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【赤穂市】設計を通して居心地の良い場所づくり「TORO」でくつろぎのひとときを

歌見フリーライター、御朱印ガール、仏像女子(赤穂市・相生市)

「TORO(トロ)」は、坂越の石畳の通りにオープンしたカフェ。店主夫妻の建築設計事務所も兼ねたスペースで、ショールームとしての機能もあります。築140年の古民家をステキにリノベーションした空間は、坂越らしさがキラリと光る趣向もあってセンス抜群。どんなお店なのか取材してきました。

坂越大道でひときわ目立つおしゃれな建物

「TORO」は、今年1月にプレオープンし、3月15日にグランドオープンしました。店主の坂田旭さんは一級建築士、妻の成富文香さんはランドスケープデザイナーで、ご夫妻の建築設計事務所も兼ねたスペースです。
お店の場所は、坂越の石畳の通りの入り口、木戸門を少し上がったところ。人気カフェ「暖木」の斜め前にあるおしゃれな建物なので、すぐわかるはず。


こちらの建物、もともとは荒物屋さんで、間口が広い店舗特有の構え。
3年前に移住する前から、自分たちの足を使って探し、やっと見つけた事務所の物件。いろいろな伝手を使って家主にたどり着き、1年くらいかけて相続を整理し、引き取った形。奥にほぼ同じ面積で住居部分があり、一体で買い受けました。

新しいものと古いものがバランスよく同居

店舗の中はこんな感じ。ステキでしょ。
切り株を使ったテーブルが抜群の存在感を放っています。
実はこちら店主夫妻が手作りしたもの。他にはない家具に仕上がっています。

道路に面したスペースはこんな感じ。大きな窓が印象的ですよね。
開放感を出すため、あえて窓枠がないように設計しています。
犬の散歩をする地元の方たちにも気軽に立ち寄ってほしいと、縁側のように設けた席は、コミュニティの一つとして機能しそうです。

設計ですべて新しくするのではなく、古民家特有の部分と新しい部分をバランスよく残しているのが特徴。
黒い土壁は赤穂特有のもので鉄分が含まれているそう。そんなところは敢えて残しています。

上を見上げてみて。
土壁の構造部分がよくわかるでしょう。竹で編んでいるんです。これを残すことで土壁がどうやってできているか成り立ちがよくわかります。

こちら側からは、迫力ある構造上の梁が見えます。
開放的な空間を楽しむとともに家の成り立ちもわかるというわけ。

建築設計事務所のショールームとしての機能も兼ね備えているので、壁のサンプルや床のサンプルとして、手法を展開していますし、木材も何種類か置いています。
「私たちが、歩いて探した空き家の情報も含め、使いたい人とマッチングさせる情報発信拠点にもしたいですね」。
不動産価値はゼロだけど、残したい町家の事例の第一弾として見学するのにもおすすめです。

いろいろなところに遊びゴコロをプラス

店内随所に140年の軌跡を残しています。

住所や電話番号のメモが残されていたり。

ほらこの柱にも。
昭和のお家にはありましたよね。こちらは納税協会の会員のシールですが、NHKの受信章のシールや国勢調査のシールとか。昔懐かしい感じ。

新しい遊びゴコロはこちら。
カウンターの一面にカキの殻が隠れているのがわかりますか。
坂越ならではですよね。実は、床にも何か所か埋められているので、探してみて。

そんなステキな空間でいただけるメニューはこちら!

薬膳茶650円、練り切り300円
薬膳茶650円、練り切り300円

店では、播磨地域の”イイもの”を提供しています。
こちらは宍粟市サササさんによる無農薬の野草や薬草をブレンドした「薬膳茶」です。
「自然の力を借りて軽やかに健やかに」をテーマにしたお茶は、まろやかでやさしい味で、何よりおいしい。
美しい「練り切り」は、文香さんの地元・相生のnerutokiruさんが手作りしたものです。

ほかにも、上郡のmoto農園さんのぶどうジュースなども置いています。

クラフトビール610円~(ハーフ)、880円~(フル)、素焼ミックスナッツ250円
クラフトビール610円~(ハーフ)、880円~(フル)、素焼ミックスナッツ250円

アルコールもありますよ。
な~~んとクラフトビール。
姫路kogane Breweryさんが醸造したものを、2アイテム用意しています。
ほかにも、地元・青木酒店さんセレクトのナチュラルワインもあります。

「飲食に関わるものは、各地に設計の仕事で出向いたときの出会いから置くことになったものばかり。商品の背景を伝えながら提供しています」とお二人。

暮らしが豊かになる物販にも注目

物販コーナーもありますよ。
こちらは「Little LLC」というブランドのタオルです。
使い心地、乾きやすさ、臭いのつかなさ、耐久性という4つの条件をすべて満たすタオルです。
「ハイキングのお客様も多いので、手に取っていただきたいなと思って」と文香さん。

サササさんのお茶は販売もしていますよ。
おいしかったら買って帰ることもできます。
「坂越の名産のカキを使ったカキバターやカキのオイル漬けは、仕込んでいます。市内のおいしいものや、コラボしたものなども使いたいですね。飲食メニューはどんどん充実していく予定です」とお二人。

空間体験してほしい

店主の坂田旭さんと成富文香さん
店主の坂田旭さんと成富文香さん

「TORO」とは、川の水が深くて流れが非常に静かで、生き物が集まってくる場所をあらわす「瀞(とろ)」から。「設計を通して居心地の良い空間を作りたい」と名付けました。

その思い通り、地元からも認知されて、ワンちゃんと一緒に寄っていく方、ぶどうジュースがおいしかったから、瓶ごと買って行かれるリピーターの方も多いそう。

今後は建物の奥の部分を整備して、コンパクトなゲストハウスを作る構想もあるとか。「一般の方はもちろん、全国各地の仕事仲間に、宿も含めショールームの空間体験してほしいんです」と坂田さん。

また店では、不定期で日曜や夜遅くまでオープンしたり、貸しスペースやギャラリーとしても展開したりする予定があるそう。今後のTOROからも目が離せません。

TORO
住所:兵庫県赤穂市坂越2089
電話番号:080-4970-3285
営業時間:水~土曜11:00~18:00
定休日:日~火曜
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フリーライター、御朱印ガール、仏像女子(赤穂市・相生市)

フリーダムな仕事人で、居住地・赤穂から、兵庫県を中心とした関西一円を飛び回っています。旅行が好き、旅先でおいしいものを食べるのが楽しみな食いしん坊です。手がけた「乙女の御朱印めぐり旅」シリーズ(共著)で紹介しきれない神社仏閣の魅力、女子目線でのグルメやショップ情報、イベント情報なども、赤穂・相生発でお届けできたら幸せです。

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