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昨年末からブラボーなアイスが急上昇!? 高知県佐川町のソウルアイスとは

シズリーナ荒井アイス研究家/リサーチャー

 高知県のアイスといえば、“アイスクリン”を思い浮かべてしまいますが、実はアイスクリンの他にも地元の方から愛されている「ブラボーアイス」というアイスバーが存在していることを知っていますか

横畠冷菓「ブラボーアイス」パッケージとアイスバー
横畠冷菓「ブラボーアイス」パッケージとアイスバー

 「あたり」つきのアイスバーで、アイスの棒に「7」の数字が刻印されていたら「あたり」。「7」なら1本、「77」なら2本、「777」なら3本ももらえアイスを買ったお店で交換できます。

こういう文化やパッケージデザインもアイス研究家としては、ものすごく好きです。

アイスバーの味は、本当に懐かしい味わい!アイスの口どけや素材、ビターテイストなチョコレートの口残りがものすごくいい! 私が35年前に食べていた頃の食感や味がそのままです。

横畠冷菓「ブラボーアイス」アイスバー
横畠冷菓「ブラボーアイス」アイスバー

 「ブラボーアイス」は、シンプル イズ ベスト なアイスの作りとなっており牛乳の味わいをそのままアイスクリンにしたような感じで口どけが良くさっぱりしていますが、パリッとした食感のチョコの部分は口残りがたまりません。本当に懐かしい味わいが今でも楽しめるのは本当に嬉しい限りです。

横畠冷菓「ブラボーアイス」断面/チョコレートはパリパリとした食感で口残りが良い
横畠冷菓「ブラボーアイス」断面/チョコレートはパリパリとした食感で口残りが良い

 この「ブラボーアイス」の製造・販売元は高知県佐川町に本社を置く「横畠冷菓」。

「横畠冷菓」は、今から75年以上ほど前、戦後すぐに創業した老舗のアイス屋さんです

「ブラボーアイス」について横畠康人さんにこちらのアイスについて聞いてみました。

横畠冷菓の生い立ちについてお聞かせください。

 戦後、衣料品の販売をしていたことがあるそうです。他にも高知市(現在で車で40分)からクリスマスケーキを買い付けて佐川町で初めて販売したという話もあり商店的な事業をしていたようです。

 アイス事業は昭和30年代はじめに自転車でアイスキャンディーを販売したのが始まりです。 40年代にはいり「アイスクリン」を作り始め、最近ではお客様のリクエストに応え、アレルギーの方向けに卵・ミルク類を使わない「シャーベット」や地元素材を活かした商品開発に取り組んでいます

横畠冷菓「ブラボーアイス」製造工程/ほとんどが手作業
横畠冷菓「ブラボーアイス」製造工程/ほとんどが手作業

1.半凍結させた地乳ベースのアイスを型枠にいれます。

2.枠からはみ出さないように専用ヘラで整えます。

3.製造槽(-30度程度)に浸け蓋をして箸を差し込みます。

4.20分程で固まるので蓋を持ち上げ型から抜きます。

5.硬化室で更に凍らせた後、チョコレートコーティングします。

6.再び硬化室でチョコレートを固まらせ、蓋から出来上がったアイスを抜きます。

7.一つずつ手作業で商品を袋にいれます。

8.袋を閉じます。

9.手に持つ箸の関係で上下反対です。

「ブラボーアイス」はいつから売られている商品ですか?

 はっきりとはわからないのですが…私が生まれる前から販売していますので50年以上前になります。

「ブラボーアイス」の誕生秘話やこだわりなどを教えてください。

 昭和30年代はじめにアイスキャンディーから始まり、昭和40年代にアイスクリンの製造もするようになり、私の祖父が同時期にブラボーアイスも考えたようです。

当時、チョコレートコーティングされたアイスバーは珍しかったようで地元の子供達に喜んでもらえるようにとの思いだったと聞いたことがあります。

「ブラボーアイス」のパッケージがとてもかわいいのですが、デザインの豆知識をお聞かせください。また、誰がデザインされましたか?

 実はパッケージデザインに拘りはなかったようです。当時はデザイナーさんも少なく、知り合いもいなかったことから、包材の発注先である大阪の会社に丸投げしたそうです笑

その後、県内の会社に発注するようになりロボットの姿が初号機から二号機に変更されました笑

左側「1965年〜1983年」 中央「1984年〜2010年」 右側「2011年〜現在」(横畠康人さん提供素材)
左側「1965年〜1983年」 中央「1984年〜2010年」 右側「2011年〜現在」(横畠康人さん提供素材)

  左が初号機です。背景色が赤ですが、当初ブラボーアイスにはチョコレートコーティングされたものとイチゴコーティングされたものがあり、イチゴ用の包材だと思われます。残念ながら当時の他のものは残っていません。

 中が二号機で以前使用していたものです。右が現行の包材です。サイズが大きくなっていますがアイスのサイズは変わっておらず発売当初のままです。材質をラミネート系にし、切り口をつけ開封しやすいように10年ほど前に改良しました。

あたりのシステムに少し夢があるのですが、なぜ今でもこのような取り組みを続けているのでしょうか?

 地元では本当に大事にしていただいています。「子供の頃から買っているのに3本が全く当たらん」「死ぬまでには当てたいから絶対にやめなよ」等…ブラボーアイスを当たり無しにすると沢山の方からお叱りをうけてしまいます笑

逆に観光客の方がたまたま町内で買ったもので3本当たりがでたりするので、ある意味こちらもどういった人が当たるのか楽しんでいます。

販売エリアについてお聞かせください。高知県でも一部の店舗でしか見当たらないのですがどこで購入できますか? もしかして、全て手作りですか?

 販売エリアは佐川町内の量販店や観光施設が主となっていますが、今夏、県内の一部コンビニエンスストアにて販売予定があります。アイスを凍らせる以外はすべて手作業になります。

最後にブラボーといえば、サッカー選手の長友さんが昨年末から「ブラボー」というワードをテレビで発言されていたことが記憶に新しいですが、横畠さんが「ブラボーアイス」を食べて欲しいと思っている著名な方はいらっしゃいますか?参考までにお聞かせください。

 もちろん、長友佑都選手です!笑

一度、食べたらハマること間違いありません!
一度、食べたらハマること間違いありません!

ぜひ、高知県へ行く際はアイスクリンもいいですが、「ブラボーアイス」もチェックしてみてくださいね!

●ブラボーアイスに関する問い合わせ

横畠冷菓

高岡郡佐川町乙1838-3

電話 0889-22-0172

電子メール yokobatake-ice@herb.ocn.ne.jp

※現在、「ブラボーアイス」の取扱店は佐川町「佐川町観光協会」「サンシャイン佐川」、土佐市「地のもん市場ハレタ」、日高村「村の駅ひだか」などで販売中

取材協力:横畠冷菓

アイス研究家/リサーチャー

1歳1ヶ月からこれまでに食べたアイスの数は、およそ6万個以上。(初めて食べたアイスは「ガリガリ君 ソーダ味」)「アイスは単なるデザートではなく冷凍食品」であることに気がつき東京藝術大学へ進学、年間4,000種類ものアイスの食べ方を研究しイートデザイナーとして「魔法のアイスレシピ」(KADOKAWA)を出版し話題に。様々なメディアを通じて独自の視点でアイスの魅力を発信し続けるアイス評論家としても活動中。

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