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40代からの健康習慣 悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やそう。

水野雅浩/健康マネジメント健康マネジメント専門家

こんにちは、健康マネジメントスクール、水野雅浩です。

『ビジネスパーソンの健康マネジメント』を中心に本の執筆、企業、行政、大学などで講師をしています。特に40代からは、コレステロール、中性脂肪、血糖値、高血圧、メタボなどが気になり始める。さらにストレスも増え、見た目年齢差も大きくなるステージ。ぜひフォローして、「攻めの健康マネジメント」にお役立てください。

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■突然すぎる、友人の死

「・・・嘘だろ??」

20代の頃、一緒に働いた同僚のご親族から、訃報が届いた。話を聞くと、その日も普通に仕事を終え、家のソファーで一段落していたら、心筋梗塞でそのまま帰らぬ人になったという。まだ40代。子供も2人いる。絶句してしまった。

20年前、彼と一緒に仕事をした当時、私は仕事の苦境にあった。会社は急拡大の反動で、事業の大縮小を行ったときだった。拠点の統廃合。立て直し。慣れない年長者のマネジメント。オフィスで寝泊まりしながら、四苦八苦していた私を業務面でも、精神の面でも支えてくれた人だった。そして、どんな状況でも、ひまわりのような笑顔でいつも職場の仲間を元気づける人だった。

死亡解剖の結果、肺動脈にプラークが溜まっていたという。おそらく、心筋梗塞の原因となったものだ。血管リスクは、自覚がしにくい。痛くもないし痒くもない。だから後回しにしがちだ。しかし、血管リスクは、突然やってくる。それは1年後か1ヶ月後か1週間後か。誰もわからない。

「血管対策」は、「防災対策」と同じだ。できることは、事前の対策だけだ。万が一の震災に備えて、水や食料を備えるように、血管ケアの対策が必要だ。40代になると血糖値があがり、血圧もあがり、コレステロールや中性脂肪の数値も上がってくる。今回は、一人でも多くの方に血管ケアの重要性をお伝えしたいと思う。

■コレステロール・中性脂肪とは

改めて、血管リスクにいたるまでのメカニズムを整理しよう。

一般的に脂っこい食事、甘いもの、お酒、タバコ、運動不足、ストレスが続くと、中性脂肪が増える。中性脂肪が増えると、血管の中の悪玉コレステロールが増える。すると、悪玉コレステロールが血管の中に入り込み、血管の中にコブをつくってしまう。これが、「プラーク」だ。その結果、心筋梗塞、脳梗塞といったいわゆる「健康リスク」をあげてしまう。

今のWithコロナの時代では、ウーバーなどの配達の利用も増え、運動不足も重なり、ストレスを感じることも多くなった。友人は、食事にはかなり気を使っていたようだが、本人も自覚しない間に、相当ストレスが溜まっていたのかもしれない。ストレスも悪玉コレステロールを増やす原因になるのだ。

■コレステロールは比率が重要

ただ、コレステロールの数値を見る時に、LDLコレステロール値が高いからと言って、すぐに慌てるのは早計だ。重要なのは、HDLコレステロールとLDLコレステロールの「比率」だ。体の隅々へ運ばれるものがLDLコレステロールで、余分に蓄積すると動脈硬化などの原因となるので「悪玉」表現される。 それに対して、体から回収されるものがHDLコレステロールで余分なコレステロールを減らすので「善玉」とされる。

この悪玉VS善玉の比率を、「比率LH比」という。計算式は、【LDLコレステロール値】÷【HDLコレステロール値】。健康診断のデータが手元にあれば、さっそくLH比を計算してみよう。

一般的に、LH比が

  •  1.5未満のとき、血管内は健康な状態。
  •  1.5以上では、コレステロールが血管のなかに付着し始めている状態。
  •  2.0以上では血管内壁全体にコレステロールの塊がこびりついているおそれ。
  •  2.5以上ではコレステロールの蓄積が顕著になり、危険な状態であることが示唆。

と言われる。

■コレステロール対策は、何をすればよいのか

もし、健康診断の数値を見て、このLH比率が気になるようだったら、すぐに生活習慣を見直そう。善玉コレステロールを増やす。悪玉コレステロールをへらす。ダブルアプローチが効果的だ。

1)運動量を増やして、善玉コレステロールを増やす

運動量を増やすことで善玉コレステロールを増やすことができる。家からオフィスまでの経路で、まずは一駅歩くでもOKだ。運動量を増やそう。さらに、ウォーキングなどの有酸素運動はストレスも軽減する。私も、家からオフィスまで5kmほど歩いている。ウォーキングやジョギングは最大の予防になる。

2)糖質を減らして、悪玉コレステロールを減らそう。

過剰な糖質は、体内で中性脂肪に変わる。中性脂肪は悪玉コレステロールを増やす。ということは、糖質のとりすぎを見直す必要がある。糖質を多く含む、白米、麺類、お酒、スイーツなど、「量」を減らそう。今の摂取量の半分を目指すと良いだろう。

さらに、糖質の吸収を穏やかにするお野菜(食物繊維)をたっぷり食べよう。サラダをつくるのが面倒くさければ、いつもの味噌汁に野菜を多めに入れるだけでも十分だ。この糖質OFF、お野菜ONの食生活が悪玉コレステロールを減らしてくれる。

■40代からは、血管ケアを習慣にしよう

親からもらった健康貯金も20代、30代で枯渇し、加齢が襲いかかる。40代は、血糖値、高血圧、コレステロール値などが高くなり、脳卒中、心筋梗塞などのリスクが一気に高まる時期だ。

繰り返すが、血管ケアのやっかいなところは、痛くも痒くもないところだ。だから、放置しがちだし、後回しにしがちだ。しかし、血管由来の健康リスクは突然やってくる。そして、残されたものに大きな悲しみを残す。家族への最大の貢献は、あなたが「健康であり続ける」ことだ。40代のビジネスパーソンは日々の生活の中で、善玉コレステロールを増やし、悪玉コレステロールをへらす、血管ケアを始めよう。

私は今、ビジネスパーソンに健康習慣を啓蒙する仕事をしている。離れた土地で暮らしているとは言え、20代の頃、あれだけ力になってもらった友人に、私は何もできなかった。当時のひまわりのような笑顔だけが思い出され、悔しさが残る。期せずしてあの世に旅立った親友のご冥福を心からお祈りする。

健康マネジメントスクール

水野雅浩

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■プロフィール
健康マネジメントスクール 水野雅浩

https://healthylifepj.com/

1975年生まれ 福岡県在住 予防医学の専門家。健康経営アドバイザー。講師・作家。『グローバルで勝つ!太らない疲れない7つの習慣』はAmazon総合ランキング1位。香港の勤務時代に、食事・睡眠・運動・ストレスケア・サプリメントに気を使い仕事のパフォーマンスを上げるビジネスパーソンを目の当たりにして、日本のメタボサラリーマンとの差に愕然とする。その後、某大手外資系企業のサプリメント商品開発責任者として10年歴任。しかし、サプリメント以前に、日本では健康習慣の基礎の啓蒙が必要と痛感。健康マネジメントの専門家として、企業・大学・行政で講師として啓蒙に力を入れている。

■講演実績
【企業】富士通株式会社、東レ株式会社、株式会社麻生グループ、株式会社中外製薬、アクサ生命保険株式会社、三菱商事株式会社、JR西日本グループ、株式会社大日本印刷、コカ・コーラボトリング株式会社、大塚製薬株式会社、ネスレ日本株式会社、Huawei Technologies Co., Ltd.北日本銀行、鳥取銀行、日本海新聞社、岩手日日新聞社、京都ホテルオークラ、とりねつ株式会社、ソルネット経営コンサルティング、税理士法人中央総合会計事務所、北斗工業エンジニアリング、一般社団法人日本パーソナルブランド協会、株式会社ホーマス・キリンヤ【労働組合】全トヨタ労働組合連合会(119社)、豊田自動織機労働組合 【行政】鳥取県、宮崎県、福岡県、岩手県など 【大学】台湾大学 【塾】公文など多数

■保有資格
日本成人予防協会一級健康管理指導員(認定番号H35366)/健康経営アドバイザー 認定番号3000092)東京商工会議所/健康マスター検定エキスパート・普及認定講師 認定番号E1400471/健康美容情報認定協議会 健康美容アドバイザー認定講師/日本ダイエット協会 ダイエットプロフェッショナルアドバイザー/JADP認定 生活習慣病予防アドバイザー/サプリメントアドバイザー(認定番号H35366)/米国NLPコーチング研究所 NLPプロフェッショナルコーチ

健康マネジメント専門家

健康マネジメントスクール代表。作家・講師。予防医学の専門家。健康経営アドバイザ-。『グローバルで勝つ!30代の太らない疲れない7つの習慣』はアマゾン総合1位。企業・行政・大学で「仕事のパフォーマンスを上げる健康マネジメント」、学習塾で「子供の成績を上げる食事・睡眠習慣」をテーマに講師。著書に『親子で作る健康習慣「本番力」で受験に勝つ』がある。中央大学法学部卒業後、介護サービスに携わり10年間、人の老化と向き合う。その後の香港勤務では海外のビジネスパーソンらが実践する健康投資を目の当たりにする。日本に帰国後、12年、外資系ヘルスケア企業で商品開発の責任者を担う。1975年生まれ。福岡在住。

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