市場の中で暮らすように泊まる――。姫路駅から徒歩7分ほどの姫路市忍町に今月、一棟貸しの宿「SOUQ（スーク）」がお目見えしました。SOUQとはアラビア語で「市場」の意。辺りは約70年前、青果、鮮魚、乾物、塩干といった200店舗以上が軒を連ねる市場だったことに由来します。SOUQは築60年の天ぷら店でした。

播磨地域の美術工芸品もそろって

静穏な雰囲気のエントランス。1階と2階合わせて20坪で、大人なら5人まで宿泊できます。

オーナーはリノベーション専門の不動産建設業「RENOWISE」（姫路市）代表・田中義人さん。7年前「姫路駅西地区まちづくり協議会」メンバーとなり、地域ににぎわいをもたらす活動の一環として、空き家や空き店舗を調査し活用方法を考えてきました。「宿にリノベーションする構想は2年前に。お城だけでなく、このエリアの空気も楽しんでもらえれば」と。商店は今も点在し、早朝から始動している所も。

さあ、見学しましょう。

キッチンには2口のガスコンロ。

調理器具や食器も自由に使えます。

湯呑みは宍粟市の波賀焼でした。素朴で、持つと安心感がある。

かつて本店を市場に構えていた播磨屋茶舗のティーバッグや市内のNAKAZAKI COFFEE ROASTERのドリップバッグも用意。偶然にも千姫のお気に入り。姫路を代表する日本茶とコーヒーと言ってもいい。

ダイニングの敷物は赤穂市の伝統工芸、赤穂緞通です。播磨の地域色豊か。

すっきりとした洗面所。サロン仕様のシャンプーやコンディショナーが。

思っていたより長い階段の先にはセンスの良い古道具が見える。
2階へ。

上質で丁寧な内装に歓迎される

渋さが際立つトーンの1階に比べ、2階は自然光や照明の具合も相まって明るめ。和室とベッドルームがワンフロアに、い草と木の香りが漂ってきます。

照明がユニーク。和室の行灯はアンティークだし、オリジナルのベッドサイドライトはモダンだし。

ライトのスイッチは主張し過ぎないよう下方に設けたり、カーテンレールを見えなくしたり、細やかな工夫はほかにも。発見してくださいね。

見上げると、昔の梁がそのまま生かされていてアートになっていた！

上質で丁寧な内装。ここへきて「空間全体を見ていただけたら」と話していた田中さんの言葉が響きます。

千姫のおすすめは、市場とともにこの地に新しく溶け込んだお店巡り。コーヒー店やチューリップハットのアトリエ、古物商など。

ディープな姫路旅を。姫路市民の皆さんは、遠方に住む友達や親戚が来姫したときに利用して。
「旧市」と呼ばれるこの場所は、本当にざっくばらんで混沌とした心地よさがあるんですもの。

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