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「ウチカフェ 日本のフルーツ」が動いた。国産果汁30%以上のアイスバーからカップへ

シズリーナ荒井アイス研究家/リサーチャー

今年もコンビニエンスストア大手3社「ローソン」・「セブン-イレブン」・「ファミリーマート」では、毎週火曜日には新作アイスが多数発売される傾向にあります。その中でも、各社それぞれ注目すべきアイスがある。(※アイスの発売曜日については、一部地域を除く)

 特に目覚ましい勢いで進化し続けているアイスが、フルーツを丸ごと絞ったような果汁を使ってアイスにしたフルーツアイスバーです。従来の果汁を使ったアイスといえば、ブリキの氷結管に入れ、割り箸を挿して凍らせただけのアイスキャンディー。中には、ジュース(清涼飲料水)をそのまま凍らせたようなものもある。

2013年からコンビニアイスのフルーツアイスバーに対する考えが劇的に変化する

今回、筆者が注目するコンビニエンスストアのプライベートブランド(以下、PB)のアイスは、2019年から国産果汁30%以上使用したフルーツアイスバーを販売するローソン。2019年から日本全国のフルーツをアイスでまるごと楽しめる商品を発売。

ウチカフェ 日本のフルーツ 福岡県産あまおういちご
ウチカフェ 日本のフルーツ 福岡県産あまおういちご

 商品のコンセプトは、国産のフルーツ果汁を30%以上とフルーツ果汁の配合量にこだわったアイスシリーズでブランドが立ち上がってから現在に至るまでに50種類以上もの「ウチカフェ 日本のフルーツ」ブランドのアイスが誕生しており、暑くなると毎週どこのどんなフルーツがアイスになったのか楽しみでしかない。

次に、セブン-イレブンには、果肉をそのまま食べているようなアイス「まるでシリーズ」がある。

7プレミアム まるで完熟マンゴー
7プレミアム まるで完熟マンゴー

 こちらの商品は2013年、人気アイスの終売により後継品となるマンゴーアイスの開発を進めており、 果肉ゴロゴロのアイスを目指したが完成度がなかなか上がらなかったようだ。 そこで目をつけたのが、当時はまだ珍しかった冷凍食品のマンゴー。その食感、美味しさを参考に様々な試行錯誤を繰り返し、ねっとり濃厚仕立ての、「まるでマンゴーを冷凍したような食感のアイスバー」が誕生。 その後、「冷凍した果物をそのまま食べているような食感のアイス」、 「旬の時期に食べたいフルーツを手軽に食べることができるアイス」をコンセプトに、 現在にいたるまで様々なフルーツをアイスで表現し続けている。

 確かに、生果を丸齧りしているような食感が新しく特にロングセラーフレーバーが「マンゴー」。「まるで完熟マンゴー」(2023年発売)は、ねっとり食感で歯ざわりも本物の冷凍マンゴーを食べているような感覚になる。過去のフレーバーはこちら

[リンク先:セプンプレミアム 果肉をそのまま食べているようなアイス まるでシリーズ ]

 そして、今年からフルーツアイスバーに注力しているのがファミリーマート。ファミリーマートは先月6日、国産果実のアイスバーを、PBとして初めて発売する。果実農家の販路を確保して、持続可能な生産の支援につなげる目的だ。第1弾の今回は、福島県産の白桃を使用。約22万個を使い、90万本の商品を販売する予定。 

とろける食感 ぎゅっと白桃/※現在終売商品
とろける食感 ぎゅっと白桃/※現在終売商品

 同社は、持続可能な商品作りを通じた、地域の課題解決に取り組んでいる。1月には、高知県産のユズを使ったフルーツアイスバーを展開した。同商品が好評だったことを受けて今回、PBの「ファミマル」から新商品の発売に至った。今後、第2弾、第3弾と取り組みの継続を目指している。

 今後、コンビニエンスストアの「フルーツアイスバー」にさらに注目が集まると筆者はその未来を予測する。

「コンビニなのにおいしい」ではなく「コンビニ“だから”おいしい」にこだわるローソンのチャレンジ

株式会社ローソン 商品本部ベーカリー・デザート部マーチャンダイザー矢野僚子さん
株式会社ローソン 商品本部ベーカリー・デザート部マーチャンダイザー矢野僚子さん

 先月13日にリリースされた、「ウチカフェ 日本のフルーツ」シリーズ初となるカップ商品「ウチカフェ 日本のフルーツ 果肉ソースがけ 栃木県産とちおとめかき氷」に注目が集まっている。今まで、一貫して「ウチカフェ 日本のフルーツ」シリーズは、アイスバータイプでしたが、カップに入ったかき氷として新たなラインアップを追加した。なぜ、かき氷にチャレンジしたのか担当者に話を伺う。

・「ウチカフェ 日本のフルーツ」とはどんなブランドですか?

矢野「『ウチカフェ 日本のフルーツ』は“果物のおいしさを楽しめるようなアイス”というのが最大のコンセプトでして、“フルーツのおいしさをそのままアイスで表現させたい”ということで日々商品開発をしています」

“果物のおいしさを楽しめるようなアイス”というのは本当にありがたいことで、生のフルーツには当たり外れがある。つまり、購入した後においしいおいしくないがある。大人になってから自分で果物の皮を剥いたりカットしたりするのが億劫だ(※個人の意見)。
確かに、「ウチカフェ 日本のフルーツ」は、エリア問わず全国のローソンで気軽に購入できておいしさ保証と言いますか、皮をむくにしてもパッケージから商品を取り出すだけで自分が食べたい時においしいフルーツ(アイス)が待ってくれていますよね!

矢野「そうですね。弊社にも果物のカットフルーツが商品として店頭にありますが、こちらもお客様からご好評いただいています」

「ウチカフェ 日本のフルーツ」ブランドからカップ商品を発売した理由とは

・「ウチカフェ 日本のフルーツ」は、生の果物の美味しさを再現したのがポイントだったはずですが、なぜカップにしようと思われたのでしょうか?

矢野「弊社のアイス全体のボリュームゾーンの男女比は6対4で男性優位。しかし、『ウチカフェ 日本のフルーツ』では、その比率は逆転して6対4で女性から支持されているブランドです」

・たしかに、「ウチカフェ 日本のフルーツ」のパッケージデザインは、他のアイスと比べると文字情報やイラストでゴチャゴチャせず、洗練されていますよね。

矢野「だからこそ、おいしさだけではなく食シーンも考えた結果、品質の良いものをゆっくり味わって食べていただきたいと思いカップでチャレンジしました」

・たしかに、アイスバーでも魅力はありますが、溶け始めたら手がベトベトになってしまうけど、カップなら子供と一緒に安心して食べられますよね。あと、かき氷として「ウチカフェ 日本のフルーツ」は初ですよね?

矢野「はい。市販アイスのなかで高級路線のかき氷(氷菓)がおそらく『白くま※』ぐらいしか確立できていないというところに目をつけました。専門店のかき氷がかなり高級路線で長い間支持されていることを考えるとカップでも『ウチカフェ 日本のフルーツ』ブランドとして、その品質をきちんと訴求して味わえるものがあってもいいんじゃないのかと思ったんです」

※「白くま」とは、鹿児島県鹿児島市発祥の削った氷に練乳をかけ、その上にチェリーやレーズン、みかん、パイン、小豆、寒天と、色とりどりのトッピングをのせた氷菓子

・社内でのリアクションはどうでしたか?

矢野「社内ではじめて提案した時は結構賛否両論ありました。試食前の男性社員(40代)からは“スーパー(マーケット)でカップかき氷を90円で買っているんだからこの量で税込214円はかわないよ!”と一蹴されました」

・なるほど、ちなみにコチラのターゲット層はどこを狙っていますか?

矢野「はい、コアターゲットは30代〜50代の女性なんです。だからこそ、今までにないウチ(ローソン)ならではの『ウチカフェ 日本のフルーツ』ブランドで日本のフルーツを使用したカップかき氷に挑戦したかったんです」

・今回特別に発売前に試食をさせていただきました。(取材当時)上蓋を開封するなりいちごの上品な香りが目の前を包みました。いちごソースの高級感がよく、プレミアムな仕上がりになっているようですが、こちらの商品のこだわりとは?

矢野「“市販アイスのカップかき氷といえば?”と聞くと必ず出てくる支持が厚いカップ商品がありますが、そことの差別化をどう出していくべきなのか苦労しました。やはり、単色(かき氷にシロップをかけただけ)のものだと同じになってしまうので思い切ってカップにするというメリットを活かして、食感やソースは絶対に入れたいと思いました。ただ、ソースの量とバランスを決めるのが大変でしたね」

かき氷の上に果肉ソースがけ!
かき氷の上に果肉ソースがけ!

・味わいもすごく自然ないちごの甘さが立っていて、食感が通常の氷の食感ではないのですが、その点いかがでしょうか?

矢野「とちおとめの素材の味を楽しんでいただけるような仕立てにしました。製法のこだわりとしましては、氷を削る工程を通して、氷の大きさを調整し、くちどけなめらかで、シャリシャリとした食感のかき氷を採用しています。」

・ちなみに、「ウチカフェ 日本のフルーツ」の味の選定はどうやって決めていますか?

 矢野「実は、2024年のスタートはすでに始まっていまして、だいたい半年前には次のフルーツを決めていきます。やっぱり、フルーツバーにした時に果物感があることが第一条件ですが、果汁のパーセンテージをあげても変わらないものやあげて美味しくなるものがあるんですよね。例えば、柑橘系の酸味のあるものには皮にエグ味がでるものなど様々ですが、伊予柑やパイナップルは果汁のパーセンテージを上げると美味しかったですし、白桃は果汁を80%まであげてみたけど、そんなに味に変化が見られなかったりと…。あとは、多くのお客様が手にとってもらいやすい果物を選定することが大事だと思っています。今まで50種類以上『ウチカフェ 日本のフルーツ』のアイスを発売していますが、果物の選定でニッチな方に行けばいくほど手にとってもらえる機会が少なくなってしまうので来年発売のフレーバーは、現在模索中です」

・「ウチカフェ 日本のフルーツ」は果汁30%以上にしている理由はなんですか?

矢野「果物を食べているようなコンセプトを感じられるように。果物本来の生の香りを感じていただけるようにこだわっています。ただ、今回の商品は果肉を入れた分果汁が少なくなってしまった。」

・いやいや、かき氷(氷菓)で果汁15%を超える商品はあまり見かけないですので私は「ウチカフェ 日本のフルーツ」としてのこだわりはしっかりと伝わっていますよ。

矢野「安心しました。ぜひ、多くの方に『ウチカフェ 日本のフルーツ』のこだわりを知っていただきたいので全国のローソンでお待ちしています。」

ウチカフェ 日本のフルーツ 果肉ソースがけ 栃木県産とちおとめかき氷は絶賛発売中※数量限定販売
ウチカフェ 日本のフルーツ 果肉ソースがけ 栃木県産とちおとめかき氷は絶賛発売中※数量限定販売

取材後…。

矢野「実は、もう一品先行でご試食していただいてもよろしいですか?」

差し出されたアイスがコチラ

「ウチカフェ 日本のフルーツ 白桃」毎年出している人気のフレーバー。7月4日(火)に全国のローソンで発売される商品をご紹介!
「ウチカフェ 日本のフルーツ 白桃」毎年出している人気のフレーバー。7月4日(火)に全国のローソンで発売される商品をご紹介!

商品名:日本のフルーツ 福島県産白桃

価格 :税込214円

発売日:7月4日(火)

特徴 :・福島県産の白桃果汁を60%配合・食べやすい形状に保つために、アイスバーの外側をウォーターコートし、内側は福島県産白桃味のきめ細かい氷を使用したアイス

矢野「おかげさまで白桃は毎年出していて、味わいだけではなく香りも楽しんでいただける仕立てになっています」

 パッケージから開封しても桃の香りがあまりしません。しかし、かじった瞬間! 白桃の香りが口の中から鼻に抜ける自然な感じがとても素晴らしいですね。食べた瞬間に香りが膨らんだ意味がわかりました。アイスバー全体を薄い氷の膜でコーティングされていました。この齧った瞬間のパリパリする食感と香りがやみつきになりそうですし、食べた人にしか伝わらない繊細なフルーツの声。わざとらしくないんです。作られた感じがまったくしません。

「ウチカフェ 日本のフルーツ 白桃」アイス断面
「ウチカフェ 日本のフルーツ 白桃」アイス断面

矢野「白桃は一歩間違えるとお菓子っぽくなってしまうため、いかに自然な白桃の味にさせるかが難しいフレーバーなんですが、そのようなコメントをいただけて安心しました」

・今後、「ウチカフェ 日本のフルーツ」をどういうブランドにしていきたいですか?

矢野「『ウチカフェ 日本のフルーツ』を通じて、日本にある果物の美味しさをたくさんの人に伝えていきたいです。生でフルーツを食べる人が少なくなっているので、アイスでも日本のフルーツのおいしさや魅力を若い人を中心にたくさんの方に知っていただければと思っています。『ウチカフェ 日本のフルーツ』は自信作ですので、ぜひこのアイスをきっかけにお近くのローソンへお立ち寄りいただけるよう日々頑張ります!」

取材協力:ローソン

アイス研究家/リサーチャー

1歳1ヶ月からこれまでに食べたアイスの数は、およそ6万個以上。(初めて食べたアイスは「ガリガリ君 ソーダ味」)「アイスは単なるデザートではなく冷凍食品」であることに気がつき東京藝術大学へ進学、年間4,000種類ものアイスの食べ方を研究しイートデザイナーとして「魔法のアイスレシピ」(KADOKAWA)を出版し話題に。様々なメディアを通じて独自の視点でアイスの魅力を発信し続けるアイス評論家としても活動中。

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