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【ガーデニング】大切なのは根の方向。パンジービオラは根先を広げると大株になる!

グロ子園芸愛好家 / FPライター

こんにちは、グロ子です。
当たり前に最高気温が30度を超えていた、全く当たり前でない9月がやっと終わりました。
あまりに過酷な夏だったので、ガーデニングに対する熱意がちょっぴり下がった方もおられるかもしれません。
今後は気温が下がります。
秋からぼちぼちガーデニングを再開してはいかがでしょうか。

今からがシーズンとなるパンジービオラ。
苗さえ植えれば丈夫に咲いてくれる、初心者からプロにまで愛される花です。

パンジービオラは、定植時のちょっとしたことで成長の度合いが変わってきます。
この時期に苗がちゃんと土に馴染むかどうかで、後に育つ地上部の大きさが違ってくるのです。
過去の常識はもう古い!
植え付け時にやるべき現代のポイントをご紹介します。

※パンジーとビオラは同じ花ですが、花のサイズで呼び名が変わります。ここではパンジービオラと一括名で表記します。

パンジービオラは根が廻りやすい

ポリポットや鉢の中で「根が廻る」と表現される現象があります。
限られたスペースで植物が成長すると、本来放射線状に広がるべき根が、ポリポットや鉢の側面に突き当たってしまいます。
側面に突き当たった根はそのまま側面の壁に沿って下に伸び、底に突き当たって行き場を失い、グルグルと円を描いて固まってしまいます。
これが根が廻るということです。

  1. 根が本来伸びるべきだった根の方向
  2. 行き場を失って廻ってしまった根

パンジービオラはひげ根という細かい根を数多く出します。
発芽から苗の状態になるまでの根の成長が早いので、ポリポットの中で根が廻っている確率がとても高いのです。

上の写真の丸の部分で根が絡まっています。
この状態でポット苗をそのまま置くようにして定植してしまうと根が広がりません。
結果として苗が大きく育たなくなります。

底で廻っている根をハサミで取り去る

この場合、底で固まっている根を取り除く必要があります。
廻った根を取り除くのは簡単で、底部分を薄くハサミで切り取ってください。

上のの写真がハサミで取り除いた後。

膜のように固まっている根をハサミで切り取るのですが、これを指で剥がす人がいます。
指で剥がすと不自然に根を引っ張ることになります。
必ずハサミで取り除いてください。
かなり頑固に根が廻っている場合は、底部分を5ミリほど切り落とす感覚で取り去ってください。

側面で固まった根も広げる

ポリポットの側面でも根が白い膜状になっている場合があります。
根を広がりやすい状態にしてやりましょう。

底の根の塊を切り取った後、側面に4箇所ほどハサミで切り目を入れます。
上の写真の青線部分です。
切り目は長くてもポリポットの半分より下から。
あまり上から切り目を入れると、根鉢が崩れてしまいます。
これも根に必要以上のダメージを与えたくないので、必ずハサミを使いましょう。
慣れないなら指で裂くのはや絶対にやめてください。

側面の根の膜に切り目を入れたら、その膜を広げるイメージで定植します。

上のイラストはイメージです。
実際はここまで広げる必要はありません。

側面の根の膜は取り去らないようにしつつ、新たな根が伸びる先を塞ぐことのないように定植してください。
この時深追いして根鉢をグズグズにしてしまわないように注意しましょう。

根が廻ってない苗ならどうするか

パンジービオラは種から苗の状態になる期間が長いので、小さな苗でも根は底まで廻っていることが多いはずです。
でも稀に根がまだ伸びておらず、底で廻っていない場合があります。
ポリポットの底穴から根が見えず、抜いても根の白い塊が見当たらない状態の苗です。

ポリポットの底穴を見ても根の気配のない苗は、ポリポットから出した途端にバラバラになる危険があるので気をつけてください。
オニギリをつくる要領で根鉢を手で包み、形を崩さないようにそのままやさしく定植しましょう。

平成とは状況が違う

パンジービオラは丈夫なので、根はいじって崩してから植えるのが昭和、平成の常識でした。
でも令和の時代にそれをやると枯れる苗が出るようになりました。
原因は定植してからの高温です。

以前はパンジービオラなら根を少々取り去ったほうが、次の根が伸びやすいとさえといわれていました。
実際定植後の気温が安定して涼しい日が続くなら、少々根にダメージがあっても次の根がグングン張っていったのです。

最近根と地上部のバランスが取れていないこの時期に、気温が高温になるケースが多く見受けられます。
高温になると根から水が上がる量が足らず、苗は生きているだけで精一杯になります。
本来ならば根を張るこの時期に、根を伸ばすエネルギーがなくなってしまうのです。
いくら丈夫なパンジービオラでも、成長期に根が育たなくては大きく育ちません。
根には必要以上のストレスを与えない方が良いのです。

寄せ植えは根を大きく取り去って密集して植えますが、気温が安定して下がった時期にからつくってください。
根が土に馴染むまで、明るい日陰に置いておく方が無難です。
寄せ植え、地植え、鉢植えに関わらず、深植えや浅植えに注意してください。
苗の中心部を土に深く埋めてしまうと芽が腐る原因になりますし、浅く飛び出して植えてしまうと新芽が育ちにくくなります。

パンジービオラはコツを押さえるとびっくりするほど大きく広がります。
液肥を切らさないようにすれば、一株でもブーケのような豪華さを楽しむことができます。
せっかく選んでおうちにやってきたパンジービオラです。
ひと手間かけて最大限の花を咲かせてみましょう。

園芸愛好家 / FPライター

花、野菜、盆栽、コンポスト、ありとあらゆる植物系お稽古事をやり尽くした園芸歴30年のFPライターです。私の強みは自分で実際に経験した幅広い園芸ネタ。FPとして「効率よく、コスパよく」園芸を楽しむコツもお伝えします。コキア友の会代表(会員私だけ)

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