金星表面の実写画像から判明!驚愕の新事実とは?
どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「金星表面で現在でも火山活動が続いている強力な証拠を確認」というテーマで動画をお送りしていきます。
2023年3月15日、金星の表面で火山活動の直接の証拠が確認されたと発表があり、話題になっています。
●金星の過去の活動の証拠
金星は太陽系屈指の過酷な環境を持つ惑星です。分厚い硫酸の雲に覆われた地表の大気圧は地球の90倍を超え、表面温度は平均で450を超える、まさに地獄のような惑星です。
このような想像を絶する環境のため、これまで金星の地表に降り立つのに成功したのは、今から40年以上前にソビエト連邦によって行われたベネラ計画が唯一となっています。
ベネラ計画によって複数の探査機が金星の地表に降り立ち、複数地点におけるいくつかの実写画像が公開され、地表を構成する物質や地形など、多くの情報をもたらしました。
その後は他の計画によって金星地表に降り立つことはありませんでしたが、金星の周回軌道に乗り、宇宙空間からレーダーを用いることで、金星表面に様々な特殊な地形が存在することが明らかになりました。
今写っている画像の左が「コロナ」という円環状の地形で、直径が300kmほどもあります。
巨大なものだと1000kmを超えることもあるそうです。
地殻の盛り上がりに加えて溶岩流が見られることから、コロナ地形は金星の地下にあるマントルの対流により上昇した物質(プルーム)が、地殻を突き破って噴出することで形成されたものであると考えられています。
また、画像真ん中は「アラクノイド」と呼ばれる地形で、蜘蛛の巣のような形をしていますが、直径は100kmほどでコロナより小さいです。
そして画像右側は「ノバ」と呼ばれる地形であり、放射状に亀裂が伸びているのが特徴です。直径は300kmほどあります。
アラクノイド、ノバ共にやはり金星の地下での活動によって形成された構造であるそうです。
これらのような地形は地球でも見られますが、大きさは金星のものの方が遥かに大きいという特徴があります。
これらの地形は確かに金星内部の活動の根拠となりますが、どれも大昔に形成されたものであり、火山活動が現在も続いているという決定的な証拠は何十年間も未発見でした。
最も新しい火山活動がいつだったのか、もしくは現在も続いているのかを知ることが重要となっています。
●金星の火山が今も活動中である根拠
そんな中、冷えて固まってしまったと考えられてきた金星がなんと現在でも活発である可能性を示す研究成果が、2020年7月にメリーランド大学などの研究チームによって発表され、大きな話題を呼んでいました。
研究チームは金星地下における活動の精密な3Dシミュレーションを行ったところ、先述のコロナ地形がどのように形成されるのかを解明することに成功しました。
またこの成果によって、コロナ地形の形状ごとにその地下で起きている活動を推測することも可能になりました。
つまりある特定の形状を持ったコロナ地形があれば、その地下では活動が現在でも続いていると判断できます。
その結果、金星表面で現在でも活動状態にあるコロナ地形が、実に37個も発見されたそうです。
この動画における白い点が活動していないコロナ地形、赤い点が活動中のコロナ地形であることを示しています。
このような活動的なコロナ地形が存在する分布図を作成できたおかげで、今後金星内部の活動や仕組みを一層理解していくのに役立つと期待されています。
ただし今回の研究ではコロナ地形の地下数百の範囲の活動のみがシミュレーションで再現されましたが、実際は1000km以上深くの領域での活動も、コロナ地形の形成に影響を与えている可能性もあるそうです。
しかしそのような深さまで再現したシミュレーションは膨大な計算が必要となるため、今回の研究では実現しませんでした。
今後さらに高性能なコンピュータが用いられることが期待されています。
●地形の変化を直接観測に成功
そしてアラスカ大学フェアバンクス校の研究チームは2023年3月15日、ついに金星表面で現在でも火山活動が起きている決定的な証拠となり得る「明確な地形の変化」を直接観測することに成功したと発表しました。
決定的な証拠が映っていたのは、金星表面の探査において大きな成果を挙げた金星周回衛星「マゼラン」が今から30年以上も前に撮影した観測データでした。
こちらはマゼランが撮影した、金星最大の火山であるマアト火山とオッツァ火山周辺のデータと、マアト火山の北側の拡大図です。
拡大図Aは1991年2月、Bは同年10月に撮影したものとなります。
AとBを比べてみると、まずほぼ円形だった火山の火口が東側に広がり、いびつな形に変形しているのが見て取れます。
元々は直径1.5km程度だったのが、わずか8カ月でその2倍にも広がっていました。
様々な分析の結果、この変化は火山活動によってしか起き得ないことが判明しました。
噴火の際に火口が部分的に破壊され、拡大したと見られています。
そして変形した火口の北側には、数kmの斜面を下る新たな溶岩流のようなものも出現しているように見えます。
変形した火口から溶岩が溢れ、流れ出た可能性があります。
この結果により、金星は現在でも年に数回程度の噴火が起きている、活動が活発な「生きている惑星」である可能性が更に高まりました。
今後の金星周回ミッションで同様の箇所が撮影されれば、実に30年間分の変化を目の当たりにできるかもしれません。