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心理学者が教える「経験で成長できる人」と「できない人」のたった一つの決定的違いとは?

赤田太郎の仕事に役立つ心理学常葉大学(静岡県)准教授 博士(教育学)公認心理師臨床心理士

みなさんこんにちは。仕事に役立つ心理学の赤田太郎です。

普段は大学教員として心理学の教育や研究を行い、また学校や企業でのカウンセリングなどの実践から、You Tubeやインスタでこころの健康の大切さをSNSで発信しています。よろしければフォローをお願いします。

皆さんの多くは、経験によって喜びや楽しみなどを味わい、人生をよりよくしている考えていると思いますが、その経験で本当に成長できているでしょうか?経験してもそれが、自分の学びにつながっている人とつながっていない人では、どのように違うのでしょうか?

今回の記事では、経験で成長できる人の特徴を心理学からご紹介したいと思います。これを知ることによって、成長のとり逃しがなくなると思いますよ。

経験で成長できる人が持っている才能はたった一つ

経験する前にある才能が必要です。なお、その才能は誰でも手に入れることができます。それは、ずばり「この経験で成長したい」という欲求です。

というのも、経験で人は必ず成長できるわけではなく、ただ経験して終わってしまう人のほうが圧倒的に多いのです。たとえば、学校の授業でも、すべて経験として覚えている人はどれだけいるでしょうか。

ここで必要な才能とは「この経験で私は成長するぞ!」という心がけひとつなのです。

ただ、これだと次に何を考えたらいいかわからないので、順に解説していきましょう。

成長する人が持っている才能(コンピテンシー)

モーガン・マッコール(2002)は、成長する人が持っているコンピテンシー(才能)を11の要素からできていると分析しています。ここでは3つの視点に分けて解説していきましょう。

1.知見を広げようとする意識はあるか?

まず、成長する人は、①自分が成長できそうな機会を探しています。そのセンサーを張り巡らすことがまず、大切だと思います。私もネットのニュースを見たり最新の治療法などは積極的に情報収集しています。そして、成長する人は、偽りなく②誠実に行動します。その誠実さは、情報にアクセスする際に、正確な情報提供を得るきっかけになります。

そして、その情報に対して、これまでの自分との③文化の違いを受け入れることです。新しいことには既存の考え方を否定することもありえます。自分が一つの考えに固執してしまうと、幅広くものごとを捉える機会を失いかねません。

また、④変化していくことに関わり続けることが新たな成長をもたらします。新しく行っているプロジェクトなどには、積極的に関わると良いでしょう。その中で、⑤新しい事業や産業組織、業界などの知識を幅広く理解していきましょう。世界の広がりや奥深さを知ることができます。

2.自分から引きだす意識はあるか?

周りを見るとき、他人を批判ばかりしていませんか?経験で成長できる人は、まず⑥人の最も優れた部分を引き出すことができます。人のネガティブなところを見るのではなく、ポジティブなところを常に観察し、それを引き出そうとする努力をしています。考えたら当たり前のことで、その人の良いところを得たいと思えば、自ずとそういう姿勢になります。

また、その得た知識を自分の中で⑦洞察して、(自分なりに捉え直して)新しい視点として考えます。そのとき大切なことは、ある程度傷つくかもしれないという⑧リスクを冒す勇気を持っていることです。

3.自分を変えていく意識があるか?

成長できる人は、常に⑨人からのフィードバックを求めて利用します。要するに、自分が、他人からどう見えているのかをモニターしているのです。ここで注意することは、あくまで自分の状態を客観的に把握することであって、人に合わして評価されることではありません。他人に喜ばれることばかりに注目してしまうと、自分という軸がなくなります。他人から褒められるから、するのではないのです。自らの成長のために、自分を客観的に捉えた情報を利用するのです。

経験では失敗はつきものです。リスクを犯すところでも共通しますが、⑩失敗することで学ぶからこそ、次は失敗しないという経験から成長を実感することができます。そこで得られた⑪批判には耳を傾けましょう。ただその時には、誹謗中傷か成長のためのアドバイスかを区別することが大切です。誹謗中傷で人権が侵害される事件があとを絶ちません。1人で抱え込まず、客観的に自分を見てくれる人に相談しましょう。

これらの才能を自分に当てはめてみましょう

いかがでしたでしょうか。これらの11個の項目をそれぞれの自分の経験と当てはめてみましょう。

いくつ当てはまりましたか?

当てはまる人ほど、経験を自分の成長にすることができている人です。経験は、意識しなければ右から左に過ぎ去っていくものです。

また、今回の能登地震のような天災を経験するなど、どんだけつらい経験をしても、これらを意識することによって、成長や人生にとって意味あるものに変えていくことができます。

その悲しみを感じる長い時間も、成長のために必要なものと捉えると意味が変わってきます。自分だけの経験は、あなただけのオリジナルで価値のあるものなのです。

毎日の経験が、あなたの人生をよりよいものになることを祈っています。

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記事を最後までお読みいただきありがとうございました。

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また次の記事でお会いしましょう!

常葉大学(静岡県)准教授 博士(教育学)公認心理師臨床心理士

常葉大学(浜松)健康プロデュース学部心身マネジメント学科/常葉大学大学院健康科学研究科臨床心理学専攻 准教授。立命館大学/武庫川女子大学・大学院非常勤講師。働く人と家庭のメンタルヘルス・ストレス・トラウマが専門。働くみなさんにこころの健康の大切さを伝えるために、誰でもわかりやすい心理学をYouTube・Instagramで発信しています。

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