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【認知症は治らない】って本当ですか?介護福祉士がイラストでわかりやすく解説

↓この記事の解説動画をご覧いただけます。

こんにちは!認知症の支援サポータ『夢 はるか』です。

これまで、4大認知症など、様々な認知症の症状についてご紹介してきましたが、これらの認知症は治療によって治せる病気なのでしょうか?

認知症には、いくつもの原因疾患があり、その総称として『認知症』と呼ばれています。

原因となる疾患によって症状や治療にも違いがあります。

今回は『認知症は治せるのか?』ということについて、知っておきたいポイント3つを、イラストを交えて説明していきます。

1 根本的な治療法がない4大認知症

認知症の原因疾患で一番多いのが『アルツハイマー病』です。

認知症と聞くと、まず『もの忘れ』が浮かびますが、それは『アルツハイマー型認知症(サイト内リンク)』の初期症状に、もの忘れがよくみられるからでしょう。

次いで多い認知症は、脳卒中などで脳組織が破壊されて起こる、まだらが特徴の『血管性認知症(サイト内リンク)』です。

その他に、幻視が特徴的な『レビー小体型認知症(サイト内リンク)』と、性格の変容が目立つ『前頭側頭型認知症(サイト内リンク)』があり、これらは4大認知症と呼ばれています。

↑4大認知症の解説動画

これら4つの認知症は、残念ながら現在の医学では進行を完全に止めたり、完治する治療法が確立されていません。

しかし、認知症は治らない病気だとあきらめてしまって、よいのでしょうか。 

2 わずかだが治る認知症もある

4大認知症と比べると、全体からみた割合はわずかですが『治る認知症』があります。

『脳炎』『神経梅毒』などの感染症や、『アルコール中毒』『ビタミンB2欠乏』などの中毒や栄養障害によって起こる認知症です。

これらに加えて、『脳腫瘍』や、『慢性硬膜下血腫 』『脳挫傷』などの外傷性疾患、『正常圧水頭症』などの髄液循環障害、『甲状腺機能低下症』などの内分泌障害を原因とする認知症も、治療によって改善することができます。

認知症の早期発見と早期治療が重要だといわれるのは、これらの『治せる認知症』を発見し治療を行うことによって、一人でも多くの認知症患者さんを救うためなのです。

『治せる認知症』であっても、時期を逃すと手遅れとなり、治療ができないこともあります。

認知症全体からみた割合は少ないものの、早期の発見と治療によって、治すことができる認知症があることを、覚えておきましょう。

3 食事、運動など生活習慣の改善が有効

4大認知症など、現在の医学では『治らない認知症』であっても、食事や運動などの生活習慣を改善することで、認知機能や生活機能を維持できる可能性があります。

週2回以上の定期的な運動や、頭を使う知的な活動、人との交流も認知症のリスクを低下させるといわれています。

たとえ認知症になっても、その人の好きなことや、興味がある活動を続けることで、認知症の進行を遅らせることができるのです。

そうやって、認知症になっても最期まで寝たきりにならず、楽しみを持って生活をしている人はたくさんいます。

わたしも介護現場で、そんな素敵な認知症の方を数多く見てきました。

まとめ

4大認知症をはじめとする多くの認知症には、現在はまだ根本的な治療法はありません。

しかし、割合としては少ないものの『治る認知症』があります。

その発見と治療のためには、医療機関の早期受診が有効だといえます。

たとえ『治らない認知症』であっても、生活習慣の改善によって進行を遅らせるなど、それぞれの病状に合った対策を見つけることができます。

もしかして認知症?と思われる症状があれば、まずはかかりつけ医、または、もの忘れ外来などの医療機関、地域包括支援センターなどに、気軽に相談してみましょう。

介護福祉士としてデイサービスや訪問介護の現場で働いてきました。職場の上司の指導で、研究会での発表や、学術誌へのケースレポートの投稿なども積極的に行なっています。また、子どもの頃から好きだった漫画やイラストを描くことで、認知症の知識や介護のコツをわかりやすく伝えることを心がけています。

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