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【河内長野市】商店街活性化のために皆で応援!22日に長野商店街・上堂本店醤油蔵の見学会と醤油販売

奥河内から情報発信奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

河内長野駅前の長野商店街は、昭和の頃までとても賑やかだったと聞きます。今でも平尾商店さんなど元気に営業しているお店がある一方、残念ながら廃業したお店も多いですね。

醤油を醸造していた上堂本店さんもそのひとつですが、かっての醤油蔵を、イベントのできるスペースとして活用されています。

さてそんな上堂本店さんでは、2019年から有志の手により昔ながらの醤油づくりを行っています。商用では流通していませんが、毎年少量をみんなで醸造し、年に一度完成した醤油を販売するという流れです。

今年も4月22日に、完成した醤油の販売会と醤油蔵見学会が行われるという情報を得ました。

私は2021年にこのイベントに参加しました。その時の模様を紹介しようと、現当主の上堂友義さんに連絡したら快諾を頂きましたので、イベント開催を前にご紹介していきたいと思います。

2021年は今年より遅く、7月3日に開催されました。普段はシャッターが閉じられている上堂本店さんのお店が開いていますね。

蔵の手前、かつての販売スペースだったところです。立呑処の置き看板があります。以前はお酒の販売もされていたようですね。

いよいよホールとなった蔵に入っていきましょう。

蔵での醸造は終わりましたが、このように中心にステージができていて、ライブコンサートなどが行われています。

私が参加した時には、大徳醤油さん(外部リンク)の本物の醤油作りの取り組みに関するセミナーが最初に行われていました。その後に、パネルで上堂本店の歴史と新たに醤油を醸造した話などが紹介されました。

さて、今回記憶があいまいなことがあったので、改めて上堂さんにお話を伺いました。

上堂本店が醤油蔵として創業したのは明治の後期頃で、現在の当主さんの3代前(曾祖父)にあたる上堂竹蔵さんが始めたそうです。ヤマジヨ醤油というブランド名だったそうです。

当時は地域ごとに醤油を作っている蔵があったそうで、ヤマジヨ醤油の販売エリアは河内長野とその近辺だったとのこと。

2代前(現当主の祖父)である杢太郎(モクタロウ)さんの時代まで醸造が行われたそうです。しかし昭和30数年ごろに廃業となり、2代だけで終わりました。

ちなみに杢太郎さんの子供で、現当主の父でもある保(タモツ)さんは、醤油業を継がず医者になったそうです。

こうして醤油蔵は未稼働のまま現当主が継ぐことになりました。上堂さんが醤油蔵を引継ぎ、とりあえず蔵の中を整理していたところ、まちづくりに興味のあるという若い方々が現れて「何か活用できないか」と整理を手伝ってくれることになりました。

醤油蔵として整備される前の状態
醤油蔵として整備される前の状態

すると醤油蔵そのものが「非常に面白い空間だ」ということになり、蔵を残して活用することが決まりました。ライブなどができるように改装工事を行いましたが、費用も膨大なものに。

特に、上堂さんの醤油蔵がある場所は、駅前で住宅が密集している市街地ということで防音工事が大変だったそうです。

こうしてイベントスペースとしてオープンしたのは、2017年の6月でした。とはいえまだまだ課題も多いそうで、例えば音響の担当している方もボランティア協力で音響機材を提供してもらっているそうです。

「その方は、たまたま近くでイベントやっていて、蔵の中を覗いてもらったのがきっかけなんです」と上堂さん。上堂本店のライブスペースの背景には、こういうボランティアの方々の協力があったのですね。

さらにもうひとつ大きな課題があります。現状では、消防法の都合で月に3回までの使用と回数が制限されてるそうです。

ただ上堂さんの醤油蔵は、ライブをしたい人たちにとても人気があり、現状では日程調整が大変なのだそうです。そこで、これを改善すべく、防火設備を強化して回数制限を解除出来るようにすることも予定されているそうです。

新たな醤油づくりが始まっていました
新たな醤油づくりが始まっていました

こうして上堂本店醤油蔵をイベント会場としての稼働が始まりましたが、上堂さんのすごいのはそれだけではなく、本来の醤油づくりを再興したことです。

醤油づくりについて上堂さんにお話を伺うと、ある女性とのつながりができたことがきっかけだったそうです。

上堂本店での醤油プロジェクトを説明する下河内麹屋の志賀野恵さん
上堂本店での醤油プロジェクトを説明する下河内麹屋の志賀野恵さん

その女性とは河南町で下河内麹屋(外部リンク)という味噌と米糀を作って販売していた志賀野恵さんです。

上堂さんによると、あるイベントで志賀さんが蔵の見学に来たそうで、その時に醤油の杉樽がたくさんあるのを見つけ、自分で味噌を作って販売しようと考えたそうです。その理由は、現在こういう杉の樽は流通していないそうで、とても貴重なものとのこと。

志賀さんはさらに「醬油も作ってみたい」と考えたそうで、上堂さんに協力して欲しいとお願いされました。

実は上堂さん自身もせっかくの機会なのでなので、醤油が作れないのかとネットなどで調べたそうですが、全く見当が付かずにそのままになっていた矢先のこと。本当に素晴らしい出会いだったんですね。

こうして2019年から醤油づくりのプロジェクトが始まりました。

このプロジェクトが始まったおかげで私が出席した時もできあがった醤油をいただきましたし、今度のイベントでも入場することで新たに醸造された醤油の小瓶がいただけたり、量り売りで購入できるわけですね。

さてほんの一部ですが蔵の様子を眺めてみましょう。稼働していたころの蔵の名残があります。

石臼のようなものが置いてありました。

このレンガの部屋の奥にあるのは、かつて醤油の麹を発酵させるための部屋だったそうです。

かつてはこの箱で醤油用の麹を発酵させていたのでしょうね。

ホールになっている蔵の裏側も見学できました。昔使用していたであろう木の樽(杉樽)が置いてありますね。

大きな煙突が残っていました。

古い道具だけでなく、今回の醤油づくりプロジェクトによって新たに作られた道具もありました。

蔵見学時に仕込まれていた醤油です。こちらはまだ原料の大豆の原型が残っていました。

対照的に原型がなくなって発酵が進んだ方がこちらです。このように毎年少量ずつ仕込まれて、それが醤油となって完成し、また新たに仕込まれることが繰り返されるわけですね。

醤油蔵で本来の目的である醤油作りが少しでも復興したのは、河内長野にとって本当に明るい話題だと思いました。

さて、昨日上堂さんより「醤油搾り行なわれるから見に来ませんか」とお誘いを受けたので、上堂本店さんに行ってみました。

長野商店街の中を歩いていきます。

上堂本店さんの前に来ました。中に入るのは先ほど紹介したセミナー以来なので、およそ2年近くぶりです。

中に入ると2年前と比べて非常に整理されていて驚きました。あのときはまだ整理の最中だったようですね。

蔵のほうも変わったような気がしました。椅子も2年前とは違うものになったようです。

こちらで醤油搾りが行われていました。

搾りたての醤油が見えます。

この醤油が、土曜日のイベントで蔵見学の人に配られ、量り売りされるんですね。

2年前の醤油と比べて味はどうなんでしょう。非常に気になります。

この箱が醤油づくり再興時に新たに作った搾るための道具。これがないと醤油は作れません。

こちらは醤油の搾りかすとのこと。

さて、昨年仕込んだ醤油は搾られていきますが、それと入れ替わるように先日新たな醤油が仕込まれました。

中に入っている大豆がなんとなく初々しく感じます。これから時間をかけて醤油に代わっていくのでしょう。

来年の完成が今から楽しみですね。

最後に、今度の4月22日のイベント情報をおさらいしましょう。事前予約不要で入場料は500円、小瓶の醤油付きです。

なお高校生以下は無料とのことで、10時、11時、13時、14時の4回、説明付きの蔵見学ツアーが行われます。

画像提供:上堂本店さん
画像提供:上堂本店さん

また生醤油の量り売りも行われ、100ミリリットルあたり500円です。量り売りの容器がない人向けに、持ち帰り用の瓶は1本100円で販売するそうです。

SPOON舎さんも当日お弁当を販売されます
SPOON舎さんも当日お弁当を販売されます

さらにミニマルシェも行われるそうです

  • ピエニアルク(パン販売)
  • 下河内糀屋(味噌)
  • spoon舎(お弁当)

このほかにも当日出店予定のお店があるとのこと。

こちらが私が2021年に参加したセミナーでいただいた上堂本店さんの醤油です。

商業用としてはいったん廃業になったものの、イベントの一環として醤油の醸造をされているという上堂さん。河内長野で醸造されていた醤油の歴史をこれからも残し続けてほしい、そのためには市民の皆さんの応援が不可欠です。22日はぜひ醤油蔵へGO!

なお、当日は上堂本店さんから徒歩圏内にもうひとつイベントがあります。養生菓子処もちねこさん「にゃんこ大バザールVol.3」というイベントを開催しています。ふたつのイベントをはしごしてもよさそうですね。

上堂本店(醤油蔵跡)(外部リンク)
住所:大阪府河内長野市本町12-22
電話番号:0721-52-5552
イベント開催日時:4月22日 10:00~15:00
アクセス:南海・近鉄河内長野駅から徒歩3分

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奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

河内長野市の別名「奥河内」は、周囲を山に囲まれ3種類の日本遺産に登録されるほど、歴史文化的スポットがたくさんある地域です。それに加えて、都心である大阪市中心部に乗り換えなしで行ける複数の大手私鉄(南海・近鉄)と直結していることから、新興住宅団地が多数造成されており、地元にはおしゃれな名店や評判の良い店なども数多くあります。そして隣接する富田林市もまた、歴史文化が色濃く残る地域。また南河内地区の中核都市として、行政系施設が集まっています。これを機会に、奥河内(一部南河内含む)地域に住んでいる人たちのお役に立つ情報を提供していければと考えています。どうぞよろしくお願いします。

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