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この冬、感染症にかかりたくないビジネスパーソンは、食事で噛む回数を30回に引き上げよう

水野雅浩/健康マネジメント健康マネジメント専門家

こんにちは、健康マネジメントスクール、水野雅浩です。

『ビジネスパーソンの健康マネジメント』を中心に本の執筆、企業、行政、大学などで講師をしています。特にアラフィフは、ストレスも増え、年齢差が大きくなるステージ。ぜひフォローして、「攻めの健康マネジメント」にお役立てください。

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■今年の冬は、インフルエンザとコロナのダブルパンチ

街に出ると、ちらほらとマスクをせずに外を歩く人の姿が目につくようになってきた。私は福岡に住んでいるが、中洲を歩くと、飲み歩いている人は、マスクをしている人は半分ぐらいか。当然、店内で酒が進むと、それどころではない。マスクはせずに、会話も酒もどんどん進む。

3年ほど前、突如、現れたコロナウィルスは、得体の知れない恐怖の対象でしかなかった。しかし、徐々に風邪やインフルエンザと同じ扱いになりつつある。

とは言え、罹患してしまうと数日でも会社を休むことになる。これが、よくない。季節の変動や、体調によって仕事の質や量がアンコントローラブルになるのはサラリーマンだ。ビジネスパーソンは、高く安定した健康状態で、高く安定したアウトプットをしたいものだ。

しかし、今年はインフルエンザとコロナのダブルパンチが予想されている。マスク、うがい、手洗い以外に、普段の生活習慣の中で、あとは何ができるだろうか。今回は、その防御力を上げる習慣を考えていきたい。

■唾液がドバドバ出ていると、感染症にかかりにくくなる

ウィルスに対抗するための、様々な手段がある。その中でも、今回提案したいのは、「唾液」というバリアを重厚にする、ということである。

唾液と聞くとアミラーゼ・リパーゼという消化酵素が思い浮かぶ。実はその他に、ペルオキシダーゼという抗酸化作用のある酵素も含まれている。さらには、ラコとフェリン、ラクトペルオキターゼという病原菌や抗菌作用、抗炎症作用がある成分も含んでいる。

つまり、唾液がドバドバ出ていると、外部からのウィルスや細菌の侵入を防いでくれるということだ。

これは、日本のお城を囲む「お堀」に例えるとわかりやすいかもしれない。お城を守るお堀に水が張ってあれば、敵の侵入確率は減る。お堀がカラカラであれば、敵は侵入し放題なのと同じだ。

■人間、年齢を重ねると、口の中が唾液がでなくなる

あなたが、まだアラフィフであれば、口の中が乾く。という感覚がピンと来ないかもしれない。ところが、人間、年齢を重ねると、すべての器官が衰えていくように、唾液の分泌力も減っていく。

赤ん坊の頃にあれだけ泉のように口の中から溢れていた唾液が、蛇口の栓をゆっくりと締めるかのように、唾液がでなくなる。私は介護サービスを約10年してきた中で何百人という高齢者に出会ってきた。その中で、唾液が出なくなると、これほどまでに食事が食べづらくなるのかというシーンを目の当たりにしてきた。パンを食べようものならとたんに、口内の唾液はもっていかれる。食材は、湿っていないと飲み込めない。なんとも苦しそうだった。そして、いよいよ寝たきりになると、口の中は常時、乾燥状態。舌は、干し柿のようになってしまう。まさに、オアシスの泉が枯れた砂漠のような状態になるのだ。

当然、ウィルスが入ってくる入り口に、門番がいなくなるわけだから、感染症にかかりやすくなる。体力、免疫力が低下しているので、命をリスクにさらすことになる。

私は20代半ばにして、唾液が出なくなることの恐ろしさをつくづく感じ入ったものだ。

■現代人の食事を続けると、唾液はますます出なくなる

年齢を重ねるだけで、唾液が出なくなるのに、さらに追い打ちをかけるものがある。それは、現代人の食生活だ。

唾液は、噛むという動作を通じて、ポンプのように噴出する仕組みになっている。しかし、我々現代人は、老人が食べるような流動食に慣れきってしまっている。カレー、シチュー、中華丼、うどん、ラーメン。さらには、歯を使わなてくても食べられるような、コンビニの菓子パン、サンドウィッチ、ゼリー状の栄養補給剤、シリアルなどなど。

廃用性症候群という言葉がある。これは、使われない器官は衰えていくという症状だ。まさに、現代人の柔らかい食事は、噛む力を衰えさせ、ひいては、唾液を出す、唾液力を奪ってしまうものなのだ。

■一口の量を少なくして、噛む回数を増やす

では、「加齢により、唾液が減っていく」「柔らかい食事の中で唾液が減っていく」この環境の中で、何をすれば、唾液の量を増やすことができるのか。すなわち、唾液力を回復させることができるのだろうか。

まず、一口の量を少なくして、噛む回数を増やすことだ。

実は、口の中に入れる量が多くなると、噛みづらくなり、それが面倒で無理やり飲み込んでしまうことになる。それを逆手に取り、一口の量を少なくすることから始めよう。

次に、1口ごとに30回噛むこと。この時のコツは、たったひとつ。「箸を置く」ということだ。口の中の食べ物を、噛み終えるまえに、押し込むように、次の食材が運ばれてくることが、噛む行為を後回しにさせているのだ。

ウィルスへの防御力を上げるには、唾液の量を増やすことだ。唾液の量を増やすためには、噛む回数を増やすことだ。改めて、1口の食べる量を減らす。箸を置き、30回咀嚼してから、たっぷりの唾液とともに、食材を飲み込む。これを習慣にしよう。

■自分を守るのは、自分

Withコロナの時代になり、ウィルスの存在が、急に身近になってきた。このウィルスは見えない「辻切り」のようなものだ。いつ、どこで襲いかかってくるか分からない。

では、どうするのか。できるのは、自分で自分を守るための術を身につけることだ。その一つが、唾液の量を増やすことだ。周囲には分かりづらくとも、噛む回数が増えるたび、見えないバリアを重厚にまとっていると考えよう。

私達ビジネスパーソンは、日本経済の原動力だ。世界経済が揺れ動く中、我々が止まるわけには行かない。私は、日本のビジネスパーソンの唾液の量が増えれば、この冬は勝てると考えている。この記事を読んだビジネスパーソンの唾液一滴一滴が、日本を守るお堀の水になることを切に願っている。

健康マネジメントスクール

水野雅浩

■過去の記事

https://creators.yahoo.co.jp/mizunomasahirokenkom

■著書

bit.ly/3AbaGDO

■プロフィール

健康マネジメントスクール 水野雅浩

https://healthylifepj.com/

1975年生まれ 福岡県在住 予防医学の専門家。健康経営アドバイザー。講師・作家。『グローバルで勝つ!太らない疲れない7つの習慣』はAmazon総合ランキング1位。香港の勤務時代に、食事・睡眠・運動・ストレスケア・サプリメントに気を使い仕事のパフォーマンスを上げるビジネスパーソンを目の当たりにして、日本のメタボサラリーマンとの差に愕然とする。その後、某大手外資系企業のサプリメント商品開発責任者として10年歴任。しかし、サプリメント以前に、日本では健康習慣の基礎の啓蒙が必要と痛感。健康マネジメントの専門家として、企業・大学・行政で講師として啓蒙に力を入れている。

■講演実績

【企業】富士通株式会社、東レ株式会社、株式会社麻生グループ、株式会社中外製薬、アクサ生命保険株式会社、三菱商事株式会社、JR西日本グループ、株式会社大日本印刷、コカ・コーラボトリング株式会社、大塚製薬株式会社、ネスレ日本株式会社、Huawei Technologies Co., Ltd.北日本銀行、鳥取銀行、日本海新聞社、岩手日日新聞社、京都ホテルオークラ、とりねつ株式会社、ソルネット経営コンサルティング、税理士法人中央総合会計事務所、北斗工業エンジニアリング、一般社団法人日本パーソナルブランド協会、株式会社ホーマス・キリンヤ【労働組合】全トヨタ労働組合連合会(119社)、豊田自動織機労働組合 【行政】鳥取県、宮崎県、福岡県、岩手県など 【大学】台湾大学 【塾】公文など多数

■保有資格

日本成人予防協会一級健康管理指導員(認定番号H35366)/健康経営アドバイザー 認定番号3000092)東京商工会議所/健康マスター検定エキスパート 認定番号E1400471/健康美容情報認定協議会 健康美容アドバイザー認定講師/日本ダイエット協会 ダイエットプロフェッショナルアドバイザー/JADP認定 生活習慣病予防アドバイザー/サプリメントアドバイザー(認定番号H35366)/米国NLPコーチング研究所 NLPプロフェッショナルコーチ

健康マネジメント専門家

健康マネジメントスクール代表。作家・講師。予防医学の専門家。健康経営アドバイザ-。『グローバルで勝つ!30代の太らない疲れない7つの習慣』はアマゾン総合1位。企業・行政・大学で「仕事のパフォーマンスを上げる健康マネジメント」、学習塾で「子供の成績を上げる食事・睡眠習慣」をテーマに講師。著書に『親子で作る健康習慣「本番力」で受験に勝つ』がある。中央大学法学部卒業後、介護サービスに携わり10年間、人の老化と向き合う。その後の香港勤務では海外のビジネスパーソンらが実践する健康投資を目の当たりにする。日本に帰国後、12年、外資系ヘルスケア企業で商品開発の責任者を担う。1975年生まれ。福岡在住。

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