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ゴールデンウィークの九州ドライブにおすすめ。絶景と共に“豚骨ラーメン”が楽しめる超名店3選

上村敏行ラーメンライター

皆さん、啜ってますか?ラーメンライターの上村です。今回紹介するのは、ゴールデンウィークをはじめ、春爛漫の九州ドライブと合わせて楽しみたいラーメン店3選。福岡、大分、鹿児島の九州3県から選出しました。“ドライブで推すラーメン”なのでもちろん「わざわざ足を運びたい絶品のラーメン店」をラインナップしているわけですが、僕が特にこだったのは下記3点です。

●ラーメン店らしからぬ、“非日常の空間”で楽しめること ●食べられるのは、九州らしい“豚骨ラーメン”であること ●旅のついでではなく“目的地”にする価値のあるラーメン店であること

大分県・佐伯市「二代目ラーメン カヨ」の海っぺりで啜る
大分県・佐伯市「二代目ラーメン カヨ」の海っぺりで啜る

絶景を眺めながらラーメンが楽しめるところは全国的にみれば他にもありますが、「絶景の中、どっしりと濃厚な激うま!“豚骨ラーメン”が楽しめる」ところはかなりレア。これが声を大にしたいポイントです。

大分県・佐伯市「二代目ラーメン カヨ」のラーメン
大分県・佐伯市「二代目ラーメン カヨ」のラーメン

【九州の絶景“豚骨ラーメン”を味わい尽くす】
(1)草原の中で、猛々しい豚骨ラーメンを啜る(福岡県・糸島市「あくだいかん」)
(2)ガラパゴス的進化を遂げた佐伯ラーメンを“海っぺり”でズバッ!(大分県・佐伯市「二代目ラーメン カヨ」)
(3)片手に箸、もう片方には双眼鏡!? (鹿児島県・湧水町「あら木」)
(まだある)福岡市内にも、深い緑に囲まれた“豚骨ラーメン”店が!(福岡市・東油山「拉麺處 丸八」)

上村敏行。20年以上年間500杯を啜り執筆。ラーメンライターとしての活躍は英・ガーディアン紙、独・ZDFでも紹介された。「豚骨ラーメンこそ最強」を掲げる「RAMEN WONK KYUSHU」主催
上村敏行。20年以上年間500杯を啜り執筆。ラーメンライターとしての活躍は英・ガーディアン紙、独・ZDFでも紹介された。「豚骨ラーメンこそ最強」を掲げる「RAMEN WONK KYUSHU」主催

(1)草原の中で、猛々しい豚骨ラーメンを啜る(福岡県・糸島市「あくだいかん」)

福岡県・糸島市「あくだいかん」の「煮卵入りラーメン」(820円)
福岡県・糸島市「あくだいかん」の「煮卵入りラーメン」(820円)

福岡の王道ドライブルートである糸島。紺碧の玄界灘に面したビーチカフェや糸島ブランドの食材を使うレストラン、ショップが有名ですが、実は“ラーメン”の波も確実にきています。NEWな糸島ラーメンが続々とお目見えする中で、2022年春にオープンした「あくだいかん」は、何といっても大自然の中で“濃厚豚骨ラーメン”を出していることがおもしろい!

このロケーションの中、昔ながらの濃厚豚骨ラーメンを啜るミスマッチが一興
このロケーションの中、昔ながらの濃厚豚骨ラーメンを啜るミスマッチが一興

場所は、見晴らしのいい草原に西日本最大級のドッグランやカフェが集まる「ファームリゾート糸島」の一角。豚骨ラーメンと地鶏の溶岩焼きが小上がりを備えた店内ほか、広々とした屋外のテラスで味わえます。「リゾート感あふれるオープンエアの空間で、芳しい豚骨フレーバーの漂うTHE・博多ラーメンを啜る」。この何とも言えない違和感、ミスマッチがいいんですよね。

大自然のおいしい空気と特濃豚骨の組み合わせ。最高である
大自然のおいしい空気と特濃豚骨の組み合わせ。最高である

もちろんラーメンの味も一級品。スープは豚のゲンコツを強火で炊き上げ、濃度、うまみを重ねたとろみ系。店仕込みのスープ、麺も、持ち込んだ製麺機で作る自家製細ストレート麺を合わせた本格豚骨ラーメンです。

「あくだいかん」店長の安永さん
「あくだいかん」店長の安永さん

「このロケーションでラーメン? しかも濃厚豚骨? と初めてきたお客様に驚かれます。流行に敏感な糸島で、あえて奇をてらわない昔ながらの豚骨ラーメンで勝負。しっかりと豚骨の旨みを凝縮した最高のスープでお迎えします。夜は居酒屋としても使ってください」と店長の安永さん。昨今、福岡のラーメン界は、いわゆる“非豚骨”が台頭しているのですが、このような直球豚骨に美学を見出した若手職人が活躍すると、豚骨ラーメンファンとしてうれしくなります。

【ラーメン居酒屋 あくだいかん】
住所:福岡県糸島市志摩小金丸1713
電話;092-327-5222
営業時間:11:00〜21:00
休み:なし
席数:54席
駐車場:50台
交通:西九州自動車道前原ICより車で約20分

(2)ガラパゴス的進化を遂げた佐伯ラーメンを“海っぺり”でズバッ!(大分県・佐伯市「二代目ラーメン カヨ」)

紺碧の海! そして濃厚ラーメン! 至福ぅ!!。基本は店内で提供されますがこの日は特別に
紺碧の海! そして濃厚ラーメン! 至福ぅ!!。基本は店内で提供されますがこの日は特別に

九州ラーメンのなかでもガラパゴス的に進化し、猛々しい特濃豚骨スープが味わえる佐伯ラーメン。佐伯市内には数々の名店がありますが、やはりこの味、ロケーションは特別です。日本一海に近いラーメン店。近いというか海に直結ですね。“海っぺり”すぎます。

地元の漁師にも愛されている豚骨ラーメン(650円)
地元の漁師にも愛されている豚骨ラーメン(650円)

前身は1995年に開いた「ラーメン加代」。地元の漁師がふらりとやってきて酒を飲み、ラーメンを啜る。いわゆる漁村の食堂のような存在でした。バイク乗りや釣り人が評判を運んでいくことでじわりじわりと人気が増し、今では佐伯ラーメンを代表する店に。

店内もシブい! イニシエ感が漂う
店内もシブい! イニシエ感が漂う

店内からも海が見えます。屋号は初代の松田“加代”子さんに由来していて、現在厨房に立つのは、加代子さんの息子の妻で“二代目”の美知代さん。

腕ききの女性ラーメン店主・美千代さん
腕ききの女性ラーメン店主・美千代さん

美千代さんは「加代」の真骨頂である、濃度の高いクリーミー豚骨の軸はブラさずスープに研究を重ね、麺も自家製麺へと切り替えました。より高加水でモチモチとした太めの麺に、粘度の高く濃密なスープがしっかりと絡みついてうまいですね.

濃厚スープに負けない、しなやかな麺
濃厚スープに負けない、しなやかな麺

佐伯らしいパンチ力と、女性目線で改良した飲みやすさ。そのバランスが見事な豚骨ラーメンです。焼き飯や、具に豚骨スープを加えた「とんこつ餃子」もうまい! 大分弁で優しく語りかける美千代さんの人柄にも癒されます。

佐伯ラーメンについては【豚骨注入! 其の七】「攻撃的豚骨! 大分・佐伯ラーメンの真髄を探る」(QUALITIES)にも詳しく書いているのでご参照ください。

【二代目ラーメン カヨ】
住所:大分県佐伯市蒲江畑野浦117-2
電話:なし
営業時間:11:00〜14:00
定休日:不定
座席数:8席
駐車場:5台
交通:東九州自動車道佐伯ICより車で約30分

(3)片手に箸、もう片方には双眼鏡!? (鹿児島県・湧水町「あら木」)

「あら木」で食べられる唯一無二の一杯。足を運んで食べる価値は絶対ある
「あら木」で食べられる唯一無二の一杯。足を運んで食べる価値は絶対ある

福岡、大分ときて、続いては鹿児島。鹿児島県姶良郡にその名も「湧水町」という、清洌な湧水スポットが点在する町があります。山あいにある住宅街にひっそりと佇んでいるラーメン店が「里山の麺処と和布あそび あら木」。まさに穴場中の穴場。そしてキーワードは“アーモンド”と“バードウォッチング”。おおよそラーメンとは結びつかない言葉ですが(笑)

何もない、のどかな道を進んでいくと“ラーメン”ののぼりが!
何もない、のどかな道を進んでいくと“ラーメン”ののぼりが!

駐車場からのアプローチもなかなかのもの。看板に従い奥へ奥へ。
駐車場からのアプローチもなかなかのもの。看板に従い奥へ奥へ。

「あら木」のメニュー表
「あら木」のメニュー表

「あら木」は、緑に囲まれた一軒家店。ウッドデッキでもラーメンを楽しむことができます。まず、メニュー表をみて思うのは「アーモンドらーめん」とは何ぞやということでしょう。同メニューは「あら木」といえばの人気No.1ラーメンです。僕自身も初めて訪れた時はそうだったのですが“アーモンドラーメン”と聞くと、なんとなくピーナッツペーストのようなものが入った創作ラーメン? 甘いの? なんて勝手に思っていたのですが全く違います。

まずはピーナッツでななくアーモンドであること。そして、ラーメンのベースは豚骨、鶏ガラ共出しの伝統的な鹿児島ラーメンのスープです。実は湧水町はアーモンドの産地。地元産アーモンドを砕いたもの、また粒のままのものも豚骨ラーメンの具材としてのせ、油にもアーモンドオイルを隠し味で加えた一杯。鹿児島ラーメンの魅力を残しながら、アーモンドの香ばしさ、楽しい食感プラスされた拍手喝采のご当地豚骨ラーメンなんです。

野鳥が訪れるテラスでラーメンを啜る
野鳥が訪れるテラスでラーメンを啜る

また、「あら木」周辺には野鳥が多く生息していて、テラスにはバードウォッチング用の双眼鏡が置かれています。バードウォッチングも楽しめるラーメン店。しかも、わっぜか(鹿児島弁ですごく)旨い!これは、日本でもここだけでしょう。

野鳥観察用の双眼鏡が置かれたラーメン店は他に類を見ない
野鳥観察用の双眼鏡が置かれたラーメン店は他に類を見ない

【里山の麺処と和布あそび あら木】
住所:鹿児島県姶良郡湧水町川西1280-3
電話:0995-75-4102
営業時間:11:00〜15:00(LO14:30)
定休日:月・火曜
座席数:42席
駐車場:20台
交通:九州自動車道栗野ICより車で約15分

(まだある!) 福岡市内にも、深い緑に囲まれた“豚骨ラーメン”店が!

(福岡市・東油山「拉麺處 丸八」)

「拉麺處 丸八」のエントランス。この先に絶品の濃厚豚骨ラーメンが待っている!
「拉麺處 丸八」のエントランス。この先に絶品の濃厚豚骨ラーメンが待っている!

最後に“まだある”情報として、福岡市内の喧騒を離れたラーメンスポット「拉麺處 丸八」も紹介しておきます。こちらも車がないと不便な場所にありますが、福岡市中心部から約30分で行ける油山の中腹。約400坪の敷地があるフグ料亭「油山山荘」の一角、元宿泊棟だった場所を改装して2022年にオープンしました。

「拉麺處 丸八」のアプローチ
「拉麺處 丸八」のアプローチ

まさに、ラーメン店らしからぬこの空間。緑の中深呼吸して豚骨注入の準備。非日常のワクワク感たるや!

「拉麺處 丸八」のラーメン(1,000円)
「拉麺處 丸八」のラーメン(1,000円)

フグ料理人、ラーメン職人でもある店主が昭和60年代に営んでいた「丸八」のラーメンを復活。1杯1,000円と福岡の豚骨ラーメンの中では高めの設定ですが、豚骨濃度の高い芳醇スープ、驚くほど柔らかい豚バラの絶品チャーシューなど、それだけの価値はあります。フグ割烹店でラーメンというと、それこそ魚介系? などと連想してしまいますが、これが“どっしりとしたTHE豚骨”であることが、いいんですよねー。こちらも豚骨ファンをニンマリとさせてくれる店です。

【拉麺處 丸八】
住所:福岡市城南区東油山147
電話:092-871-5034
営業時間:11:00〜14:30(LO)
定休日:月・火・金曜
座席数:19席
駐車場:16台

非日常の豚骨ラーメン体験が楽しめる九州の名店を紹介してきました。九州を訪れたら食べたいのはやっぱり豚骨ラーメン。そして、爽快な春ドライブと共に楽しめたら言うことなし!ゴールデンウィークのプランに組み込んでみては。

ラーメンライター

1976年鹿児島市生まれ。2002年、福岡でライター業を開始。同年九州ウォーカーでの連載「バリうまっ!九州ラーメン最強列伝」を機にラーメンライターとして活躍。各媒体で数々のラーメンページを担当し、これまで1万杯以上完食。取材したラーメン店は3000軒を超える。ラーメン界の店主たちとも親交が深く、ラーメンウォーカー九州百麺人、久留米とんこつラーメン発祥80周年祭広報、福岡ラーメンショー広報、ソフトバンクホークスラーメン祭はじめ食イベント監修、NEXCO西日本グルメコンテストなど審査員も務めてきた。ラーメンライターとしての活躍はイギリス・ガーディアン紙、ドイツのテレビZDFでも紹介

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