ニュースのコメントから見る「コロナ禍の東京」――真鍋大度+Rhizomatiksが浮き彫りにする狂騒

柿本ケンサク

映像作家/写真家

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データを使って、「コロナ禍の東京」を捉え直す――。Perfumeをはじめとするアーティストとのコラボレーションや、データを視覚化するプロジェクトなど、多岐にわたる活動を通してテクノロジーと表現の新しい可能性を追求してきたRhizomatiks(ライゾマティクス)。主宰の真鍋大度はこの夏、「東京」にまつわるニュースをデータとして使ったインスタレーションを展示している。データから見えてくる、コロナ禍の東京の姿は。

●「東京」のニュースに対する人々のコメント

「2020年から2021年にかけて、いろんなことがあった。みんな振り回されて、普段考えないようなことを考えた。恣意的ではない形でデータをたくさん集め、それを使って作品にしようと思いました」

真鍋大度が主宰するRhizomatiksは、メディアアートで培った知見や研究成果を、広告、エンターテインメント、建築など、さまざまな領域につなげてきた。データを可視化することで、社会の出来事を浮き彫りにしたり、課題を解決したりするプロジェクトも手がけている。

例えば「traders」というインスタレーションでは、東証一部での株式売買の自動取引システム開発や取引のデータを、音と映像に変換。金融取引の世界を可視化した。感覚的に捉えづらい情報を目に見える形で表現することで、リアリティをもたらした。

現在、コロナ禍の東京にまつわるインスタレーションを、青山にあるワタリウム美術館の向かい側の空地に展示している。Tokyo Tokyo FESTIVAL スペシャル13「パビリオン・トウキョウ2021」のために制作されたもので、9月5日まで設置される。

「ニュースに対する国民の声を集めて作るのがいいのではと思って、去年から今年にかけて、ニュースのコメントを集めました。データ生成を恣意的にしたくなかったので、フラットにルールを作って選んでいます。取り上げたのは、『東京』というワードが入っていて、1000件以上のコメントがついているニュース。577のニュースがあり、約125万のコメントがありました。そこから、390文字以上のコメントを抽出しています」

そこへさらに、イベントなどが中止になったことで、表に出せなくなったデータを組み合わせた。それらを元にAIを使ってテキストを生成している。

「元データの原型は表には出ないですが、AIの一部には取り込まれています。ある文章を入力すると、それにつながるような文章をAIが推定して作り出す。生成されたテキストは、よく読むと意味が通っていなかったりする。そのデタラメ感が、面白いところでもあると思います」

電光掲示板に、生成されたテキストが流れていくインスタレーション。モザイクのようにぼやけて見えるレンズを掲示板の上にかけ、文字を読みづらくしたりもしている。流れる文字の連なりはコロナ禍の東京を想起させるが、はっきりとその意味は分からない。

「東京を俯瞰し、いろんな人の意見を使って捉え直したかった。今の東京を一言で表すのは難しい。あえて言うなら、クローズドになっていることが多いなと感じます」

真鍋は、インスタレーションにこんな言葉を寄せている。

「この作品では、もうひとつの東京2020を展示します。2020年春の最初の緊急事態宣言から現在までに収集した様々なデータを使用して、AIが生成する狂喜乱舞する東京の姿。本来使用されるはずだったデータや中止になったイベントに関する情報などの特徴を抽出し抽象化して文字や映像に変換し続けます。それらはディスプレイに光となって表示されますが、人々が目にすることができるのはそれらの幻影です」

クレジット

出演:真鍋大度
監督:柿本ケンサク
撮影:柿本ケンサク/小山麻美/関森 崇/坂本和久(スパイス)/山田桃子(DP stock)/岩川浩也/飯田修太
撮影助手:荒谷穂波/水島陽介
編集:望月あすか
プロデューサー:金川雄策/初鹿友美 
ライター:塚原沙耶  
Special Thanks:C STUDIO

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