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日本人の口に合うカレーの理由を考えてみた

マッシイタリア人フードライター

こんにちは、イタリア人フードライター マッシ(@massi3112

日本に住み始めて驚いたのはイタリア料理店、フランス料理店の多さ。定食屋さん、寿司さんも数え切れないほど多いけど、日本で生まれた食文化ということで当然だろう。例えば、イタリアではピッツァ屋さん、ジェラート屋さんが多くて当たり前なのと同じように。

ここから意外な料理と食べ方に気が付いた。現在もそれを発見したら驚く。今日はその驚きについて書こうと思う。

今回、深く考えて書きたい料理は、カレーの奥深さだ。カレーのイメージはインドやスリランカだったけど、日本料理の中にもカレーが入るなんて意外だった。しかも、カレーパン、カレーうどん、カレー味のポテチなどのアレンジまであるというのは、想像以上に日本人の口に合うということだろう。ここでなぜ合うのかを考えてみたら「なるほど」となった。

イタリア人の立場からこの記事を読んで、楽しんでもらえば嬉しい。では、日本に行くまでカレーを食べたことがなかった僕が、数年かけて得た知識で議論を記していこうと思う。

まずは、日本のカレールウを使えば完璧に、そして簡単に最高の味を出せることについてだ。要するに、失敗しない。お母さんが作ったカレーは子供にとって、大切な思い出と味になるからそこから一生忘れられない。大人になってからもその味を出せるというのが重要なポイントだ。おふくろの味になるのは、カレー。イタリアではお母さんが作ったパスタやティラミスに近い感覚な気がする。

カレーを食べれば食べるほどわかったのは、カレーは五味(甘味・酸味・辛味・苦味・塩味)のバランスが良いということだ。イタリア人よりも、日本人の方が細かい味がわかる人が多いと聞いたことがあるから、カレーはたまらない食事となることに違いない。最後までゆっくり味わいながら、楽しめる。

そして、カレーは意外に組み合わせがしやすい。ナン、白米、揚げパン、パスタ、スープにも合う。食べたくなる味だ。スイーツにもいけるのでは?と思って試しに、チョコレート味のアイスクリームにカレーパウダーをかけたら、美味しかった。いいバランスのスイーツができるということが分かった。

なぜ日本ではカレーを食べる習慣が生まれたのかを調べたら「ふむふむ」となった。日本でカレーが広がったのは1900年代前半のことで、明治以降の軍隊の食事で重宝されたらしい。もっと深く調べて進むと、太平洋戦争後に学校給食で食べられていたようだ。家庭料理としても広まっていたけど、現在と違って当時の給食に出ていたカレーはカレーライスではなく、カレー粉を使ったスープだった。カレーと白米を合わせたカレーライスが学校給食に登場したのは1970年頃。

この話を聞くと、日本の人生に関わる大切な食であることが分かる。野菜、肉、魚介などの具材を入れることで栄養を取れる。好きな具材を入れて多めに作れば、毎日食べてもなぜか飽きない。パスタとの面白い共通点がある。

カレーライスのもう一つの魅力は食べ方にある。混ぜ混ぜしてから食べてもいいし、白米とカレーを少しずつ取って食べてもいい。カレーをさらに足せばカレー丼のようなものにもなる。チーズのトッピングもできる。残ったカレーにはパスタを入れて、グラタンがすぐにできるし、うどんを入れたらみんな大好きカレーうどんだ。

忙しい日本人にとって、このカレーという存在に日々支えられているのではないだろうか。これからのカレーの進化を楽しみにしている、イタリア人の僕もいる。カレーなしの人生を考えられないから、少しは日本人の心に近づいてきたかもしれない。

カレーについて書いたら案の定、カレーを食べたくなったから今日の食事は決まった。

Massi

イタリア人フードライター

イタリア・ピエモンテ出身の日本食が大好きなイタリア人。「サイゼリヤの完全攻略マニュアル」や、KADOKAWAで食のエッセイ「イタリア人マッシがぶっとんだ、日本の神グルメ」を書いた人。日伊の違いの面白さ、日本食の魅力、食の美味しいアレンジを発信中。国内を中心に美味しい情報をお届けします。

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