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40代からの健康習慣。「デジタル認知症」を防ぐために私が始めた2つのこと

水野雅浩/健康マネジメント健康マネジメント専門家

健康マネジメントスクール水野雅浩です。

『ビジネスパーソンの健康マネジメント』『健康経営』を中心に本の執筆、企業、行政、大学などで講師をしています。特に40代からは、健康と仕事のパフォーマンスは比例します。ぜひ「攻めの健康マネジメント」にお役立てください。

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スマホ利用が増えて、物忘れが増えたと感じている人が4割

自粛生活が緩和され、街の中でも、電車のなかでもマスクなしの人たちが増えてきた。コロナと共存しつつ、デジタル機器を活用し、在宅ワークなども促進するニューノーマル時代が本格的に始まった。

この2~3年の急激な時代の変化の中で、ポジティブな変化とネガティブな変化がある。アクサ生命保険が行った「ニューノーマルと認知症に関する意識調査」によると新型コロナウイルス感染症の影響による行動やメンタル変容において「減ったもの」として、「コミュニケーション」や「運動の減少」。「増えたもの」として、「スマートフォン利用」を認識している人が多いことがわかった。

同時に、増えたもととして、「もの忘れ」や「うっかりミス」など、認知症に関連する自覚症状が「増加した」と感じている人も4割おり、それに対して「未対策」という方が9割にも上ることも判明。

ご多分にもれず、私も、仕事柄PC、タブレット、スマホは手放せない。一時期は、ネットフリックスの韓ドラに絡め取られてしまい、食事をしていても、料理をしていても、湯船でも、ベッドの上で深夜まで見続けてしまうことも。当然、翌日、体の疲れは取れていない。集中力も続かない。物忘れも増えてきた。「これが、デジタル認知症か。このままでは、仕事のパフォーマンスが下がってしまう」と、危機感を覚えた。

しかし、「デジタル認知症」と聞いても、「まだ自分には関係ない」と思っている人も多いだろう。ちょっとまってほしい。私は新卒から10年間、高齢者介護の仕事をしてきた。ここで何千人という認知症の患者と接してきた。認知症の特徴は、治療ができない、という点だ。このことを脳科学者の先生にその理由を訪ねたところ、次のような答えが返ってきた。

「認知症というは、いわば、家が火災にあって燃えカスになっている状態。かろうじて柱は残っていて家の原形が保たれていたとしても、その中は燃えカス。これを治療薬で、炎症を遅らせることはできても、もとのフレッシュな状態に脳を修復することは不可能」

認知症になると仕事どころか、プライベートでも人間の尊厳が損なわれる。人生100年時代は、認知症をいかに防ぐかの戦いとも言える。私が、試行錯誤しながらたどり着いた、デジタル認知症を避ける、生活習慣をご紹介したい。

そもそも、「デジタル認知症」とは

デジタル機器を過度に使用することによる脳へのダメージが懸念されている。最近話題の「デジタル認知症」という言葉は、2012年に出版された,ドイツの医学者マンフレッド・スピッツァーの研究『Digitale Demenz(デジタル認知症)』には、「デジタル機器の使用が認知能力に影響する」と報告されている。

では、デジタル認知症は、どのように脳に影響を及ぼしているのだろうか。

スマホが認知症に影響するメカニズムとは

普段から何気なく利用しているスマホ、タブレットは、脳の認知機能にどのような影響を及ぼしているのだろうか。

脳を過度に疲れさせる

スマホを長時間使用することによって、脳は疲弊してしまいます。

そもそも人間の脳は情報を取り込み(インプット)、考え、行動することで外に排出する(アウトプット)ようにできている。しかし、スマホなどから流れ込んでくる多種多様な情報収集は「何気ないもの」であるため、アウトプットがされにくい状態。胃腸にたとえるならば、本来であれば食べたくもない料理をビュッフェで並べられた途端、必要以上に食欲わき、詰め込んだように食べたものの、糞詰まりになっている状態だ。取り込むだけ取り込んで、そこから先の処理はされず脳が情報過多で疲弊してしまう原因となるのだ。それだけではなく、アウトプットする能力自体が衰えてしまう。まさに認知機能が衰えてしまうのだ。

ブルーライトによって寝付きが悪くなる

「ブルーライトは目に良くない」と聞いたことがあるだろうが、実は、実は脳にも影響を及ぼしている。スマホなどのデジタル機器から発しているブルーライトは、「脳にエスプレッソを流し込むようなもの」と言われるほど。特に就寝前にスマホでブルーライトを大量に浴びてしまうと、睡眠ホルモンの分泌量が減少。寝付きが悪くなる。脳は、脳は寝ている間に起きている間に取り込んだ情報を処理しているが、眠れないことで、処理が追いつかず、認知機能が低下。結果として、物忘れなどの症状が悪化してしまう可能性につながる。

まさに、ニューノーマル社会は「デジタル認知症」のリスクを高めてしまう環境なのだ。

ニューノーマル時代、脳のコンディションを整える2つの習慣

現在のニューノーマル社会で、うまくデジタル機器と付き合い、また、デジタルデトックをするにはどうすればよいのか。脳科学の研究でも明らかになっていることは、「人との直接的な対話」や「外出による活動」が認知機能にとって好影響をもたらすこと。

家族の食事中は、デジタル機器を遠ざける

お恥ずかしいことに、私も妻もネットフリックスのドラマにハマってしまった時期があった。はじめは違和感が有りつつも、食事中に、一緒に、タブレットを見る。しかし、見たいドラマの方向性が違ってくると、食事中に別々のタブレットで妻は恋愛ドラマ、私はサスペンスを見ている始末だった。

「いくらなんでもこれは、まずいだろ!」ということで、妻と話し合い、食事中は、スマホやタブレットも近くにおかない。今日一日あったこと、これからしたいことなど会話をする時間にした。

結果、コミュニケーション量が増えて、心穏やかな時間が増えた。スマホから流れ込んでくる刺激的な情報は、限りがない。家族で話し合う時間を作り、家の中では、何を大切にするのか、スマホとどのように付き合うのかを意見を出し合ってみよう。きっと、スマホに翻弄されない、基準ができるはずだ。

ウォーキングの時間を作る

できるだけ早足で歩くことを習慣化すると、脳の認知機能を高める効果があることが実証されている。

私は夕食後、30分ほど外をウォーキングするようにしている。「歩く」という行為であれば、スポーツジムのランニングマシーンやバイシクルでもいいのだろう。しかし、実際に、ウォーキングをしてみると、外を歩く圧倒的にと爽快感があることがわかる。公園の近くを通ると、緑があり、風を感じることができる。以前は、イヤフォンで音楽などを聴いていたが、今は、何も考えずにウォーキングをしている。すると純粋に自然に触れる時間が増え、デジタル機器との接触が減るためか、一日の脳の疲れが見事に流れ落ちていくのがわかる。まるで脳が風呂に入っているような感覚だ。また副次的な効果もあり、夕食後のウォーキングをすると心地よい疲れを感じることができるためか、血行がよくなるためか、睡眠の質が格段によくなった。だまされたと思って、新しい習慣に加えてほしい。

人生の舵を取り戻そう

スマホが始終手放せない環境の中、膨大な情報が流れ込み、脳を虜にしていく。そして、私達も気が付かない間に、脳はダメージを受けていく。そして人生の舵をコントロールできなくなっていく。

これからの時代は、グローバル化が進み、一波が万波を引き起こす時代だ。さらに変化が激しくなるだろう。その予測不能な荒波の中で、私たちは主体性を持って、人生の舵取りする必要がある。そこで必要なのは、デジタル機器との「基準」を持った上での付き合い方だ。

健康マネジメントスクール

水野雅浩

【参考】
Vol.36(2022年度 環境情報科学研究発表大会)DOI https://doi.org/10.11492/ceispapers.ceis36.0_167会議情報
主催: 一般社団法人環境情報科学センター会議名: 2022年度 環境情報科学研究発表大会 研究論文 新型うつ傾向とネット依存・デジタル認知症傾向との関連の縦断分析 坂部 創一, 山崎 秀夫/森和英記念計算科学研究会大学におけるデジタル認知症の現状について安達 和年1,藤田 智子2

健康マネジメント専門家

健康マネジメントスクール代表。作家・講師。予防医学の専門家。健康経営アドバイザ-。『グローバルで勝つ!30代の太らない疲れない7つの習慣』はアマゾン総合1位。企業・行政・大学で「仕事のパフォーマンスを上げる健康マネジメント」、学習塾で「子供の成績を上げる食事・睡眠習慣」をテーマに講師。著書に『親子で作る健康習慣「本番力」で受験に勝つ』がある。中央大学法学部卒業後、介護サービスに携わり10年間、人の老化と向き合う。その後の香港勤務では海外のビジネスパーソンらが実践する健康投資を目の当たりにする。日本に帰国後、12年、外資系ヘルスケア企業で商品開発の責任者を担う。1975年生まれ。福岡在住。

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