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【土浦市】店主の迷いがそのまま店名に?「カフェと迷ってラーメン屋」はラーメン屋を選択して大正解でした

コイケケイコ土浦在住ライター(土浦市)

この店の前を車で通るたびにずっと気になってました。「カフェと迷ってラーメン屋」。ふざけているだけにしては、なんだかおいしそうだし、周囲の評判もいいし…。店内はどのような雰囲気で、どんな人が作っていて、どんなメニューがあるんだろう。気になる実態を知るべく、取材させていただきました!

カラフル(派手?)な自動車・ビートルが目印

土浦駅から阿見方面に向かって車で約10分。バスで向かう場合は「阿見中央公民館」行きのバスにて約7分。「霞ヶ浦総合公園」で下車後、徒歩約1分の大通り(国道125号)沿いに「カフェと迷ってラーメン屋」が建っています。

黒い外壁が印象的な建物の隣にはカラフルなビートルが停車しています。この車は「カフェと迷ってラーメン屋」のシンボルともいえる存在。初めて訪れるときはこの車を目印に向かうと迷うことがありません。

カラフルな車のその先にお店の入口があり、その手前にメニューが掲げられています。

メニューを見るとこれまた華やかなラーメンの写真が。そのラーメンの名は「六色の野菜のつけ麺」。「塩ラーメン」や「醤油ラーメン」の写真も掲載されいますが、中央に置かれた丸い物体もまた六色。店名だけでも興味をそそられているのに、メニューもかなり個性的。期待値がさらに増していきます。

定番と思われる塩ラーメンや六色の野菜のつけ麺のメニュー表の隣には月替わりメニューも掲げられています。3月は「ワンタンメン」、4月は「ちょい辛味噌ラーメン」など毎月通いたくなるような変わり種がずらり。11月は「ペペロンシーオ」なるペペロンチーノと塩ラーメンのいいところどりの面白メニューも!

カフェを訪れたようなおしゃれな雰囲気の店内

スライド式の戸を開いて店内に入ると、おしゃれなカフェを訪れたような錯覚に陥ります。シンプルでいて洗練された内装は、都心のカフェの雰囲気そのもの。四人掛けのテーブル2卓とL字型に配されたカウンターは9名が着席可能です。

店名に込めた思いは「チャレンジ精神を忘れない」ということ

「カフェと迷ってラーメン屋」はとてもインパクトのある店名ですが、本当にカフェとラーメン屋のどちらにするか迷ったからそう名付けたのではなく、違う意味・想いが込められているのだそう。

「現状に満足せずに常にチャレンジする気持ちを大切にしたいと思っています。迷うこと、迷い続けることが大事だなと思って『迷う』という意味合いの言葉を店名に入れたかったんです」

女性客がひとりでも訪れやすいようなカフェ風の雰囲気で、「迷う」の意味合いを大切にするラーメン屋。これらが合わさって「カフェと迷ってラーメン屋」という店名になりました。

「まじめにふざけたらこうなっちゃったんです」と笑いながら話すのは、店主の柴沼政寛さん(写真右)。奥様の律子さん(写真左)と二人三脚で2020年9月に「カフェと迷ってラーメン屋」を開業しました。

柴沼さんご夫婦がラーメン屋を営む前は、まったく別の仕事をされていたそうです。

ものを作るのが好きでラーメンも好き。そんなおふたりが意を決してお店を構えるのは自然の流れだったのかもしれません。

製麺は自家製で行いたいと製麺所に勤めて技術を学びました。店内には製麺所が設けられていて、そこで麺作りが行われています。

ほとんどの人が100円引き ちょっと独特な食券の購入方法

注文は、入口付近にある食券機で希望のラーメンの食券を購入するセルフ方式です。

初めての場合は、政寛さんか律子さんが食券機のもとへやってきて使い方を教えてくれます。

「カフェと迷ってラーメン屋」の注文の仕方は、最初に割引の有無を選択します。今後友人や家族にお店を紹介することを前提とした「紹介割」、大学生までの学生を対象にした「学生割」、サイクリスト向けの「サイクリスト割」があり、いずれの場合も定価より100円引きとなります。

私がこの日注文したのは一番人気の「六色の野菜のつけ麺」。定価1000円ですが、紹介割を使って900円に。また、柴沼さんおすすめメニューの「塩ラーメン」も定価900円のところ800円で購入させてもらいました。

塩ラーメンは普通盛りも大盛も同額というのも良心的です。

いざ実食!一番人気の「六色の野菜のつけ麺」

大変お待たせいたしました。それでは、いよいよ「カフェと迷ってラーメン屋」のメニューの実食でございます。

まずは一番人気の「六色の野菜のつけ麺」から。ご厚意に甘えて、作っている様子も取材させていただきました。

「この麺を今から茹でていきますね」。目の前に現れたのは6色の自家製麺。茹でる前からすでに美しい色合いです。

六色を混ぜないで茹でるために特注したという調理器具。こんなところにも柴沼さんたちのこだわりが感じられます。

茹でた後は氷で締めます。そうすることでさらに美しい発色に。

つけ麺というと太麺のイメージが強いですが「カフェと迷ってラーメン屋」のつけ麺は、細すぎず、太すぎずのちょうどいい太さ。つるんとした食感も楽しいのが特徴的です。

六色の麺にはそれぞれに合った野菜が練り込まれています。

緑=ほうれん草

青=バタフライピー(豆の花の色素)

紫=紫芋

赤=ビーツ

橙(だいだい)=トマト

黄=カボチャ

「この野菜を使ったらこの色が出るだろう」と試してみると、生地に練り込んだ段階で色が抜けてしまったり、茹でると変色してしまったり。思うような色が実現するまでには膨大な時間を要したそうです。

スープは魚介と豚のスープをブレンドしたもので、濃厚でありながらすっきりとした味わいが楽しめます。とろりとしたスープが麺にしっかりと絡んで、つるんとした食感が食欲をかきたてます。

つけ麺のスープのとろみの素はなんだと思いますか?

実はこのとろみ、レンコンなのです。

スープに粘り気をつけたいけれど、濃厚になりすぎずヘルシーに仕上げたい。幾度となく試してたどり着いたのがレンコンの粘りけを活用することでした。レンコンをパウダー状にしたものを提供しているのは土浦市の市川蓮根。レンコンの王者を決める「レンコングランプリ」において最優秀賞を受賞した生産者さんです。

麺の上に載ったレンコンはシャキシャキとした食感が楽しく、レンコンパウダーのとろみが効いたスープはまろやかな味わいが魅力です。

優しい味わいのダシが心身に染みわたる店主自慢の「塩ラーメン」

六色の野菜のつけ麺のほかにもう一品!と伺い、おすすめしてもらったのが「塩ラーメン」です。

「カフェと迷ってラーメン屋」の塩ラーメンは、なんといってもスープが絶品です。北海道産の利尻昆布や煮干し、うるめいわしやかつお節、しいたけで炊いたスープは優しい味わいで、どこか懐かしくてほっとします。

かんすいを使わずに仕上げた麺は、もちもちとした食感が特徴的で、麺を噛むと小麦本来の香りがほんのりと漂います。

トッピングの分厚いチャーシューも特筆すべき点。

このチャーシューは、土浦の佐藤畜産さんから仕入れている極選豚を使っていて、鮮度も抜群で肉本来のジューシーさと甘みも満喫できます。

中央にトッピングされた六色のこの食べ物は、白玉粉で作ったお団子。麺とはまた異なるもちもちとした食感が楽しいです。

甘酢で漬けたレンコンのスライスは、甘みの中に爽やかさが楽しめます。しゃきしゃき食感のレンコンともちもち麺の相性は抜群です。

お店に飾られた色紙を見ると「カフェラー」「カフェ迷」と書かれていることも。「店名がややこしいから略されることが多いんですよ。『迷ラー』と呼ぶ方もいらっしゃるんです」と笑いながら柴沼さんはそう話してくれました。

もしもラーメン屋ではなくてカフェとしてオープンしていたら…おしゃれな雰囲気のお店ですから、それでもきっと多くの方に喜ばれるお店になることでしょう。

が、こんなにおいしいつけ麺や塩ラーメンが味わえるのだから、ラーメン屋さんの道を選んでくれて大正解! むしろラーメン屋さんを選択してくれたことに感謝をお伝えしたいです。

今回一番人気のつけ麺とおすすめの塩ラーメンをいただいておいしさを実感したので、次回は月替わりメニューを味わいに再訪したいと思います。

味わいはもちろんですが、柴沼さんご夫婦のやさしさと笑顔に会えるのも楽しみに。

<店舗情報>

カフェと迷ってラーメン屋

住所:茨城県土浦市大岩田1287-1 MAP

電話番号:090-8800-0546

営業時間:11:00~14:30(LO14:30)、18:00~20:30(LO20:00)※木・日曜は昼の部のみ

定休日:月曜(最新情報はSNSで確認を)

駐車場:あり(無料)

支払い方法:現金

Instagram:rpgboy3570rpgboy

土浦在住ライター(土浦市)

土浦市在住のフリーランスの編集・ライター。海外・国内の旅行関連のガイドブックや書籍制作をはじめ、ブライダル情報誌の編集にも携わる。食べること・飲むことが好きで、趣味が興じて最近では食を中心にWEB、紙媒体などで取材執筆活動中。地元土浦の飲食パトロール、歴史やカルチャー学習も積極的に行っています。

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