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【初公開】ToshI監修のアイスが1個を製造するのに森永製菓「ザ・クレープ」約50個分の価値だった

シズリーナ荒井アイス研究家/リサーチャー

 「ザ・クレープ」は、昭和63(1988)年に発売した「クレープ屋さん」が2013年に大人向けに進化したデザート系アイス。ザクザク食感のチョコフレークが層状入ったバニラアイスをモチモチっとした食感のクレープシートで食べやすく包み、ひと口ごとに食感や味わいが変化する定番のバニラ味を軸に、今までに16種類以上ものフレーバーが誕生している魅惑の商品。

(※2013年発売以来「ザ・クレープ」の過去フレーバー数は、コンビニエンスストア限定品も含む)

 発売当時のイメージキャラクター「クレープおじさん」の正体がなんと約30年間変装し続けていた超絶イケメンの“怪盗クレープ”だったことを2021年9月のキャンペーンで明らかにするなど30年越しの伏線回収をする大変ユニークなブランドでもあります。

 2023年4月には芸能界屈指のスイーツ好きとしても知られるアーティストToshIさんを起用したコラボ企画「ザ・クレープToshI伝説」キャンペーンが始動。キャンペーンでは、動画公開に合わせToshIさんの姿をデザインした期間限定パッケージやToshIさん監修の限定フレーバー「ザ・クレープ 伝説のガトーショコラ味」が森永製菓アイス公式Twitterをフォローして対象のツイートをリツイートした人の中から抽選で50人に当たるほか、「ザ・クレープ」を購入し特設サイトから応募した人の中から抽選で530人に、オリジナルデザインQUOカードやToshIさんのサイン入りアクリルスタンドが当たるキャンペーンが6月30日まで行われている。

森永製菓公式サイトより

 今回は、「ザ・クレープ」の仕掛け人でありマーケティング担当の森田さんと研究開発担当の丸田さんへ「ザ・クレープ」と「ToshI監修 ザ・クレープ 伝説のガトーショコラ味」の開発秘話やこだわりについてお話を伺います。

R&Dセンター 外観
R&Dセンター 外観

冷菓マーケティング担当 森田 健一 氏(左)/ 冷菓研究開発担当 丸田 聡 氏(右)
冷菓マーケティング担当 森田 健一 氏(左)/ 冷菓研究開発担当 丸田 聡 氏(右)

■2022年4月から通年販売された「ザ・クレープ」はどんなブランドですか?

森田「『ザ・クレープ』の商品コンセプトは、手にとって食べ終えるまで幸せになれるデザートアイスで、お子様から大人の女性まで食べやすい形状にこだわっている商品です。また、食べるだけでなく、外見はシンプルに見えますが、見ておいしいと思っていただけるようなビジュアルにも実はこだわっています」

丸田「弊社のアイスブランドの中では一番多くのパーツ(素材)で構成されたアイスでもちもちとザクザクの2つの食感が複合的に楽しめるのもポイントになっています」

■「ザ・クレープ」のキャンペーンを通じて菓子製造メーカーならではの本気がアイスでも垣間見れた瞬間とは

ToshIさんを巻き込み、攻めた企画をされていますが…。

森田「ToshIさんを起用させていただいたのは、芸能界の中でもスイーツ好きと知られており、弊社のプロモーションにご協力をいただくことで、より多くの方に『ザ・クレープ』の存在を知っていただきたいという一つの目的はありました。それよりもさらに一歩踏み込んだ企画にさせたいと思い、ToshIさんと一緒に“『ザ・クレープ』の目指せる高みはどこなのか”という今まで誰も見たことも味わったことのない『ザ・クレープ』の開発に挑みました。そこで、丸田のチームには“工場で作れなくていいぞ!”、“手作りでしか作れないぐらいの品質まで目指そうではないか!”ということで開発が進みました。

「工場で作れなくていいぞ!」「手作りでしか作れないぐらいの品質まで目指そうではないか!」と言い終わった後の森田氏
「工場で作れなくていいぞ!」「手作りでしか作れないぐらいの品質まで目指そうではないか!」と言い終わった後の森田氏

丸田「こちらにその話がそのまま回ってきました。(苦笑い) 森田からの思い切った提案に本当に手作りでしか味わうことのできない『ザ・クレープ』にチャレンジしようと思えましたが、どこまでこだわり抜くのか正直悩みました。まずは、ToshIさんに我々の思いを届けるためにフレーバーをどうするのか考えました」

覚悟を決めた瞬間だったと開発当時の状況を振り返る丸田氏
覚悟を決めた瞬間だったと開発当時の状況を振り返る丸田氏

■「ザ・クレープ」の 伝説はToshIさんの御著書の中にヒントがあった

丸田「チーム内でフレーバーの軸をどうするのか話し合った結果、ToshIさんと言えば“ガトーショコラ”がお好きということもあり、御著書『スイーツメモリー ガトーショコラダァ』(講談社刊)をチーム内で輪読することからはじめました。そこから着想を得て、ToshIさんが考えるスイーツとはなんなのかを理解し、企画の方向を固めていきました」

「スイーツメモリー ガトーショコラダァ」(講談社刊)
「スイーツメモリー ガトーショコラダァ」(講談社刊)

「スイーツメモリー ガトーショコラダァ」の購入サイトはコチラ (Yahoo!JAPAN ショッピング)

企画フレーバーの「ガトーショコラ」が決まった時の話をする丸田氏
企画フレーバーの「ガトーショコラ」が決まった時の話をする丸田氏

森田「ToshIさんご本人へ“ガトーショコラ”をテーマにした味わいで監修いただく話もスムーズに進み企画の軸が決まりました」

安堵の表情を浮かべる二人
安堵の表情を浮かべる二人

森田「使用するチョコレートの量も多く、機械への負荷が大きくかかるほどクリームの粘度が高いためハンドメイドでしかできない品質でチャレンジしました。そのため製造できる数が50名様分(1人2個で合計100個)を作るのが限界でした。だからこそ、食感や味わいだけでなく、香りにまでこだわりました」

丸田「ToshIさんへのプレゼン時にもこだわりのポイントをいくつか挙げさせていただきまして、“ガトーショコラ”といえば当然チョコレートのクリーム仕立てであることから、高級なチョコレートとしてクーベルチュールチョコレート(カカオ分70%)を使用し、“チョコレートも最高級なものを“これでもか!!”ってくらいふんだんに使用しました」

森田「いくつか“ガトーショコラ”をベースにしたサンプルを試作してToshIさんにご試食いただきました。その中から、『ToshI監修 ザ・クレープ 伝説のガトーショコラ味』の味わいの方向性がすぐに決まりました」

丸田「チョコレートクリームだけには飽き足らず、ガトーショコラの独特なスポンジケーキ状の食感にまでこだわりました。クリームの中にチョコのクランチ(ブラッククランチ)を混ぜ合わせ、クリームの水分がクランチに移行することで生まれるソフトな食感を再現し、こちらをアイスのベースとしました。さらに、アイスの中心部には生チョコレートを充填することで濃厚感も上げていく仕立てにしました。この時点でチョコレートにこだわったアイスをベースにしています」

■実際にこの時点で商品化させた場合、いくらぐらいのお値段になりますか?

森田「そうですねー。企画・開発費だけではなく、機械が使えないほどの品質にこだわってしまい人件費も重なってくるので…。ちゃんと計算するととんでもない金額が出てしまう。例えば、通常品の「ザ・クレープ」約50個分ということでいかがでしょうか(苦笑い)」

■過去に似たような商品は出されていますか?

丸田「品質自体は変わりますが、かつて、『ザ・クレープ 生チョコ仕立て』(2020年12月販売し、現在は販売終了)に比較的近いかなと思いますが、コチラの商品も工場製造品として可能な限りこだわった品質でおいしく作っています。『ToshI監修 ザ・クレープ 伝説のガトーショコラ味』は、アイスのベースはもちろんハンドメイドですが、アイスを三角形に形成にするところからクレープ生地をアイスで包むところまでも手作業でやっていますので、かなりこだわっています。だからこそ、盛り込むパーツ(素材)は通常の『ザ・クレープ』は5つですが、過去最多となる7つも使用しています。

■ToshIさんが「うぉー!うまいね!!!!!!」と感動/100%ハンドメイドの「ToshI監修 ザ・クレープ 伝説のガトーショコラ味」を先行公開!

「実は、まだ試作の途中なんですが、特別にサンプルがあります!」と森田氏
「実は、まだ試作の途中なんですが、特別にサンプルがあります!」と森田氏

【キャンペーン限定フレーバーの詳細】

国産最高級クーベルチュールチョコレートを使用したチョコレートクリームにブラッククランチを練り混ぜたガトーショコラ風味の濃厚アイスクリーム。アイスクリームのベースにはヘーゼルナッツペーストを使用することで洋菓子感のグレードをアップ! アイスクリームの部分に口どけのよい濃厚な生チョコレートを充填し、クレープの先端には洋酒で風味をよくしたホイップクリームを入れた作品となっています。これぞハンドメイド100%の本気度が伝わってきます。

【キャンペーンの応募方法】

このキャンペーンは、今月の6月30日(金)までに森永製菓アイス公式Twitterをフォローして対象のツイートをリツイートした人の中から抽選で50人に当たる

キャンペーン投稿はコチラ

 今回は、取材ということで特別に先行試食をさせていただきましたが、真っ白なパッケージを開封するとまずビターでありながらも華やかなカカオの香りが目の前に広がりました。

チラッと見える『ToshI監修 ザ・クレープ 伝説のガトーショコラ味』
チラッと見える『ToshI監修 ザ・クレープ 伝説のガトーショコラ味』

『ToshI監修 ザ・クレープ 伝説のガトーショコラ味』を上から筆者が撮影
『ToshI監修 ザ・クレープ 伝説のガトーショコラ味』を上から筆者が撮影

『ToshI監修 ザ・クレープ 伝説のガトーショコラ味』を横から筆者が撮影
『ToshI監修 ザ・クレープ 伝説のガトーショコラ味』を横から筆者が撮影

 一口食べるとアイスなのに冷たすぎず、こだわりの具材(素材)の味わいが食べ進めていくたびにたんだんと強く感じられる。ワンハンドで食べる高級パフェという印象を受けました。

濃厚な生チョコレートの入っている位置も絶妙で大変素晴らしい作品でした。

 たしかに、ToshIさんの「うぉー!うまいね!!!!!!」というセリフが直接お聞きしていませんが、伝わってきました。

■取材のあとがき/知って欲しい! 実は、「ザ・クレープ」の◯◯なこだわりまとめ

 普段、我々は何気なく食べている森永製菓「ザ・クレープ」にはこんなこだわりがあったということを今回の取材を通じて知ることができました。筆者として、これは多くの方に知っていただきたいと思い綴らせていただく

クレープ生地の食感に秘密が!?

 「ザ・クレープ」のクレープ生地のもちもち食感は、冷凍化でもクレープシートに含まれている水分が凍らない特許製法で製造されており、厚さにもこだわっていて1ミリメートル以下となっている。

一番最後に味わえる“もちトロ食感”なご褒美の秘密

 「ザ・クレープ」の一番最後に出現するクレープのもちもち食感と一緒に楽しめるふわトロ食感のクリーム。あれ、みなさんアイスが溶けたクリームだと思っていませんか? 恥ずかしながら、筆者も溶けたアイスだと今まで思っていましたが、アレはアイスではなく「ホイップクリーム」だったんです。アイスが溶けたものが下に流れ出ないようにする役目があり採用されているが、これがとってもあと切れがよくいい仕事をしている。

 「ザ・クレープ」の構成は、一番上からビスケットクランチ、アイス、チョコ、クレープ生地があって最後にホイップクリームの5つのパーツから構成されたアイス。チョコもただのチョコではなく、コーンフレークを砕いたものを混ぜ込んだ特別なものを使用することでザクザク食感に仕立てています。アイスも本物のクレープに使用されるクリームのように柔らかい仕上がりなるような工夫もされている。

 そう、つまり「ザ・クレープ」は一番手の込んだアイスだった! 「ザ・クレープ」に使用するパーツ(素材)数は森永製菓の自社ブランドのアイスの中で一番多く使用しされ、デザート品質にこだわられていました。

 アイスのトップにはクランチがトッピングされており、アイスの中にはチョコや食感の良いものを練りこんだりしているので、シンプルに思われがちですが、見えない努力といいますか…。意外と手間のかかる仕事をされています。あの商品自体の厚さも実はこだわっていて、冷凍庫から取り出してすぐに食べても具材(素材)の味わいだったり風味を楽しんでいただけるギリギリのところで調整された厚さだったんですね。

 ぜひとも、「ザ・クレープ」を手にとって食べてみてくださいね!

取材協力:森永製菓

アイス研究家/リサーチャー

1歳1ヶ月からこれまでに食べたアイスの数は、およそ6万個以上。(初めて食べたアイスは「ガリガリ君 ソーダ味」)「アイスは単なるデザートではなく冷凍食品」であることに気がつき東京藝術大学へ進学、年間4,000種類ものアイスの食べ方を研究しイートデザイナーとして「魔法のアイスレシピ」(KADOKAWA)を出版し話題に。様々なメディアを通じて独自の視点でアイスの魅力を発信し続けるアイス評論家としても活動中。

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