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40代からの健康習慣「中性脂肪」を下げる3つの習慣

水野雅浩/健康マネジメント健康マネジメント専門家

こんにちは、健康マネジメントスクール、水野雅浩です。

『ビジネスパーソンの健康マネジメント』を中心に本の執筆、企業、行政、大学などで講師をしています。特に40代からは、ストレスも増え、年齢差が大きくなるステージ。ぜひフォローして、「攻めの健康マネジメント」にお役立てください。

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■40代からは中性脂肪と向き合おう

先日、私は、20年来の友人を失った。

心筋梗塞であった。

私は10年間、高齢者介護サービスの仕事をしてきた経験から、糖尿病、寝たきり、認知症などで苦しむ人々を長年見てきた。その経験から、「せめてもの救いは、苦しむ期間が少なかったことか」と無理矢理自分を納得させようとした。しかし、残された家族、特にまだ小さい2人の子どもたちのことを思うと、どうにも気持ちの収まりがつかない。その理由は、「防げたかもしれない」という可能性があったからだ。

今回は、「中性脂肪」という言葉が気になる40代以上のビジネスパーソン向けに、数値を下げるポイントについて解説する。

■中性脂肪は憎き、悪者なのか?

私達の体は糖質や脂質をエネルギーにして生活をしている。その中でも、中性脂肪は、糖質の不足を補い、身体を動かすエネルギー源となる。この中性脂肪はどこに存在しているかというと、体脂肪。二の腕やお腹周りの体脂肪の大半は、実は、中性脂肪なのだ。では憎き体脂肪≒中性脂肪は、悪者なのか?と問われれば、実はそんなことはない。体脂肪は体温を保持したり、内臓を衝撃から守る働きがあるからだ。

では何が問題なのか?実は、異常な中性脂肪値が悪役となり、私たちの健康をおびやかすことがある。中性脂肪の基準値は、空腹時30~149mg/dl。しかし、中性脂肪値が150mg/dl以上の場合、さまざまな病気が疑われるようになる。日本動脈硬化学会による脂質脂肪症の診断基準のひとつにも、中性脂肪値150mg/dl以上だ。

■低すぎる中性脂肪値にも問題がある?

慌てて健康診断の数値を確認し、数値が低く、ホッとした人がいるかもしれない。しかし、基準値を下回る中性脂肪値も、じつは問題。中性脂肪値が低すぎると、いざというときに必要なエネルギーを補うことができなくなる。例えば極端なダイエットなどは禁物だ。また、血中の糖質や中性脂肪が異常に不足すると、頭痛やめまいを起こし、意識を失ってしまうケースも。何事も、中庸が大切なのだ。

■中性脂肪はなぜ、増えるのか?

中性脂肪増加の原因は、ずばり、食べすぎ、飲みすぎ、運動不足の三拍子。コロナ禍はすべて当てはまり、耳が痛いかもしれない。一つ一つ解説すると、食べすぎは、肝臓で作られる中性脂肪を増加させる。晩酌などでアルコールを飲みすぎていると、解毒が優先され、分解が追いつかなくなった脂肪が肝臓にたまり続け、フォアグラ状態に。そこに運動不足が重なると、消費されないので蓄積が加速。さらに40代を超えると代謝が落ちる。三拍子に更に拍車がかかるのだ。

■中性脂肪が増えるとどうなる?

では、中性脂肪が増えると、結局のところ何がよくないのだろうか?まず、中性脂肪が増えると、血液が小川のようにサラサラの状態から、ヘドロのようなドロドロになることがある。次に、血液に中性脂肪が増えることで、善玉のHDLコレステロールが減少し、悪玉のLDLコレステロールが増加する。

さらに、血液の脂質のバランスがくずれたことで脂質異常となり、動脈硬化が進行。若かったときは茹でたてのマカロニのような状態だった血管も、乾燥したカチコチのマカロニのようになる。すると、血管はつまりやすくなり、無理な力が加わることで破れやすくもなる。これがいわゆる、血管リスクが高まった状態だ。では命を落とすような血管リスクはどのようなものなのか。様々あるが、ここでは代表的な3つに絞る。

●心臓の細胞が壊死する、心筋梗塞

血栓が突然、冠動脈の血の流れを止めるのが心筋梗塞。胸の激痛が15分以上続き、ショック状態に陥る。酸素供給がとまり心細胞が壊死する。心筋梗塞は、最初の発作で3割の人が命を落とすともいわている。私の友人もこのケースに当てはまる。措置が間に合い治療ができたとする。医療費総額の平均は約入院180万円と高額だ。

●脳にダメージが残る、脳卒中

脳卒中とは、脳の血管がつまる脳梗塞や脳の内部で出血する脳内出血、くも膜下出血などの総称だ。脳卒中は、発作が起きてから目安として3時間以内に治療を開始が勝負となる。一命をとりとめても、言語障害や身体の片側の麻痺などの後遺症が出る可能性がある。医療費総額の平均は入院約188万円だ。

●糖尿病

即、命を落とさないまでも気をつけたいのが、糖尿病だ。糖尿病になると、合併症を引き起こし、四肢切断や失明に至ったり、人工透析が欠かせなくなる危険性がある。人工透析には、週に3回ほど通院が必要で、1回につき4~5時間も時間を費やすことになる。私は、介護サービス時代に透析の患者を数え切れないほど見てきた。これが人の生活なのかと思うほど、生活のQOLは激減する。生活習慣を見直すことで防げるのであれば、絶対に避けたいのが糖尿病だ。

■中性脂肪を下げる3つの習慣

中性脂肪値が高いと指摘されたら、生活習慣の見直しを始めよう。毎日、コツコツと小さな健康投資をすることが、突然の健康リスク(脳疾患、心疾患)を防ぐことにつながる。これは、生きながらえたとしても約180万円の入院費という出費を防ぐことにつながる。何よりもあなたの大切な家族や友人を悲しませない未来を選ぶことができる。

1)色々、食べる

食事を偏らせず、色々食べることを意識しよう。イメージとしては、下町の食堂で出てくるような、日替わり定食だ。定食には、大抵、メインの品(焼き魚など)、ご飯、味噌汁、に加えて、野菜などの1つ2つ小鉢がつくだろう。

人の味覚は、糖質、脂質、塩分に強く反応するようにできている。この本能のまま食事をしていると、どうしても、自分が好きなものばかり食べるようになる。すると、糖質、脂質が過多になり、中性脂肪が多くなるのだ。

ファーストフード、ラーメン、カレー、中華などばかり食べている人は、和食ランチに切り替えることからは始めよう。

2)こってり濃厚から、あっさりさっぱりへ

こってり濃厚なものは、味覚を刺激して美味しさを感じる。しかし、脂質が多い。過剰な脂質は体内で消費し切ることができず、溜まってしまう。さらに、塩分が多いため、炭水化物(≒糖質)を必要以上に摂取してしまう。こってり濃厚な食事をしていると中性脂肪がふえてしまう。

味覚を、「あっさり・さっぱり」に慣らしていこう。例えば、カルボナーラよりは、和風きのこパスタ。ハンバーグ定食よりは、あっさり豚しゃぶ定食を選択する、といったイメージだ。

3)1日30分以上の有酸素運動を、週3回行う

ソファーでテレビを見る時間から、歩く時間へ切り替えよう。私のおすすめは、夕食後のウォーキングだ。その理由は、3食の中でどうしても、食事の量が多くなるのは、夕食だ。当然、中性脂肪の原因となる糖質や脂質の摂取量も相対的に多くなる。そこで、夕食後ウォーキングをすると、血糖値が上昇することを防ぎ、中性脂肪に入れ替わることを防いでくれるのだ。

とはいえ私自身、今までは夕食後、食事の余韻を楽しむという名目で、ソファーでゆったりしてテレビを眺めていた。しかし、食後ウォーキングをやってみると、お腹もこなれるし、夜風が気持ち良く、ものすごい満足感がある。しかも、驚くほど睡眠の質が深くなる。筋肉痛になるわけでもなく、汗を滝のように流すわけでもない。これほど取り入れやすい習慣は他に見当たらない。

■40代からは、中性脂肪ケアを習慣にしよう

私が企業で健康経営の講師として、ビジネスパーソンと話をしていても、健康診断の数値を覚えている人はほとんどいない。確かに、20代、30代はそれで乗り切れたかもしれない。しかし、40代以降はその見ないようにしてきた数値と向き合うタイミングだ。

それは、自分の未来や、家族の未来と向き合うタイミングでもある。笑顔あふれる未来にできるのか、それとも涙にくれる未来になるのかは、あなたの中性脂肪が握っている。

ホコリを被っていた健康診断を取り出して、まずは、中性脂肪の数値からチェックしよう。中性脂肪を下げることができれば、ドミノ倒しで悪玉コレステロールも下げることができる。悪玉コレステロールを下げることができれば、血管のつまりや、動脈硬化を防ぐことができる。

未来を変える初めの一歩を、今日から始めよう。

健康マネジメントスクール

水野雅浩

参考文献

平成27年 厚生労働省国民健康・栄養調査/第2編 健診 – 厚生労働省/日本動脈硬化学会「動脈硬化症疾患予防ガイドライン」/医療データソース:株式会社JMDCが管理する約160万人の診療報酬明細書(レセプト)データ

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■プロフィール

健康マネジメントスクール 水野雅浩

https://healthylifepj.com/

1975年生まれ 福岡県在住 予防医学の専門家。健康経営アドバイザー。講師・作家。『グローバルで勝つ!太らない疲れない7つの習慣』はAmazon総合ランキング1位。香港の勤務時代に、食事・睡眠・運動・ストレスケア・サプリメントに気を使い仕事のパフォーマンスを上げるビジネスパーソンを目の当たりにして、日本のメタボサラリーマンとの差に愕然とする。その後、某大手外資系企業のサプリメント商品開発責任者として10年歴任。しかし、サプリメント以前に、日本では健康習慣の基礎の啓蒙が必要と痛感。健康マネジメントの専門家として、企業・大学・行政で講師として啓蒙に力を入れている。

■講演実績

【企業】富士通株式会社、東レ株式会社、株式会社麻生グループ、株式会社中外製薬、アクサ生命保険株式会社、三菱商事株式会社、JR西日本グループ、株式会社大日本印刷、コカ・コーラボトリング株式会社、大塚製薬株式会社、ネスレ日本株式会社、Huawei Technologies Co., Ltd.北日本銀行、鳥取銀行、日本海新聞社、岩手日日新聞社、京都ホテルオークラ、とりねつ株式会社、ソルネット経営コンサルティング、税理士法人中央総合会計事務所、北斗工業エンジニアリング、一般社団法人日本パーソナルブランド協会、株式会社ホーマス・キリンヤ【労働組合】全トヨタ労働組合連合会(119社)、豊田自動織機労働組合 【行政】鳥取県、宮崎県、福岡県、岩手県など 【大学】台湾大学 【塾】公文など多数

■保有資格

日本成人予防協会一級健康管理指導員(認定番号H35366)/健康経営アドバイザー 認定番号3000092)東京商工会議所/健康マスター検定エキスパート・普及認定講師 認定番号E1400471/健康美容情報認定協議会 健康美容アドバイザー認定講師/日本ダイエット協会 ダイエットプロフェッショナルアドバイザー/JADP認定 生活習慣病予防アドバイザー/サプリメントアドバイザー(認定番号H35366)/米国NLPコーチング研究所 NLPプロフェッショナルコーチ

健康マネジメント専門家

健康マネジメントスクール代表。作家・講師。予防医学の専門家。健康経営アドバイザ-。『グローバルで勝つ!30代の太らない疲れない7つの習慣』はアマゾン総合1位。企業・行政・大学で「仕事のパフォーマンスを上げる健康マネジメント」、学習塾で「子供の成績を上げる食事・睡眠習慣」をテーマに講師。著書に『親子で作る健康習慣「本番力」で受験に勝つ』がある。中央大学法学部卒業後、介護サービスに携わり10年間、人の老化と向き合う。その後の香港勤務では海外のビジネスパーソンらが実践する健康投資を目の当たりにする。日本に帰国後、12年、外資系ヘルスケア企業で商品開発の責任者を担う。1975年生まれ。福岡在住。

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