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【札幌中央区、東区】苗穂エリアには蒸気機関車D51とC62の動輪があるって知っていた?

ゆべーる地域クリエイター(札幌市)

苗穂は鉄道の街。

苗穂工場の給水塔
苗穂工場の給水塔

今回は、苗穂のウォーキングガイドのモデルコースを考えている時に取材した、苗穂エリアの鉄道資産に関するお話です。

まずは昔の苗穂駅の記憶です。この風景に見覚えありますか?

2017年の風景です。

現在の苗穂駅の自由通路あたりに位置していた、自転車対応の歩道橋です。

二代目苗穂駅は、現在の三代目の駅より300メートル東にありました。移転する直前の2017年、現在の苗穂駅の場所は駅構内の西端にあたる場所でした。大手電機メーカーの会社ビルやこの歩道橋があるくらいで、新しい駅の面影はまだありませんでした。

日本や北海道の近代化に関する貴重な文化遺産、特に圧倒的な鉄道関係のものがたくさんそろっている苗穂地域。苗穂駅の敷地には広大な工場や機関庫があるため、30年も前に東区側の入り口開設が要請されたのに実現できず、鉄道で分断されていたままだった苗穂エリア。

2018年にオープンした三代目の駅では、最終的には橋上駅を採用して中央区側にも東区側にも駅出入り口を作りました。そのプランの実現のため、線路の幅が広くになっていない現在の位置に移転したのです。

私がこのエリアに住むようになってしばらくの間、現役の駅として存在していた1935年建設の二代目駅舎には、1931年から1969年の間、苗穂に乗り入れていた定鉄(定山渓鉄道)の線路跡がまだ残っていたのを、よく覚えています。

D51動輪

そんな懐かしい旧二代目駅前の公園には、今もD51の動輪があります。

当時の二代目駅の東端に位置していた歩道橋も撤去された今となっては、もうこの車輪と鉄道模型のショップ以外、このあたりが「駅前」だった痕跡もなくなりひっそりとしています。

鉄道の街「苗穂」の象徴として、これからもここで街の変遷を見つめ続けて欲しいものです。

北海道鉄道技術館

苗穂は今も説明したように鉄道の街です。かつては20以上の企業や団体の引き込み線があったようです。北ガス、古谷製菓、サッポロビール、大日本印刷、日本セメント、雪印、福山醸造、日通、自衛隊、など、私も全ては分かりません東区側だけではなく、中央区の駅前側にも数本の引き込み線があり、多くの燃料関係施設や木材会社、倉庫などに連結していました。

もちろんその中心は、広い機関区と工場を併設している苗穂駅そのものです。その工場エリアでも中心となるのが、1910年に旧国鉄苗穂工場の用品庫としてスタートした、現在の「北海道鉄道技術館」です。この構内では最も古い建造物です。1988年「さっぽろ・ふるさと文化100選」にしてされた後、2004年には「札幌苗穂地区の工場・記念館群」の構成資産として「北海道遺産」に登録されました。

さらに2007年には「近代化産業化遺産」にも指定されています。

とても歴史的に貴重な建物と、ためになる資料がたくさんありますので、ぜひ、開館スケジュールなどを確認した上で、行ってみてくださいね。

C62動輪

この技術館を含む苗穂工場の入り口には、今度はC62の動輪が展示されていますよ!

D51の動輪がかつての苗穂駅を指し示す門番であり、 C62の動輪がかつての北海道鉄道の全盛期を示す遺産エリアの門番を務めているのですね。

北海道や日本の近代化の足跡が豊富な苗穂エリア

もちろん、動輪だけではありません。鉄道引き込み線はなくなったとはいえ、駅の裏手には往時の歴史を感じる建造物、工場が今でもたくさんあります。苗穂エリアについてはあまりにも面白いものが多いので、また改めて取材する予定です。

ミルクや醸造食品、ビールのような重量系の貨物の運搬には、鉄道は絶対に必要なインフラだったでしょうね。加えてこの辺りは地下水も豊富で工業用水も確保できていたようです。

福山醸造の素晴らしい建造物群も北海道遺産の構成資産です。

福山醸造
福山醸造

旧サッポロビール第二工場
旧サッポロビール第二工場

私は、旧サッポロビール第二工場現在のサッポロビール園と博物館)のこの隙間に、引き込み線があったのではないかと思っています。

アリオの片隅にある柵で囲われた細長いエリアは間違いなくそうです。

鉄道関係の撮影はルールを守って、文化と歴史をリスペクトしながらしましょう。2つの動輪を軸として、埋もれたこの付近の鉄道や関連資産の学びの旅に出ましょう。私もガイドとして、ライターとして、みなさんと一緒に少しづつ勉強していきたいと思うのです。

追記 新しい苗穂の街は、バリアフリーへと向かう。

D51やC62の動輪に象徴される、20世紀の最先端の産業や鉄道の見本市のような、苗穂エリアの鉄道や関連資産たち。

そして今、移転された21世紀の新しい苗穂駅は、ショッピングセンターやマンション、医療施設などと長大なバリアフリー通路で連結されています。

これもまた21世紀の日本の最先端ですね。これからの地球上で誰もが直面し解決に向けて努力していかなくてはならない高齢化、福祉化の課題については、世界中の多くの人が長寿先進国である日本の動向を注視しています。

バリアフリー連結を駆使する苗穂駅エリアが、そのモデルケースとして、もしかしたら再び話題の中心にある時代がくるのではないか、私はそう見ています。

そういう点では、やはり苗穂は時代の「動輪」であるような街なのかも知れませんね。

■北海道鉄道技術館■

住所:札幌市東区北5条東13丁目(JR北海道苗穂工場内)

開館日:毎月第2・第4土曜日

開館時間:13:30〜16:00

電話番号:011-721-6624

入館料:無料

注意:苗穂駅構内ではありますが、受付まで徒歩15分は考えておいてください。

公式サイトは、こちら

■北海道遺産■

NPO法人北海道遺産協議会事務局

住所:札幌市中央区大通東2丁目3番地1 第36桂和ビル7階

時間:09:00~18:00

定休日:土・日曜日、祝日、年末年始

電話番号:011-218-2858

北海道遺産のサイトは、こちら

札幌苗穂地区の工場・記念館群は、こちら

■苗穂の街づくり■

札幌市のまちづくりについての説明は、こちら

日本遺産「炭鉄港」、日本遺産候補・鉄道の町「心臓と呼ばれた街小樽」それぞれの認定ガイドや講師として、鉄道ネタが大好きなゆべーるの鉄道関係記事です。
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地域クリエイター(札幌市)

通訳案内士(全国&札幌)、そしてライターや町おこし組織の認定ガイドとして、いつも札幌市内の出来事やおすすめ情報を探しに歩いてます。コーヒーショップ、ワイン、レストランなどが大好き。またホルン奏者でもあります。

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