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宇宙誕生から1カ月後、2度目のビッグバンが発生!?【ダークビッグバン】

どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。

今回は「ビッグバンは二度起きていたかもしれない」というテーマで動画をお送りします。

2023年2月、テキサス大学オースティン校の研究チームは、宇宙誕生直後に発生していた「ビッグバン」は、なんと二度発生していた可能性があると発表し、世界的に大きな話題となりました。

本動画では、そんな二度目のビッグバンである「ダークビッグバン」について解説していきます。

●宇宙には「始まり」があった

20世紀の初めまで人類は、宇宙には始まりも終わりもなく、永遠不変のものであると考えてきました。

そんな中後述する様々な観測事実が明らかになり、現在では宇宙には始まりがあったとする理論が定説となっています。

現在有力とされている宇宙の始まりの瞬間に起きた出来事は、以下の通りです。

この宇宙が誕生する以前の世界は、あらゆる物質も、時間や空間(時空)すらもない「無」の状態であったとされています。

そんな中量子論的ゆらぎから、10^(-35)m程度という極めて小さい宇宙の時空が誕生したそうです。

ただしこの宇宙誕生の前と誕生の瞬間については、理論的にも観測的にもほとんど何もわかっていません。

そして宇宙誕生の瞬間の10^(-36)秒後から10^(-34)秒後までの極めて短い間に、極めて小さい宇宙が直径1cm以上のサイズに急膨張します。

この膨張速度は光速などの比ではなく、「シャンパンの泡1粒が一瞬のうちに太陽系以上の大きさになるほど」と例えられています。

この宇宙誕生直後の急膨張を「インフレーション」と呼んでいます。

インフレーションの際、膨大な熱エネルギーが放出され、宇宙空間を満たします。

この宇宙誕生直後における超高温の火の玉のような状態の宇宙を「ビッグバン」と呼びます。

●ビッグバンは2回あった!?

2023年2月、テキサス大学オースティン校の研究チームは、宇宙誕生直後に発生していた「ビッグバン」は、なんと二度発生していた可能性があると発表し、世界的に大きな話題となりました。

クォークや電子など通常の物質を構成する素粒子や、電磁波などという、この宇宙に存在するあらゆる「もの」は、インフレーション直後のビッグバンの瞬間に放射されていた膨大なエネルギーをもとに生成されたと考えられています。

そして定説において、ビッグバンの瞬間のエネルギーをもとに生成されたのは、宇宙を満たす未知の物質「ダークマター」も例外ではありません。

ダークマター(暗黒物質)とは簡単に言うと、「電磁波を全く放たないか物凄く暗いために電磁波では観測できないものの、質量を持つため他の天体等に重力的な影響を及ぼす未知の物質」のことです。

目に見えないダークマターが存在すると広く信じられている理由は、「目に見える物質だけではとても説明できないほど強い重力が働いている現場」が幾つも知られているためです。

その代表例に、「銀河の回転運動」があります。

銀河の中心から離れるほど回転速度は落ちると予測されているのに対し、実際は速い速度のまま維持されています。

この理論と観測結果のギャップは、「光では観測できないが質量を持つ未知の物質、つまりダークマターが銀河質量の大半を占めている」と仮定するとうまく説明できます。

他にも非常にマクロなスケールで宇宙を見たときに、銀河の分布が織りなす「宇宙の大規模構造」にも、ダークマターによる未知で強大な重力の存在が伺えます。

しかし研究チームは、インフレーション直後のビッグバンの瞬間のエネルギーをもとに、ダークマターを含めたあらゆる「もの」が生成されたという常識に疑いの目を持っています。

ダークマターは銀河などマクロなスケールにおいて重力的な影響を及ぼす存在ですが、電磁波で観測ができていないことからも、通常の物質に対して重力以外の力による相互作用を起こさない物質であると考えられます。

重力は電磁気力など他の力と比べて30桁以上も弱いです。

よって通常の物質や電磁波とダークマターの繋がりが極めて弱いことから、これらが全て同時に生成された必然性を説明することが困難になっています。

実際、ダークマターが宇宙の大規模構造が形成される以前に存在していた証拠は見つかっておらず、当然ながらそれらが同時に生成された証拠も一つもありません。

そこで研究チームは、ダークマターが生成された「二度目のビッグバン」が存在していた可能性を提唱しています。

本研究ではダークマターを生み出したとされる二度目のビッグバンを「ダークビッグバン」と呼んでおり、ダークビッグバンと区別して、従来のビッグバンを「ホットビッグバン」と呼んでいます。

○ダークビッグバンはいつどのように起きた?

このあたりは僕自身正直あまり理解できておらず、そもそも現在でも完全に解明されていない部分でもあるようですが…

そもそも通常の物質や電磁波などは、インフレーション直後に生じた膨大なエネルギーをもとに生成されたと考えられています。

そんなインフレーションは、「インフラトン」と呼ばれる「場」が持つエネルギーによって起こり、インフレーション終了後に「場」が崩壊することで膨大なエネルギーが生み出され、超高温のビッグバンの状態となりました。

「場」が崩壊すると「場」のエネルギーはより低い状態で安定します。

一度目の「ホットビッグバン」によって「場」のエネルギーが最低状態に至り、現在まで安定しているというのが従来の理論です。

しかしホットビッグバンによって真の最低状態ではなく、局所的な最低状態に一時的に至っただけなのであれば、その後真の最低状態に至る際に再び膨大なエネルギーが生み出され、このエネルギーをもとに「ダークマター」が誕生した可能性があります。

研究チームはダークビッグバンが存在したとすれば、宇宙誕生の瞬間(ホットビッグバンの瞬間)から一か月以内で起きたと考えています。

○ダークビッグバンの証拠

電磁波が直進するようになり、電磁波の観測からその発生源の情報を得られるようになったのは、宇宙誕生から約38万年後のことです。

この時代以前の情報は、ダークビッグバンを含め、電磁波の観測によって得ることは困難です。

しかし電磁波ではなく、重力波による観測から、ダークビッグバンの証拠を得られるかもしれません。

重力波は宇宙誕生直後から他の物質と相互作用することなく直進していたため、ダークビッグバンの瞬間に放出され、その情報を持っている重力波が現在の宇宙にも存在している可能性があります。

しかしそのような重力波は信号が非常に弱く、地球上に存在する重力波検出装置では観測が難しいでしょう。

ですが、「パルサー・タイミング・アレイ」という方法であれば、検出可能かもしれないと述べられています。

この手法では、パルサーと呼ばれる天体からやってくる電波に着目します。

パルサーは地球に極めて正確な周期で電波を放射する天体で、その正体のほとんどは超高密度天体である「中性子星」です。

最新技術をもってすれば、数十ナノ秒という極めて小さい誤差でパルサー由来の電波の到達タイミングを予測できるそうです。

そんな中、重力波によってパルサーと地球間の距離がわずかに変化すれば、パルサーの到達時刻も僅かに変化するため、その変化を捉えることで間接的に重力波の存在を知ることができます。

宇宙誕生直後の瞬間は、謎だらけです。

しかしダイナミックで、ロマンがありすぎる分野なので、今後も超初期宇宙で起きた出来事が解明されていくのが楽しみで仕方ありません。

https://astro-dic.jp/big-bang-nucleosynthesis/
https://arxiv.org/pdf/2302.11579.pdf
https://gizmodo.com/dark-matter-big-bang-hidden-universe-physics-1850199134
https://www.universetoday.com/160285/the-universe-may-have-started-with-a-dark-big-bang/
https://sorae.info/astronomy/20230317-dark-big-bang.html
http://www.tuhep.phys.tohoku.ac.jp/~fumi/styled-4/styled-3/index.html

「宇宙ヤバイch」というYouTubeチャンネルで、宇宙分野の最新ニュースや雑学などを発信しているYouTuberです。好きな天体は海王星です。

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