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未来の乗り物「ハイパーループ」真空チューブ内を走る新幹線、時速1000kmに到達?

©HyperloopTransportationTechnologiesInc.

皆さんは世界で一番早い乗り物は何だと思いますか?新幹線や航空機などが考えられますね。本記事では、時速1000kmという規格外の速さで走る未来の乗り物「ハイパーループ」を解説していきます。

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■真空チューブを走る新幹線「ハイパーループ」構想

ハイパーループのイメージ図©Wikipedia
ハイパーループのイメージ図©Wikipedia

「ハイパーループ」は、チューブ内を車両が空中浮遊して高速移動する、新しい輸送システムです。ただ地下鉄がチューブになっただけではありません。そのチューブ内の空気を抜き、真空にすることで空気抵抗を抑えるというものです。そのため、時速1000kmを超える移動が可能になります。これはリニアモーターカーの約2倍の速さに匹敵します。また、車両自体はCO2を排出しないため、環境にも優しい乗り物なのです。

実は、この真空列車という構想は、1904年にロバート・ゴダードさんによって最初に提案されています。しかし、多くの技術的課題から本格的に建設は試みられていなかったんですね。そして2013年、皆さんもよく知るあの人、イーロン・マスク氏がこのハイパーループに関する論文を発表します。

その構想では、ロサンゼルスからサンフランシスコを時速1220kmで、なんと約35分で移動する構想です。東京から大阪への移動で考えると、20分もかからない計算となるのです。もしハイパーループが実現すれば、我々の生活は一変することとなるでしょう。

■果たしてその実現性は?

ハイパーループのイメージ図©Wikipedia
ハイパーループのイメージ図©Wikipedia

しかし、ハイパーループの実現には様々な課題が存在すると考えられています。

例えば、真空にしたチューブの維持や放熱などです。特に、車両を浮上させた状態で加速させるためのエネルギーをどのように確保するかが大きな壁なのです。当初、車両に搭載した蓄電池を使い、エアベアリングで空気浮上させる案などが考えられていました。しかし、それだけでは必要なエネルギーを確保することが難しいことがわかったのです。

そこで、リニアモーターカーと同様の磁気浮上式も検討されていますが、こちらの案にも様々な課題が存在します。まず大きなところとして、コストの問題が挙げられます。全線に渡り界磁を配置する必要があり、建設費が高騰してしまうという課題があるのです。また、通常のリニアモータ-カーと異なりハイパーループはチューブで覆われているため、金属でチューブを製作した場合、走行時にリニアモーターから生じる磁場による誘導電流で、IHクッキングヒーターのように発熱してしまう可能性があるのです。

これらの課題に苦戦しているため、まだハイパーループは実現はしていません。次回の記事では、実際にハイパーループの開発に挑戦した企業をご紹介します。お楽しみに!

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