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【横浜市】厚切りベーコンがどかーんと乗ったナポリタン!閉店危機を乗り越えた看板メニューがこちら。

ミオ横浜市地域ライター(横浜市)

「日本ナポリタン学会認定第1号店」と看板が掲げられたセンター北の行列ができる店「都筑亭」。ランチタイムにスパゲッティや生姜焼き定食などを提供するアットホームな飲食店です。

同店のマスター・中島さんに都筑亭流ナポリタンのこだわりや看板メニュー誕生について伺うと、紆余曲折あったお店の歴史が見えてきました。

ナポリタンのはじまり

マスターの中島さんは調理専門学校卒業後、横浜国際ホテルで修行を積み、地元である都筑区で都筑亭を開いたのは1998年。

お店がオープンする前からナポリタンを看板メニューに決めていたそう。

「ナポリタンがじわじわブームになってきたと感じるのは15年前頃かなぁ。当時(1998年)はまだナポリタンを食べられるお店がなかったから、ナポリタンを看板メニューにしたくて。自分が専門学校時代に通っていた喫茶店のナポリタンの味が忘れられず、それを再現したかった」とマスターは言います。

都筑亭のナポリタンのこだわり

ここからは都筑亭のナポリタンのこだわりについて迫っていきます。

同店では注文が入るとまず、麺茹でがスタート。

ナポリタン界でよくある麺の茹で置きは取り入れず、注文が入ってから麺を茹でる「茹でたて」にこだわっています。これも思い出のナポリタンを再現してのこと。

そしてここからが都筑亭の真骨頂、中華鍋の登場です!

ナポリタンに中華鍋を使う理由は、熱伝率が良い上にホテルパンに比べて軽いこと。また、軽さでは秀逸のアルミ素材だと、麺がくっついてしまうので不向き。使い終わった後は鍋を空焼きするなど手入れも必要になってきますが、都筑亭では創業当時から中華鍋を愛用しています。

中華鍋で具を炒めたらナポリタンソースの投入。ケチャップをベースに白ワインやローリエで味付けし、生クリームとバターでまろやかさとコクを出すのが都筑亭流です。

ソースに麺を絡ませながら高火力で水分を飛ばしていきます。

ジュウジュウと音を立てながら幸せな香りが店内中に満ちて、はやる気持ちでいっぱいに!

ナポリタン実食

「びっくりベーコンのナポリタン」 1,100円(税込み)
「びっくりベーコンのナポリタン」 1,100円(税込み)

今回いただいたナポリタンは、同店の看板メニューになっている「びっくりベーコンのナポリタン」。

ナポリタンの上に厚切りのベーコン120gがどかーんと乗っかっていて、見た目のインパクトも抜群。ナイフでベーコンを切り分けながら食べ進めていきます。

もっちりでもソフトでもない茹でたての麺に、甘酸っぱくクリーミーなナポリタンソースが絡む至福のおいしさ。まるで老舗喫茶店のスパゲッティのような、どこか懐かしい味わいです。

「びっくりベーコンのナポリタン」誕生のきっかけ

同店のナポリタンメニューは、定番の「横浜ナポリタン」と「びっくりベーコンのナポリタン」の2種。

前者はお店が開業した時からずっとある一方、「びっくりベーコンのナポリタン」が誕生したのは、2013年のこと。

縁あって日本ナポリタン学会第1号店に認定された2年後の2013年、同協会から全国各地のナポリタンが集う「ナポリタンスタジアム」に出店してみないか?と声がかかります。

「ちょうど嫁をガンで亡くした頃でした。嫁と立ち上げてやってきた店だったから、自分はもうお店に立つことはできない、と打ちひしがれていたんです。そんな時、内々でやるつもりだった小さな葬儀場に何百人という方々が参列してくれたんですね。それを娘が見て「お父ちゃん、お店続けなきゃダメだよ。私がんばるからやろうよ」と言ってくれたんです。でもすぐは無理だから一年間休ませてくれって。それでお店を開けたり閉めたりしていたんです。そんな時です、横浜赤レンガ倉庫で開催されるナポリタンスタジアムに出店しないかという声がかかったのは。これは、嫁が仕事しろって怒ってるんだな、と思いました。それでお引き受けすることにしました。」

カゴメ主催の全国各地のナポリタンが集う「ナポリタンスタジアム」。出店が決まってから他店のナポリタンのメニューをリサーチしてみると…中島さんは焦ったと言います。

「他の店はハンバーグが乗ってたり、ホワイトソースがかかってたり、そんなのアリなんですか?!って思わず主催のカゴメさんに申し出ました。笑 それで誕生したのがこの、びっくりベーコンのナポリタン

当日はキッチンカーを借り、寸胴鍋で麺を茹で、中華鍋では到底間に合わないので焼きそばのように鉄板とへらで調理。厚切りのベーコンを乗せたナポリタンは2日間で1600食を販売したのだそう!

イベントの大盛況は、都筑亭の大きな転機となったそうです。奥さまから娘さんへ受け継がれた二人三脚は、大きな一歩を踏み出すきっかけに。そしてイベント出品を機に誕生した「びっくりベーコンのナポリタン」は定番メニューとなり、今のお店の看板メニューに。

「イベントを経て、ひとまわり大きくなったかな」と笑顔で語るマスター。

都筑亭をひとまわり大きくし、閉店危機を乗り越えた「びっくりベーコンのナポリタン」。

ぜひ、ご賞味ください。

都筑亭
住所:横浜市都筑区中川中央1丁目23−10
営業時間:11:30~14:00
定休日:火曜・水曜

横浜市地域ライター(横浜市)

グルメや季節の移ろいを通して横浜市の魅力をお届けします。カフェ、喫茶店、そしてナポリタンが好き。本当におすすめしたいお店だけを紹介しています! 地域情報サイト「ロコっちセンター南」副編集長/日本ナポリタン学会会員

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