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虫の声にフォーカスしたアート。奥渋谷のギャラリーCONTRASTで1日だけの展覧会【東京都渋谷区】

Luna Subitowriter editor(東京都渋谷区)

代々木公園側にある隠れ家のようなギャラリー CONTRAST/コントラストで、10月2日(日)にアートユニットTapetume(タペタム)の1日だけの個展「CASE STUDY EXHIBITION 02」が開催されたので 猫走りで行ってきました。

⁡インセクトアートコレクティブTapetum(タペタム)のメンバーは神戸芸術工科大学で建築デザインやグラフィックデザインやプロダクトデザインを学んだ3人のユニット
⁡インセクトアートコレクティブTapetum(タペタム)のメンバーは神戸芸術工科大学で建築デザインやグラフィックデザインやプロダクトデザインを学んだ3人のユニット

タペタムとは猫の網膜の奥にある反射板の名称。個展会場のキーヴィジュアルも、タペタムのアイコンも猫の瞳。余談ながら、拙宅の先代黒猫の瞳にそっくり。

猫の目が暗闇でピカッと光るのは、タペタムがあるからだそう
猫の目が暗闇でピカッと光るのは、タペタムがあるからだそう

タペタムは、昆虫の生態や現象を現代社会に引き寄せ、 体験として表現することを標榜するアートコレクティブ。今展では 江戸時代に流行した虫の鳴き声を愛でる文化に着目し、リアルなスズムシを使ったインスタレーションを展開。

エントランスには蚊帳風インスタレーション。この中にスズムシがもぞもぞ。。
エントランスには蚊帳風インスタレーション。この中にスズムシがもぞもぞ。。

おおっ、スズムシが結構いますね!鳴き声も美しい…  ※昆虫全般が苦手な方は閲覧注意

展示されているスズムシは、タペタムのアーティスト3人がそれぞれ自宅で大切に飼っている生体だそう
展示されているスズムシは、タペタムのアーティスト3人がそれぞれ自宅で大切に飼っている生体だそう

ギャラリーのある富ヶ谷近辺は、代々木公園や明治神宮と至近なので、初秋にはスズムシが「りりりりり…」と澄んだ声で毎晩大合唱。ただ、草叢に潜んでいるスズムシの姿を直視する機会はまずないので、ギャラリーでうごめくリアルスズムシをみるのはなかなか新鮮です。

ギャラリーの2階は、あやとりをモチーフにしたインスタレーション。

作品の中に、リアルスズムシさんたちがちらほら。

決してヒトの意のままにコントロールされない虫たちが、アートの中に美しく融け込んで蠢いている奇跡!

来場者の中にはリアルスズムシを指に絡ませて戯れる人も。私も幼少期は亡父の影響で昆虫が好きだったので、スズムシさんとしばしコミュニケ―ションタイム。

スズムシさんは初のアート展参加にちょっと緊張しているようでした。。。
スズムシさんは初のアート展参加にちょっと緊張しているようでした。。。

こちらはギャラリーの地下の展示。

生きた昆虫はいませんでしたが、昆虫目線で人間のプロダクトを捉えたインスタレーションが、ノートン著『床下の小人たち』の目線みたいでチャーミングでした。

生活空間に不意に小さな虫が混入してくることって、都市でも田舎でもあるあるな話。余談ながら、奥渋谷の拙宅も、ベランダの植木に蟻や蚊、蛾、蝶、蜂などなど、いろいろ出没します。ダンゴムシや謎のにょろにょろした幼虫も出没して、大事に育てている植物を食い荒らされることもあります。でも、虫も植物も果敢に生きているんですよね。

そういう虫たちの目線のプロダクトが素敵だなと思いました。多様性って大仰な話ではなく、実はシンプルにこういうことなんだなって。

生体(昆虫)×アートという試みは いろいろハードルが高いので、1日だけの展示になったようですが、非常に興味深いアート展でした。

昆虫の声を愛でる文化は欧米にはなく、日本独特といわれます。タペタムのアートが、国際的にどのように捉えられていくのか、注視したいと思います。

余談ながら、虫の声を使ったアートというと、かつて越後妻有アートトリエンナーレで見た「繭の家ーー養蚕プロジェクト」が思い出されます。無数の蚕が桑の葉を食む音を、里山に降る雨音に見立てたインスタレーションが見事でした。

世界でも類をみない虫の声に着目したアプローチのタペタムさんと、毎回異色の作家をフィーチャーするギャラリー コントラストさんの今後に注目です。

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CONTRAST コントラスト
東京都渋谷区富ヶ谷1-49-4-1F & B1F
TEL 03-6427-5227
Instagram
代々木公園駅徒歩1分

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writer editor(東京都渋谷区)

奥渋在住20余年。旅、アート、インテリア、ウエルネス、映画、猫など多様なメディアに携わる文筆家。

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