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【土浦市】弾力があるのにしっとり。職人がつきっきりで焼き上げる「コン・フォーコ」のバウムクーヘン

コイケケイコ土浦在住ライター(土浦市)

「バウムクーヘンのおいしいお店があるよ」と、スイーツ好きの知人に教えてもらったのが土浦市虫掛にお店を構える「洋菓子工房 コン・フォーコ」。さっそく取材を申し込んだら「明日、バウムクーヘンを焼くので見にきますか?」とおっしゃっていただき、遠慮なくお邪魔してきました。手間暇を惜しまずにじっくりと焼き上げる「コン・フォーコ」のバウムクーヘンは、味わい、食感のすべてが期待以上。毎日でも食べたくなる禁断のおいしさです。

土浦では珍しい、バウムクーヘンオーブンを構えた小さな洋菓子店

土浦駅から車で約10分、公共機関を利用する場合は土浦駅西口よりつくばセンター行きのバスに乗車して6つ目「田中三丁目」下車、徒歩10分ほどの場所にあります。人気のハンバーガー屋さんやイタリア料理店なども店を構える施設の一角、ガラス窓に書かれた店名が目印です。

「NON SERVICE」と書かれた入口を入ると、正面にイタリア料理店があり、その右側に「洋菓子工房 コン・フォーコ」の入口があります。

縦長の店内は正面にケーキのショーケースがあり、左側に焼き菓子、右側にバウムクーヘンや進物にぴったりの詰め合わせなどもディスプレーされています。

焼き菓子が並んだその先が工房です。ガラス張りになっているので作っている様子を楽しむこともできます。取材にお伺いしたその日はバウムクーヘンを焼く日で、店長の中川慎一朗さんがすでに焼き始めていました。

“バウムクーヘン作りは、片時も目が離せない根気のいる作業です”

工房にはバターが焼ける豊かな香りが広がり、それだけで幸せな気持ちに。その香りの源をたどっていくと、なにやら覗き込んでいる中川さんの姿が。

「上の部分がオーブンになっていて焼き具合を確かめているところです」と、中川さん。

この日はミニサイズのバウムクーヘンを2本(竿)焼く日で、1本をオーブンで焼いている間にもう1本に生地をたっぷりとかけてまた焼いていきます。片時も目を離すことなく約1時間半、この作業が繰り返されます。

竿に生地を巻きつけて焼いてを繰り返すことでバウムクーヘン特有の木の年輪のような断面が完成します。今回初めてバウムクーヘンができるまでを見学させてもらいましたが、そもそも「洋菓子工房 コン・フォーコ」のようにバウムクーヘンオーブンを完備した工房はそう多くありません。まさに自家製。手作りの味わいが楽しめるのも魅力のひとつです。

オーブンで焼き上がった生地は、その都度空気を抜く作業が行われます。熱くなった生地はやけどするレベル。優しく触れながら空気を抜き、出来を確かめる作業ができるのは職人である中川さんだからこそ。

焼き上がったバウムクーヘンをオーブンから出してしばし休ませます。バウムクーヘンの表面にラップをかけているのは、生地のしっとり感を引き立たせるため。まるで女性のスキンケアのよう。保湿、本当に大事(切実)。

しっとり感が加わったところでラップを外し、いよいよ最後のカットする工程です。「何年やっても緊張する作業です」と、それまで笑顔で話していた中川さんの表情がまた職人ならではの鋭い表情に。

こちらがバウムクーヘンの先端部分。これ、なかなか見ることのない部分ですよね。そしてカットした断面を見てください。何層にもなっているのが分かりますでしょうか。そうなんです、この層の分だけ焼いて生地をかけてという作業が繰り返されていたのです。

均等にカットして竿から回しながら外していきます。見ていると楽しいのですが、まだ焼き立てでやわらかいのでするっと外せるのも経験のなせる業です。

1本の竿から12等分にカットしてできたミニバウム(1400円)です。バターの香りと卵のきれいな色合い。もうずっと見ていられるかわいいビジュアルです。

バウムクーヘン作りを終えて、ほっとひと安心の中川さん。

生地を作るのに約1時間、オーブンで焼く作業でさらに約1時間半、カットする工程では30分ほどの時間を費やし、2本のミニバウムを作るだけで3時間から4時間かかります。

「気温や湿度、季節によっても加減が変わってくるので、1回1回が真剣勝負なんです。とても大変な作業ですがバウムクーヘンを求めていらっしゃる常連の方も多いので喜んでいただける姿を思い浮かべながら作る時間は楽しいですよ」と、笑顔で話します。

甘さ控えめで弾力があってしっとり。この味わい、食感はハマります!

「洋菓子工房 コン・フォーコ」のバウムクーヘンは、直径17cmの大ホール(2800円)と直径11cmのミニバウム(1400円)のほかに個包装タイプ(350円)もあります。

バターをたっぷりと使っていることもあって風味が豊かでしっとり。口に含むと跳ね返されるような弾力もあって食べていて楽しくなるから不思議です。甘さ控えめに仕上がっているので、毎日でも食べたくなる味わいで、すっかりハマっています。

中川さんがおひとりで丁寧に作っているため、数にはどうしても限りが出てしまいます。ぜひ一度はご賞味いただきたいのですが、売り切れてしまう可能性もあるので、お出かけ前に電話で確認するのをおすすめします。

こうして記事を書いている間もまたバウムクーヘンが食べたくなってきました。今から車を走らせて買いに行ってきます!

<店舗情報>
洋菓子工房 コン・フォーコ
場所:茨城県土浦市虫掛3719-2 MAP
電話番号:029-875-6736
営業時間:9:30~18:00(土・日曜・祝日は~17:00)
定休日:月・火曜
駐車場:あり(無料)
ホームページ:https://confuoco-yougashi.webu.jp/

土浦在住ライター(土浦市)

土浦市在住のフリーランスの編集・ライター。海外・国内の旅行関連のガイドブックや書籍制作をはじめ、ブライダル情報誌の編集にも携わる。食べること・飲むことが好きで、趣味が興じて最近では食を中心にWEB、紙媒体などで取材執筆活動中。地元土浦の飲食パトロール、歴史やカルチャー学習も積極的に行っています。

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