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深い青のイメージは全く誤解だった!海王星の真の色が判明

どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。

今回は「天王星と海王星の真の色が判明」というテーマで動画をお送りしていきます。

オックスフォード大学などの研究チームは、人間の目で天王星と海王星を見たときに感じる、正確な「真の色」を導きました。その結果、二つの惑星は実はかなり似た色をしていることがわかりました。

●巨大氷惑星のイメージ

これまでに天王星と海王星を直接訪れた探査機は「ボイジャー2号」のみで、ボイジャーが撮影した実写画像が2つの巨大氷惑星の代表的なイメージとして定着しています。

具体的に、天王星は淡い青色、海王星は深い青色をしているというこのイメージがあると思います。

しかし実は、このイメージは誤解であり、「真の色」を反映しているわけではありません。

特に海王星は表面の雲や風などの構造を強調するため、実際と比べて色に補正がかけられています。

補正がかけられていることはわかっていたため、この画像が公開された当初は、これが着色されたものであるという説明が画像と共に添えられていましたが、時間経過とともに記述されないことが増えていきました。

●新たに判明した「真の色」

オックスフォード大学などの研究チームは、人間の目で天王星と海王星を見たときの正確な「真の色」を導くことに成功したと新たに発表しました。

実際の見た目の色が反映された新たな画像を見てみると、二つの惑星は実はかなり似た色をしていることがわかります。

真の色を割り出すにあたり、「ハッブル宇宙望遠鏡」などの観測データを用い、さらに別の研究で得られた、人間の目の「色の認識の仕方」に関するデータも利用しました。

これまでイメージされていたほどではないものの、真の色の比較においても海王星の方が微妙に深い青をしていますが、これはなぜでしょうか?

そもそも巨大氷惑星の青っぽい色の原因は、その大気に含まれるメタンにあるとされています。

メタンは様々な色の光を含んだ太陽光のうち、青い光以外を吸収します。そのため惑星表面で反射してくる太陽光は吸収されずに残った青い光が多くなり、両者とも青っぽく見えています。

しかしこれらの惑星大気には様々な色を含んだ太陽光全体を反射する「もや」が含まれており、両者とも白っぽくも見えています。

天王星の方が大気中に含まれるもやの層が厚いためより白っぽく見え、海王星は深い青の成分が多く残っているのです。

●天王星の色が変化する理由も解明

本研究では巨大氷惑星の真の色が導かれただけでなく、天王星の色が変化して見える謎についても解明されました。

天王星は地球からの見た目の色や明るさが、数十年単位という非常に長い時間をかけてゆっくりと変化していることが知られています。

具体的には、天王星は夏至と冬至の時期に緑色が濃くなる傾向にある一方、春分と秋分の時期には青色が濃くなる傾向にあります。

では天王星の見た目の色が長期的に変化する要因は何なのでしょうか?

いくつかの要因のうち一つは、天王星の特異な自転軸の傾きのために、季節ごとに地球から見える面が異なるためです。

太陽系の惑星は全てほぼ同じ平面上を公転しており、かつほとんどの惑星はその平面に対して垂直に近い角度の自転軸を持っているため、地球から北極と南極の極域を観測することは困難です。

ですが天王星だけは例外で、ほぼ横倒し状態で自転しています。

そのため夏至と冬至の時期には北極か南極のどちらかが(太陽と地球がある)太陽系の内側の方向を向き、春分点と秋分点では赤道域が太陽系の内側を向くことになります。

季節ごとに地球から見える惑星表面の領域が変化するという特徴は、横倒し状態で自転する天王星ならではの特徴と言えます。

さらに極域と赤道域では、太陽光の色ごとの反射率が異なっており、見た目の色や明るさに違いがあります。

これらのことから、地球から見て天王星の色や明るさが長期的に変化して見えるのは、84年という天王星の長い公転周期の中で、地球から見える領域が変化してきたためであると考えられてきました。

ですが、そもそも極域と赤道域で、光の反射率が異なるその根本的な原因については未解明でした。

そこで研究者たちは、天王星の極域と赤道域の色ごとの反射率を比較するモデルを開発しました。

すると極域は赤道域と比べ、緑と赤の色の光をよく反射すると判明しました。

この性質のため、地球から極域がよく見える夏至と冬至の時期は、天王星の色が緑っぽく見えていたのです。

さらに、極域がより赤色や緑色の光を反射しやすい理由も解明されました。

赤色や緑色の光を吸収する性質を持つメタンガスの存在量が、赤道域の約半分と少ないことが挙げられます。

そして凍ったメタンの小さな粒も存在しており、これがさらに多くの赤色や緑色の光を反射するため、より顕著な色の変化として観測されていました。

天王星と海王星は他の惑星と比べると非常に距離が遠く、まだわかっていない謎も多いですが、今回の研究のように新発見が続々ともたらされています。

NASAは、天王星の現地探査を比較的優先度の高いミッションとして捉えているため、今後そういった探査が実現し、急激にその謎が解明されていく期待が高まっています。

https://academic.oup.com/mnras/article/527/4/11521/7511973
https://www.eurekalert.org/news-releases/1030165
https://www.ox.ac.uk/news/2024-01-05-new-images-reveal-what-neptune-and-uranus-really-look-0
https://www.gemini.edu/pr/gemini-north-telescope-helps-explain-why-uranus-and-neptune-are-different-colors

「宇宙ヤバイch」というYouTubeチャンネルで、宇宙分野の最新ニュースや雑学などを発信しているYouTuberです。好きな天体は海王星です。

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