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【英会話】お互い様さ で、I'll get even を使ったら大爆笑された。なんで?

英語雑学エッセイスト 徳田孝一郎英語・英会話研修スクール「英語・直観力」代表

 仕事で英語を話し始めて20年ほどになりますが、英語を話し始めた時に感じたのは、日本語では使わないフレーズが結構あるな ということでした。たとえば、Can I pour you a drink? 酒、つごうか? なんて、なかなか言わないフレーズですよ、日本人同士だったら、訊(き)く前についじゃいますもの。相手に尋ねてからつぐなんて野暮って感覚なんで、あることにはあるけど使わないフレーズなんです。

 その手の日本語では使わないフレーズを、無理して使って爆笑されたことがあります。Native English Speakerの感覚になって話してるのはよかったんですけど、ちょっと実力が伴ってなかったんですねぇ。今回は読むとNative English Speakerっぽく話せるようになるお得なエッセイです。

お互い様さ

 英会話のレッスンを始めてしばらく経ったころのことです。講師のRichが遅刻してきたことがあります。時間を読み違えちゃったそうで、平謝りに謝られた。この男、Native English Speakerにはめずらしく(Native English Speakerのみなさま、失礼)時間厳守の男なんです。

I'm awfully sorry! I missed the train. すげーごめん。電車乗り遅れた。

っていうんで、まぁ、謝ってるからいいかと思ったんですが、その時ふとNative English Speakerだったらここでどう言うだろうな、と思っちゃった。

 Native English Speakerって、「人にしてもらいたいと思うことを、人にもしなさい」って育てられるせいか、人に迷惑をかける のはあまり気にしません。そのNative English SpeakerのRichがこれだけ謝るのだから、相当反省しているのは間違いない。なんかうまいこと言ってやろうって色気が出たんです。

 日本人なら、しようがない奴だなぁ、次からは遅れるなよ ぐらい言うんでしょうけど、Native English Speakerならどういうかと思って考え付いたのが、
お互い様さ
です。うん、人に迷惑をかけるのを気にしないNative English Speakerならこういうに違いない! と嬉しくなったんですが、英語がぱっと思いつかない。それならと、お互い様 を意訳して、いつか(おれも遅刻して)公平を得る というのがいいんじゃないかと、

I'll get even someday.

って言ってみた。そしたら、一瞬キョトンとしたRichが次の瞬間、大爆笑。
 みなさん、私が言った英語、どんな意味になってるかお判りでしょうか?

 笑いを必死にこらえてRichが教えてくれたんですが、このI'll get even. は、酷い目にあわされたときに相手に言う言葉で、借りは返すぞ とか、仕返ししてやるぞ という意味なんです。だいぶ親しくなってたんで、Richも私がそんなこと言うはずがないと大爆笑。いつかおれも使ってみよう っていいネタを提供できました。

 あさって12月25日クリスマスは「人にしてもらいたいと思うことを、人にもしなさい」と教えを説いたイエス・キリストの誕生日です。迷惑をかけるかな? と臆するのではなく「人にしてあげる」という積極的な気持を持ってもいい日かもしれません。

 あ、もちろん、英語を話すときはいつもそうする方がNative English Speakerっぽくなります。意識してみてください。実力不足で私みたいに爆笑されても責任は持てませんが。

 と、こんな感じで、Native English Speakerたちとの英語やカルチャーギャップのお話をご披露したいと思っております。お気に召しましたら是非ともごひいき(フォロー)くださいますようお願い申し上げます。

 そういえば、お互い様さ は本当はどういうかを話していませんでした。それは、

You'd do the same for me.

です。なるほど、もしおれが同じように迷惑かけたら、おまえは同じく許してくれるだろ かぁ。ちょっと洒落(しゃれ)てますね。恥ずかしがらずに使ってください。

イラスト 大橋啓子

英語・英会話研修スクール「英語・直観力」代表

英語嫌いだったが、仕事で必要に迫られ日本語を英語にする方法で英文法をマスター。その実績を買われて英会話習得カリキュラムを作成するために英会話スクールに転職し活躍する。この時期に英文法をネタにした小説「英語の国の兵衛門」も上梓。その後Vice-presidentに就任。Native English Speakerのマネージメントを経験し、日本人とは違った価値観や思考法に振り回されるという経験を多々する。現在は独立し、英会話スキルだけではなく、Native English Speakerとうまく交渉できるスキル習得を目指した英語・英会話研修スクール「英語・直観力」を経営している。

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