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賞味期限が近付いた非常食のカンパンでナポリタンを作ると美味しいことを伝えたい

田中健介ライター

阪神大震災から28年。東日本大震災から13年。今年2月のトルコ・シリア地震も記憶に新しく、防災意識を常に高めていかねばと考える今日この頃。
我が家でもそれなりに備蓄をしていて、その中のカンパンが賞味期限を迎えることとなった。食い意地の張った筆者に「捨てる」という選択肢はない。ましてやフードロスなどにうるさい世の中で。
さあ、これらをどうやって消費しようか。

そのままポリポリと食べるのも大好きだ。水分が少ない食べ物だけに、時々胸につかえて水分を求めるあの感覚ですら、「これぞカンパンならではの喉ごし」と、もはや心地良いと思える私は、ちょっと変態なのかもしれない。

さて、私は一応ナポリタンを専門とするライターだ。パスタもカンパンも小麦粉が原材料だし、カンパンでナポリタンのような料理を作れないだろうか。せっかくだからチャレンジしてみよう!

まずはカンパンをコンソメで煮て、やわらかくする

まずはカンパンをやわらかくすることから始めよう。
鍋に水300ccに固形のコンソメを1個入れ、沸騰させる。

カンパンは三立製菓の缶入りカンパンを使用。これを一缶分、沸騰したコンソメスープで煮ていく。

缶入りカンパンに一緒に入っている氷砂糖は使わない。
これはライター業で必要な糖分として消費される。

中火の弱火で煮る。火が強すぎると、カンパンがコンソメスープを吸い込む前に水分を失ってしまい、焦げ付く恐れがあるので注意。
かき回したりするとカンパンの形が崩れるので、極力触らない。
触らなくても、いくつかは中央が割れていく。これは仕方ない。
6分程度煮ていくと、カンパンはコンソメスープを完全に吸い込む。
カンパンの下ごしらえはこれにて終了。

あとはナポリタンを作る要領で!

カンパンの下ごしらえを終えたら、あとは普通にナポリタンを作る要領で。
具材は玉ねぎ中型を1/2個、ピーマン1/2個、ベーコン30g。

玉ねぎ中型を1/2個、ピーマン1/2個、ベーコン30gを、バターで、強火で炒めていく。
炒め油は何でも構わないが、バターはトマトケチャップとの相性が良いだけでなく、洋食感が出る。
塩コショウも、少々入れておこうか。

玉ねぎが透き通った頃合いで、トマトケチャップ50gを入れ、全体を和えていく。

そしてカンパンを投入。炒めを続ける。

そしてさらにトマトケチャップを30g入れ、全体に馴染ませる。
これがいわゆる「追いケチャ」ってやつ。

カンパンのナポリタン、完成!

カンパンのナポリタンが完成、盛り付けてみた。
一見中華料理にも見えるし、ホルモン焼にも見える。

早速いただいてみよう。
イタリア料理のニョッキのような食感とまではいかないが、それに近い感覚で、とても美味しいナポリタンになった。ちなみにカンパンには黒ゴマが入っているが、それが特に主張することはない。
カンパンは煮た後に炒めているので、割れてしまうものも多くあるのが見た目には残念だが、割れたものの方が味が染みて、美味いと思う。
おかずにもなりうると思うので、夕飯の献立で、あと一品欲しい時など、簡単に作れるので是非おススメしたい。

マッシュルームと粉チーズを忘れてた!

ナポリタンにはマッシュルーム。
それをすっかり忘れていた筆者は、後日改めてマッシュルーム入りのカンパンナポリタンを作った。
冷蔵庫にコーンが少しあったので、それも入れ、マッシュルーム同様に忘れていた粉チーズも振りかけた。
前回よりずっと見た目も華やかになり、美味しかったのは言うまでもない。

想像はできていたが、それ以上に美味しくできたカンパンのナポリタン。
カンパンが非常食として長年重宝されているのは、こういった順応性があるからなのだと思う。改めてカンパンのポテンシャルに気付かされた。

災害は、できれば起きない方がいい。しかしいつどんな時に起きるかわからないし、起きるかもしれない。
そのために、必要なものを備えておくことは大切だ。
そして、それらをアレンジする「備え」を持っておくことも、日々の生活におけるちょっとした「彩り」や「喜び」を与えるという意味で、大切なことではないかと筆者は思うのであった。

ライター

2010年3月著書「麺食力」(ビズ・アップロード)出版、2017年4月~「はま太郎」(星羊社)連載、2019年4月~リクルートHOTPEPPERグルメ「メシ通」執筆。2009年よりスパゲッティ・ナポリタン発祥の地・横浜で「日本ナポリタン学会」会長。マイクロツーリズムの楽しさを主に伝えていきます。

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