2023年8月、赤穂市坂越に、提灯や灯篭、ランプなどを手がける灯りの専門店「燈璃屋（あかりや）」が移転オープンしました。「燈璃屋」は、播磨地域でも数少ない提灯職人、山口勝也さんによる提灯の工房兼ワークショップなどが楽しめるお店です。どんなお店なのか紹介しましょう。

大避神社参道近くにオープン

「燈璃屋」は、秦河勝をご祭神とする坂越の神社「大避神社」の参道上がり口より、少し東の道沿いにあるお店です。

勝也さんの奥さんの環さんの実家をリノベーションして、工房とワークショップをするスペースにしています。

ショーウィンドウには、坂越の雰囲気に合うようにと、環さんが集めた昭和レトロな雰囲気のカップやグラスなどが並べられています。

なかに入るとこんな感じ。
右側には、勝也さんが手がけた、出荷待ちの提灯がズラリと並び、まさに圧巻。
秋祭りを控え、各地から依頼された提灯たちです。
「今、一番多いときなんですよ」と環さん。

提灯もランプもお手のもの

提灯職人の山口勝也さんです。
山口さんは、かつて花岳寺門前町で営んでいた提灯専門店「めがや商店」の三代目。
サラリーマンの傍ら提灯製作をしていましたが、昨年から本腰を入れて量産するようになりました。
もともと工房は今の場所より山の手でしたが、坂越を訪れる観光客の方にも気軽に工房に立ち寄ってほしいと、今年になって環さんの実家を整備しました。

勝也さんは、播磨地域の特徴ある「播磨字」を主に使い、提灯に裏から写して字を下書きし表から塗っていきます。
この下地の作り方と、竹と竹の間の部分の文字の乗せ方が腕の見せ所だそうです。

祭りのときに神社や家の軒先に飾るご神燈はもちろん、居酒屋の雰囲気ある演出としての提灯なども手がけます。

取材時には、消防団に依頼された「年末特別警戒実施中」の提灯、市内の自治会に依頼された「地蔵盆」の提灯などがありました。
新品はもちろん、張替など修理をすることもできます。

市内の和菓子店からは「おじいさんが書いた字を使って、家紋と看板商品の名前を入れてほしい」というフルオーダーがありました。そんな注文にも応えることができます。
和菓子屋と提灯、雰囲気バッチリですよね。

タイミングにも寄りますが、勝也さんの作業風景やできあがった作品や商品を見学することができます。播磨地域でも数少ない職人さんですから、ぜひこの機会に技を見学して帰ってください。

「日本の大切な文化を受け継いでいきたいですね」と勝也さん。

提灯は24,200円～（大きさにより異なる）

こちらは「越前和紙ランプ」です。

「越前和紙がステキなんです。越前の和紙工房まで直接行って、一枚ずつ感触も確かめながら買ってきたもの」と環さん。

勝也さんが作った木枠に、好きな越前和紙を選んで作るセミオーダータイプのランプです。
木枠もオリジナルで、写真右の枠は、古い家の欄間を活用したもの。趣がありますよね。

越前和紙は、時代劇の小道具で使う灯篭制作の第一人者の職人さんとの出会いもあり、すべて一点もので買い付けているそうですよ。

ワークショップも楽しい

工房内では、さまざまなワークショップを楽しむことができます。

「越前和紙ランプワークショップ」は、好きな越前和紙を選んで、あらかじめ用意した台座に貼りつけていくもの。
越前和紙は、厚さ、柄など、さまざまなものを用意しているので、選ぶ段階から楽しいというわけ。
こちらは、ランプを入れてのお渡しになります。

「弓なり提灯づくりワークショップ」もあります。
ミニサイズの弓なり提灯に、名前や絵を入れてオリジナルの提灯を作ります。
文字用には、本物の提灯づくりに使う本墨、絵を描く時用に、アクリル絵の具を用意します。

「どちらも年齢関係なく楽しめるので、坂越を訪れた記念に体験していってほしいですね」と環さん。