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クリムゾンクローバーは花が可愛いコンパニオンプランツ|玉ねぎ、アスパラの害虫対策に

racss食育インストラクター・調理師/菜園家
咲き始めはイチゴのような形のクリムゾンクローバーの花

真っ赤でイチゴのような形の花が可愛らしい「クリムゾンクローバー」は、家庭菜園で活用したいコンパニオンプランツです。特に玉ねぎ、アスパラと一緒に植えると害虫対策になりますし、緑肥としても優秀です。
クリムゾンクローバーの効果と植え方を解説します。

作物と混植・間作することで生育を助けてくれる植物を「コンパニオンプランツ」と言います。花が可愛いコンパニオンプランツも多く、それぞれに野菜との相性や効果を考えて活用すると、彩りいっぱいの家庭菜園に!お花系コンパニオンプランツを野菜の隣に植えてみませんか?

クリムゾンクローバーとは

咲き進むと花穂が伸びてくる
咲き進むと花穂が伸びてくる

クリムゾン(クリムソン)クローバーとは、別名アカバナツメクサともいい、シロツメクサ、アカツメクサと同じクローバーの仲間です。クリムゾン(真紅の)という名前からもわかるように、真っ赤な花をつけます。ガーデニングでも人気の「ストロベリーキャンドル」「ストロベリートーチ」と同じ植物です。

わたしの小さな畑では、アスパラの手前に毎年春に植えています。6月から7月に赤い花がついてとても可愛いです。

クリムゾンクローバーのコンパニオンプランツ効果

クリムゾンクローバーの花にはミツバチがやってきて、家庭菜園内の受粉を助けますが、他にも大きく分けて3つの効果があります。

1.害虫アザミウマの天敵を呼び寄せるバンカープランツ
2.ダイズシストセンチュウの対策になる(主に農家で活用)
3.緑肥効果で土を肥沃にする

1.クリムゾンクローバーは害虫ネギアザミウマ対策になる

我が家でアスパラの近くに植えているクリムゾンクローバー
我が家でアスパラの近くに植えているクリムゾンクローバー

体長1mmから2mmのちっちゃな害虫アザミウマ(スリップス)を見たことはあるでしょうか。とても小さくて普段は花の中や葉の付け根などに隠れているのでなかなか見つけにくい虫です。
アザミウマは野菜の新芽や花の汁を吸って弱らせてしまいます。吸汁された跡は白っぽいかすり状になり、酷いときには全体が白化して枯れてしまいます。

アザミウマには多くの種類がいてそれぞれ好む野菜が異なりますが、家庭菜園では主に玉ねぎやアスパラを好む「ネギアザミウマ」に注意しましょう。

さらにアザミウマが「黄化えそ病」のウイルスを媒介することがあり、この病気は玉ねぎで発生するとニラやネギにもうつります。葉を萎縮させ、最後には枯らしてしまう病気です。

クリムゾンクローバーはアザミウマやアブラムシを自分に引き寄せ、そこへ天敵であるテントウムシ、ヒラタアブなどが集まることにより、菜園の野菜を守ってくれる働きをするのです。
玉ねぎやアスパラを育てるならクリムゾンクローバーを隣に植えてみましょう。ネギアザミウマ対策の農薬を減らすことができます。

2.農家ではダイズシストセンチュウへの予防に用いられる

クリムゾンクローバーの葉
クリムゾンクローバーの葉

クリムゾンクローバーは駆除がしにくいダイズシストセンチュウの対策にもなります。主に大豆や小豆などの豆類を育てる農家で活用されています。これは数年越しの輪作の一環として用いると有効な方法なので、家庭菜園では実践しにくいでしょう。
ただ広い区画で枝豆やインゲンをよく育てていて、葉が黄色くなる萎縮病が発生するならダイズシストセンチュウの仕業かも。一度栽培をやめてクリムゾンクローバーを使った駆除を考えるといいかもしれませんね。

3.クリムゾンクローバーは植えているだけで緑肥になる

空き地を彩るクリムゾンクローバー(景観植物としての活用)
空き地を彩るクリムゾンクローバー(景観植物としての活用)

クリムゾンクローバーはマメ科で、根にいる根粒菌が空気中の窒素を土壌に固定し、植物が吸収しやすい形に変えることにより土壌を肥沃にします。植えているだけで緑肥効果があるのです。
さらに、クリムゾンクローバーを栽培してから畑にすき込むと堆肥として良い効果があります。一般には休閑地の緑肥を兼ねた景観植物として利用されているのを見たことがあるかもしれません。
家庭菜園では秋野菜を植える予定の場所に先にクリムゾンクローバーを植えて元肥がわりにできます。またこれまで畑ではなかった痩せている土地に植えておき、土作りをするという使い方も。
クリムゾンクローバーは比較的どんな野菜とも相性は悪くなく、ナス科、ウリ科につくアザミウマにも効果があるので、それらの野菜と混植することも可能です。赤い花は刈り取って切り花やドライフラワーで楽しむことができますよ。

クリムゾンクローバーは春から育てるといい

丸いのがクリムゾンクローバーの種。細長い方はエンバク。一緒に蒔くのも良い
丸いのがクリムゾンクローバーの種。細長い方はエンバク。一緒に蒔くのも良い

クリムゾンクローバーは種から簡単に育てられます。中間地であれば3月から4月に種まきをしましょう。北海道のように涼しい地域では1ヶ月遅れで蒔きます。

花をメインで楽しみそのあと緑肥にする目的であれば、秋の9月に種まきし、翌年5月頃から咲くように計画します。秋に播種するほうが花数が多くしっかりした株に育ちます。ただし北海道では秋播きはできません。

クリムゾンクローバーは日当たりがよく風通しが良い場所を好みます。初期の生育がゆっくりなので、芽が出てしばらくは周りの雑草の影にならないように注意します。大きくなると草丈は50cmほどになり、よく茂ります。

まとめ

真っ赤な花が可愛らしく、害虫対策や緑肥にもなるクリムゾンクローバーを紹介しました。クリムゾンクローバーはとても育てやすいですし、種も安価です。家庭菜園の隙間や空いている区画に植えてみてはいかがでしょうか。

最後までご覧いただきありがとうございました。よかったら著者racssをフォローして他の記事もお読みいただけると嬉しいです。

コンパニオンプランツの代表格・マリーゴールドについての記事はこちら▼▼
「マリーゴールドは必ず植えたいコンパニオンプランツ|野菜を守る防虫効果と品種のこと」

※お花系コンパニオンプランツについては、著者racssのブログでもまとめています。(外部サイトracssblogへ移動します)どうぞあわせてご覧ください▼▼
「お花が可愛いコンパニオンプランツまとめ|家庭菜園が華やかになるお気に入り紹介します」

食育インストラクター・調理師/菜園家

癒やされる観葉植物にはまったのち、家庭菜園を初めて早15年。宿根草とハーブや野菜、野草、山菜系野菜や小果樹を庭で栽培しています。楽しみながら育て、味わい尽くす方法を、調理師・食育インストラクター(2級)の目線から発信していきます。 北海道での家庭菜園の様子はInstagramと公式サイト「racssblog (料理+菜園づくり 食育インストラクターracssの日々の暮らし)」にて公開中。

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