆活動中。地元土浦の飲食パトロール、歴史やカルチャー学習も積極的に行っています。

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