40代からの健康習慣。1日30秒プランクを風呂前に3ヶ月やってみた結果、私に起こった3つのこと
こんにちは、健康マネジメントスクール、水野雅浩です。『ビジネスパーソンの健康マネジメント』を中心に本の執筆、企業、行政、大学などで講師をしています。特に40代からは、ストレスも増え、健康格差が大きくなるステージ。ぜひフォローして、「攻めの健康マネジメント」にお役立てください。
「最近、体型が、土砂崩れのように崩れていくようだ」
先日、初めて打ち合わせで訪問した企業で、50代の管理職と話していた時のこと、ぽろりと漏れた言葉だ。
40を過ぎると、加速度的に、体力を落ちていく。そして体型も崩れていく。ベルトの穴を一つ、また一つと増やしていく結果、中肉中背のメタボオヤジが出来上がる。厚生労働省のデータを見ると、肥満者(BMI ≧ 25) の割合は,男性 28.6%,女性 20.6%。男性では, 40 歳代(35.9%)が最も多く,次いで 50 歳代(32.4%)となる。かくいう私も、もう50代目前。20代、30代の頃とは明らかに体力が落ち、筋力が衰えてきた。ふと気がつくと、お腹がぽっこり出ていることに気づき、慌てて引っ込める始末だ。「土砂崩れ」という言葉が胸に突き刺さる。
メタボのデメリットは、せっかく作った、オーダースーツが入らなくなるだけではない。体は心の器だ。凛としたビジネスパーソンとしてあろうとする、気力すらも奪っていく。さらに、健康面では、内臓脂肪が悪玉コレステロール値を上げ、血管のしなやかさを奪い、それは、脳疾患につながる。脳疾患のリスクに近づいていくということは、当然ながら、ゆるかやかに脳機能が低下していく過程にほかならない。
そんな時に、ある記事が目に止まった。吉永小百合さんは、毎日腹筋を100回欠かさずやっているという。きっかけは、高倉健さんから「健康で現役でいたいなら、腹筋が大切だよ。毎日100回はやらないと」と言われたことがきっかけだったとか。 失礼ながら、体型が土砂崩れのように崩れていく50代ではなく、吉永小百合さん(78歳!)のように、健康で現役でい続けたいと思った。
定年退職といえば、これまでは60歳が一般的だ。しかし今後は、それ以降も働くことが当たり前になるだろう。実際、慶應義塾大学の岡本翔平氏らの研究では、60歳以降も仕事を継続している人とそうでない人の、死亡と認知機能低下、脳卒中、糖尿病のリスクを比較したところ、就労が健康に利益をもたらす可能性を示している。
50を前にして、おそらく私は今の自分から脱却したいというきっかけを探していたのかもしれない。 私も、たるんだ腹筋にテコ入れすることを決意した。
■腹筋100回ではなく、1日30秒のプランクからスタート
吉永小百合さんが実践する腹筋100回を富士山の山頂と考えるならば、私はまだ福岡のオフィスにいて、山の麓にすらたどり着けていないほど差がある。まずは、1日30秒のプランクからスタートすることにした。
やり方は後述するとして、効果としては、3つある。
●コルセットを内蔵できたこと。
シックスパックにはならないが、確実に腹筋というコルセットを内蔵することができた。これにより、重力に逆らえずスライムのようにベルトの上に乗っていた腹が消えた。
●ウエスト・サイズが変わった
ユニクロのチノパンは86cmから76cmへサイズダウン。今までは立っているときは、ウエスト86cmも必要はないのだが、座ったときや食事のときはどうしても腹部が膨れ窮屈さを感じていたため、大きめを履いていた。しかし、プランクをしてからは立っても座っても76cmですっきり収まるようになった。内臓脂肪減って筋肉に置き換わったのだろう。健康診断が楽しみだ。
●姿勢が良くなった
とかく現代は、猫背になりがちだ。電車の中で、スマホを見ているビジネスパーソンの姿勢は、総じて、ひしゃげたペットボトルのようだ。内臓には負担がかかるし、当然、血流も悪くなる。その中、プランクを習慣にしてからは、ペットボトルがストンと机の上に立つように、明らかに姿勢が良くなった。体の各部への余分な負荷が減ったせいか、仕事への集中力が増すというおまけも付いてきた。
■気まぐれな猫をしつけるように、気長に習慣を作る
気持ち、体型、健康、仕事のパフォーマンスの面でも確実にポジティブな変化をもたらしたプランク習慣をどのように作ったのかをご紹介したい。
●時間
まず、1日の前に実行するタイミングは、夕食の後、風呂の前にした。朝は、バタバタしているし、そこまで気合は入っていない。日中も仕事なのでできない。腹がふくれる夕食前にやろうと思ったが、妻から「そんなことより、早く、お茶碗にご飯をよそって!」と叱られてしまった。結果として、夕食後、入浴前となった。
●まずは膝つきプランク30秒を1ヶ月
ものは試しと、床に肘を付き1分間、プランクをやってみた。40秒経過を経過したあたりから、のたうち回るような痛みが腹と背中を襲い、50秒を過ぎたあたりから、脂汗が流れ始めた。60秒を過ぎた瞬間に腹筋が崩壊。腹と背中の筋肉の痛みで、その場に倒れ込んでしまった。翌日には、ひどい疲労感で朝起きるのがつらいという始末。若かりし頃の輝く肉体を持っていた、あの無敵感は一体どこにいってしまったのか。
中年男性としての、現在地は、痛いほど確認できた。
そこで、まずは、膝つきプランクを30秒、1ヶ月することに決めた。
30秒であれば、時間の捻出は問題ない。30秒であれば、やる気も保つことができる。 膝つきプランクであれば、筋肉痛にもならない。 自分でもこれは負荷が少なすぎるだろ!と思った。しかし、私はアラフィフのおっさんなのだ。体の負荷は心の負荷だ。強すぎると折れてしまう。飼いはじめたばかりの気ままな猫が新居でトイレの場所を覚えさせるように、慎重にかつ気長に、習慣を育てることを優先した。
1ヶ月を終了したころ、特に、体が筋肉質になった気はしない。しかし、姿勢がきれいですね。と言われるようになった。今までは、自分でも自覚しないうちに、猫背になっていたのだろう。たかが30秒、されど30秒。目に見える効果を人から指摘されたことは大きなモチベーションになった。
●2ヶ月目 、膝つきからの卒業。足伸ばしプランクを30秒に
膝つき30秒のプランクを1ヶ月やったことで、得られたことは2つ。1つは、たかが30秒、されど30秒。プランクをするという習慣が身についたこと。もう一つは、少なからず、筋肉貯金が蓄積されたことだ。
これをもって、2ヶ月目に突入。プランクとは英語でPlank。つまり「厚板」を意味する。背筋、腹筋、大腿四頭筋とまっすぐに板のようにすることを意識して足を伸ばしたプランクへ。1ヶ月目で膝つきプランク30秒とはいえ、筋肉貯金ができていたのだろう。2ヶ月目の床プランク30秒は、意外とすんなりできてしまった。
しかし、ここで調子に乗らないよう、1つの工夫をした。工夫した点としては、やりすぎないようにスマホのアラームの活用。理由としては、調子に乗って、筋肉痛になって、せっかく育てた新しい習慣が崩壊してしまうのはあまりにも、もったいない。習慣形成は、ちょっとしたことで崩れてしまう。子供だってハイハイからよちよち歩きにシフトするのだ。プランクを30秒から倍の60秒にするのは、走り幅跳びをさせるようなものだ。物事にはステップある。どんなに筋力の余裕があっても30秒を死守した。
2ヶ月目になり、はっきりと自覚できたのは、雪見だいふくのような質感のお腹が、板チョコのような質感に変わっていったことだ。シックスパックには届いてない。しかし、明らかに固くなってきた。使用したことはないが、コルセットを内蔵したような感覚だ。
●3ヶ月目は、 足伸ばしプランクを60秒
いよいよ、3ヶ月目にして、足伸ばしプランク60秒に突入。
30秒から60秒になるのは、相当なハードルになるかと想像していたが、驚くほどすんなりクリアしてしまった。3ヶ月前の腹筋から血が吹き出るような痛みは何だったのか。ただ、今回も2つの工夫をした。1つは、以前と同じようにアラームをつけたこと。60秒以上はしないと決めた。調子に乗って後悔しないことが大切なのだ。工夫の2点目は、視聴中のネットフリックスを60秒だけでも再生すること。たとえ60秒でも、続ける動機づけになった。
そして、より強い動機付けになったのが、ウェストのサイズダウンだ。ユニクロでいつも通りウエスト86cmのチノパンを購入したら、こぶし1つ分、ブカブカになっていた。結局、76cmのチノパンを買い直すことに。体重は変化がないが、たるんでいたものが引き締まったのであろう。86cmのチノパンは、そのまま同僚にあげた。3990円は無駄になったが、気分は悪くない。
■1日30秒の投資が、3ヶ月後期待以上のリターンを生む
マッチョになりたいわけじゃない。しかし、生涯現役でいたい。しかも、健康な状態で。そんな思いを持つひとが多いのではないだろうか。
リンダ・グラットン氏の『ライフシフト』の中で、忘れられない文章がある。
「時間がたっぷりあると思えば、立派な大聖堂を建てられるが、四半期単位でものを考えれば、醜悪なショッピングモールができあがる」(バイオリニストのスティーブン・ナハマノヴィッチの言葉)。
これは、時間というスパンを長期で見据えるというメッセージと、「それを実行に移すには、体力が必要だ」というメッセージを含んでいるように、私はとらえた。
40代を過ぎたら老化は加速する。これは現実だ。しかし、その老化スピードを加速させるのか。それとも緩やかにするのかは、あなたの健康投資にかかっている。
まずは、1日30秒のプランクから始めよう。3ヶ月後には、期待以上のリターンが待っている。
健康マネジメントスクール
■プロフィール
健康マネジメントスクール 水野雅浩
https://healthylifepj.com/
1975年生まれ 福岡県在住 予防医学の専門家。健康経営アドバイザー。講師・作家。『グローバルで勝つ!太らない疲れない7つの習慣』はAmazon総合ランキング1位。香港の勤務時代に、食事・睡眠・運動・ストレスケア・サプリメントに気を使い仕事のパフォーマンスを上げるビジネスパーソンを目の当たりにして、日本のメタボサラリーマンとの差に愕然とする。その後、某大手外資系企業のサプリメント商品開発責任者として10年歴任。しかし、サプリメント以前に、日本では健康習慣の基礎の啓蒙が必要と痛感。健康マネジメントの専門家として、企業・大学・行政で講師として啓蒙に力を入れている。
■講演実績
【企業】富士通株式会社、東レ株式会社、株式会社麻生グループ、株式会社中外製薬、アクサ生命保険株式会社、三菱商事株式会社、JR西日本グループ、株式会社大日本印刷、コカ・コーラボトリング株式会社、大塚製薬株式会社、ネスレ日本株式会社、Huawei Technologies Co., Ltd.北日本銀行、鳥取銀行、日本海新聞社、岩手日日新聞社、京都ホテルオークラ、とりねつ株式会社、ソルネット経営コンサルティング、税理士法人中央総合会計事務所、北斗工業エンジニアリング、一般社団法人日本パーソナルブランド協会、株式会社ホーマス・キリンヤ【労働組合】全トヨタ労働組合連合会(119社)、豊田自動織機労働組合 【行政】鳥取県、宮崎県、福岡県、岩手県など 【大学】台湾大学 【塾】公文など多数
■保有資格
日本成人予防協会一級健康管理指導員(認定番号H35366)/健康経営アドバイザー 認定番号3000092)東京商工会議所/健康マスター検定エキスパート・普及認定講師 認定番号E1400471/健康美容情報認定協議会 健康美容アドバイザー認定講師/日本ダイエット協会 ダイエットプロフェッショナルアドバイザー/JADP認定 生活習慣病予防アドバイザー/サプリメントアドバイザー(認定番号H35366)/米国NLPコーチング研究所 NLPプロフェッショナルコーチ