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城下町総選挙 ブラタモリは85%もの城を訪ねていた!

とらべるじゃーな!穴場ずらし旅、愛好家

関東圏の穴場ずらし旅の愛好家、とらべるじゃーな!です。

10月9日(月)にテレビ朝日系で放送された「城下町総選挙」。旅好きの1万人が選んだ、本当に行って良かった城下町ベスト20という、大変興味深い内容でした。

ご覧になり、お気づきの方も多かったと思いますが、上位はほとんどブラタモリでも扱った城でした。数えてみると、ベスト20のうち85%を訪問済み! そこで今回は、ブラタモリではどこに目を付けたのかを、おさらいしてみます。

※城下町ではなく、お城本体を中心にご紹介します。

第1位 首里城下町(沖縄県)

戦国時代や幕府の城とは異なる、首里城周辺を城下町に分類していいのかな?とは思いましたが、広い意味では城下町ということで、堂々の1位。ブラタモリでは、火災に遭う前の2016年2月に訪ねています。

ブラタモリ首里城編では、建物よりも石垣に注目しました。タモリさんは、首里城の石垣が、本土と異なり曲線を描いていることに気づきます。これは、なぜなのでしょうか?

答えは、大半の石垣が、琉球石灰岩から作られているから。石灰岩は、コンクリートの原料として知られ、サンゴや貝などの死骸がもとになる、加工しやすい軟石です。

このほか、自然の石を単純に積み上げたものではなく、加工が必要な布積み(長方形に積む)や相方積み(複雑な幾何学的紋様に積む)の存在にもブラタモリは注目。琉球には、大陸文化の影響で、当時の本土よりも発達した石垣が見られたのです。

【ブラタモリ沖縄】全ルートをまとめ|タモリさん那覇、首里城、斎場御嶽・久高島へ(とらべるじゃーな!)

第2位 金沢城下町(石川県)

2位は金沢城。駅前にある高さ13.7mの鼓門(つづみもん)から、度肝を抜かれる素晴らしい城下町です。

ブラタモリが注目したのは、カラフルな石垣。金沢城にある各代の石垣のなかで、大坂の陣に徳川方として参戦した、3代目当主の前田利常が作ったものです。なぜ、このようにカラフルな石垣を作ったのでしょうか?

これは、関が原の戦いが終わった世情を反映し、芸術性を追求できたからです。

一方で、前田利常は、徳川家に謀反の疑いをかけられた時期も多く、金沢城は城下町を丸ごと囲む総構えの構造を取っており、近江町市場などの城下町に、その痕跡を認めることができます。

石垣と城下町には、前田利常の複雑な立ち位置が表れているのです。

【ブラタモリ金沢】全内容・ルートを写真でまとめと要約!#3・4(とらべるじゃーな!)

第3位 大阪城下町(大阪府)

3位には、かつては豊臣秀吉のイメージを持つ方も多かった、現存の大阪城。実は大阪城の石垣や堀は、大坂の陣の勝者である徳川がこしらえたものです。

天守閣が見える場所に、大きな井戸のようなものがあります。通常非公開ですが、はしごで下ることができます。深さは7m以上。ブラタモリの取材カメラマンが下へ降りると、そこにあったものは?

実は、地下に豊臣大坂城の石垣が眠っていたのです。現在大阪城では、豊臣の遺構が見られる施設を、2024年春の完成を目指し建設中です。

※この項では、江戸時代までのおおさかは「大坂」、以降を大阪と記しています。

城下町でブラタモリが注目したのは、京橋駅の西側にある、少し高くなった土地。当時大坂城は台地にありましたが、北側にあたるこの周辺は低湿地で、川が自然に作った堤防状の地形がこの周辺(写真では階段の上)です。

低湿地のなか、唯一戦い可能なこの場所で、徳川方約1500人、豊臣方約3000人の兵が激突しました。徳川方は、地形的にしっかりとした陣地を設営できず、敗退しました。

【ブラタモリ大阪城と真田丸】ロケ地・全ルートを写真で紹介!#54(とらべるじゃーな!)

第4位 姫路城下町(兵庫県)

4位はその白い美しさが特徴で白鷺(しらさぎ)城とも呼ばれる姫路城。ブラタモリが注目したのは、二の丸にある、原始的な石垣である野面(のづら)積み。自然の石をそのまま積み上げたものです。さて、もともとここには、何が建っていたのでしょうか?

ここには、豊臣秀吉が作った、黒いお城があったのです。

対抗するように、徳川家康は、江戸城を白で作りました。姫路城も、同時期に白に塗り替えられました。家康は、白い城に、時代の移り変わりを誇示する意図を持たせていたのです。

【ブラタモリ姫路城】全ルートを写真で紹介!~ #151(とらべるじゃーな!)

第5位 江戸城下町(東京都)

5位は、東京駅から気軽に訪ねられる江戸城。大河ドラマの「どうする家康」でも、間もなく登場するはずです。

ブラタモリは石垣の高さに注目しました。東京駅に近い場所では低い石垣が、本丸付近ではかなり高くなっています。これはなぜなのでしょうか?

江戸東京博物館(改装休館中)
江戸東京博物館(改装休館中)

お城の立地の大原則の1つが、台地の先端、守りを考えた立地です。大坂城も、名古屋城もこれに当たります。江戸城も武蔵野台地の先端に建てられたため、本丸付近は高くなっていたのです。

【ブラタモリ江戸城】全内容・ルートを写真でまとめと要約!#180、181(とらべるじゃーな!)

第6位 熊本城下町(熊本県)

第6位の熊本城に、ブラタモリは震災前の2016年に訪ねています。注目したのは、6の数字。熊本城にはあるものが66もありました。それは防衛に関係がある、どんな設備だったのでしょうか?(※熊本城公式サイトは67と示しており、多少誤差があります)

正解は、見張り台に当たる櫓(やぐら)。天守閣を守るために66もの櫓が設置されていたのです。さらに熊本城には、敵の勢いを止め、弓矢や火器で攻撃を加える曲がり角(桝形)が、6つ連続で設置されています。これは全国に例がない仕掛けです。

余談ですが、この記事を書いているとき、TBSテレビで欠陥住宅を扱っており、階段の段差が1つ1つ異なるという住宅がありました。人が転びやすくなる欠陥です。実は熊本城にも、わざと間隔をバラバラにした石垣が設置されています。

これらの守りは、南に恐ろしい敵がいたから。戦国最強とも言われる、薩摩の島津氏です。

【完全版】ブラタモリ水の国熊本、熊本城! #34 35(とらべるじゃーな!)

第7位 高山城下町(岐阜県)

第7位に登場の、飛騨高山の発展の第1段階は、高山城ができたことです。写真の宮川と江名子川の間にあるものがあったことが、高山城がここに築城された理由です。

江戸城にも、大坂城にも、名古屋城にも共通する、どんなものだったのでしょうか?

正解は、台地(舌状台地)。基本的に城は軍事要塞ですので、地勢がけわしく、敵を防ぐのに適している所に建てられます。その1例が、舌状台地です。

【ブラタモリ飛騨(高山・神岡)】全内容・ルートを写真でまとめと要約! #169(とらべるじゃーな!)

以下、「城下町総選挙」8~10位も紹介しておきます。いずれもブラタモリは訪ねています。

第8位 会津若松城下町(福島県)

第9位 名古屋城下町(愛知県)

第10位 小田原城下町(神奈川県)

なお、第11位から20位のお城は、ブラタモリは7つを訪問していました。 列挙しておくと、11位から順に、松本城、川越城、伏見城、彦根城、犬山城(未訪問)、角館城(未訪問)、松江城、竹田城(未訪問)、萩城、弘前城です。

ブラタモリでも「城下町総選挙」でも取り上げられた、数々の名城。ぜひこの秋に訪ねてみてください!

穴場ずらし旅、愛好家

関東周辺の穴場★ずらし旅スポットを紹介。日本テレビに旅の専門家として出演(2023年4月)。Yahoo!ニュースエキスパート公式旅行ライター(2023年7月企画賞)。JTB運営・地理旅行検定取得済み。東京都在住、旅行歴500泊以上。

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