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令和6(2024)年の鉄道 注目ニュースは?

清水要鉄道ライター
庭瀬駅を通過する特急「やくも」 今年から新型車両が投入される

あけましておめでとうございます。

北陸新幹線の敦賀延伸や北大阪急行の箕面萱野延伸、特急「やくも」への新型車両投入などが予定されている令和6(2024)年。新年一本目の記事では今年予定されている注目の鉄道ニュースについて紹介していこう。

東京メトロ03系
東京メトロ03系

まず2月下旬には上毛電鉄の新型車両「800形」が営業運行を開始する。東京メトロ日比谷線で活躍していた03系を譲り受けたもので今後3年間かけて1編成ずつ導入される予定だ。京王井の頭線3000系を譲り受けた在来の700形は製造から半世紀を経て老朽化しており、このうち3本が置き換え対象だ。03系は熊本電鉄、長野電鉄、北陸鉄道にも譲渡されており、既に営業運転を開始している。

越前たけふ駅
越前たけふ駅

3月16日には北陸新幹線の金沢~敦賀間が延伸開業し、小松・芦原温泉・福井・越前たけふ・敦賀の5駅が新設される。このうち在来線の駅に隣接しない単独駅は越前たけふ駅のみだ。この開業に合わせて在来の北陸本線は金沢~大聖寺間が「IRいしかわ鉄道」、大聖寺~敦賀間が「ハピラインふくい」とそれぞれ第三セクター鉄道に転換される。いずれも列車の増便などが予定されており地元利用者にとって使いやすい地元密着ダイヤになる予定だ。一方、関西方面と福井・金沢間の利用者は敦賀での乗り換えを強いられることになり、一日でも早い北陸新幹線の新大阪までの全通が待たれる。

255系「わかしお」
255系「わかしお」

3月16日ダイヤ改正では30年に渡って房総特急に用いられてきた255系が引退する。255系は平成5(1993)年7月2日デビュー。現在は東京~銚子間の特急「しおさい」と東京~安房鴨川間の特急「わかしお」に使用されているが、E257系およびE259系に置き換えられて運用を退くことになった。

初野駅
初野駅

3月16日改正では北海道で利用者の少ない5駅(恩根内初野愛山滝ノ上中ノ沢)が廃止となる。JR北海道は平成28(2016)年以降、毎年のように利用者の少ない駅の削減を進めており、今年は宗谷本線で2駅、石北本線で1駅、石勝線で1駅、函館本線で1駅が廃止となる。

恩根内駅、初野駅、愛山駅、滝ノ上駅、中ノ沢駅 JR北海道の無人5駅の来年3月廃止が確定

特急「しらさぎ」
特急「しらさぎ」

3月16日ダイヤ改正では在来線特急の多くで自由席が廃止され、全席指定席となる。対象となるのはJR西日本では「サンダーバード」「しらさぎ」「スーパーはくと」「スーパーいなば」「やくも」、JR北海道では「北斗」「すずらん」「おおぞら」「とかち」の各列車。また、東海道・山陽・九州新幹線の一部車両に設けられている喫煙ルームも廃止となり、新倉敷や三原など8駅に残る分煙未対応の喫煙コーナーも廃止となる。車内喫煙ルーム跡地は災害時に備え、非常用飲料水などの置き場に転用される予定だ。

また、3月16日ダイヤ改正では新駅の開業も予定されている。名鉄河和線の高横須賀~南加木屋間に「加木屋中ノ池駅」(愛知県東海市)が開業する予定だ。また、西日本鉄道でも3月ダイヤ改正で天神大牟田線の雑餉隈~春日原間に「桜並木駅」(福岡市博多区)が開業する予定で、これに合わせて試験場前駅も「聖マリア病院前」に改称される。

北大阪急行9000系
北大阪急行9000系

3月23日には北大阪急行南北線が千里中央~箕面萱野間2.5キロを延伸する。途中には箕面船場阪大前駅が設けられ、箕面市東部から大阪都心へのアクセスが向上する。

同日にはJR九州の観光列車「SL人吉」が運行を終了する予定だ。また、JR九州では春より博多~由布院・別府間の新たな観光列車「かんぱち・いちろく」の導入も予定されている。名称は久大本線の開通に尽力した大分の偉人・麻生観八と衛藤一六に由来しており、車両は「いさぶろう・しんぺい」用のものを改造する。

20系
20系

3月には大阪メトロ中央線で40年近く活躍してきた20系が引退する。20系は昭和59(1984)年から平成元(1989)年にかけ製造された車両で、現在は中央線に4本(2505F、2506F、2632F、2633F)のみが在籍している。新型車両400系への置き換えが進んでおり、残る4本も3月までには退役する予定だ。

201系
201系

大阪ではもう一つの古参車両も姿を消す。関西本線で活躍する201系は8本が現役を続けているが、新型車両の導入により今年度中に引退する予定だ。201系は昭和59(1984)年に登場、昭和58(1983)年には京阪神でも運行を開始した。JR東日本では平成23(2011)年6月20日に全廃。JR西日本でも平成19(2007)年3月18日に京阪神緩行線、令和元(2019)年6月7日に大阪環状線およびゆめ咲線、令和4(2022)年3月12日におおさか東線から撤退している。詳しい引退時期についてはまだ公表されていない。

根室本線東鹿越駅
根室本線東鹿越駅

4月1日には根室本線富良野~新得間が部分廃止となり、布部山部下金山金山東鹿越幾寅落合の7駅が営業を終了する。この区間のうち東鹿越~新得間は平成28(2016)年8月31日の台風の影響でバス代行が続いており、利用者数の減少もあって復旧することなく廃止となる。

特急「やくも」に用いられる381系(左)と新型車両273系(右)
特急「やくも」に用いられる381系(左)と新型車両273系(右)

4月6日には特急「やくも」に新型車両273系がデビューする。昭和57(1982)年7月1日に導入された381系を順次置き換え、6月末までにすべてを置き換える予定だ。381系には国鉄色やスーパーやくも色、緑やくも色などかつての塗装を復元した編成があるが、これも順次引退する。273系は「WESTエクスプレス銀河」も手掛けた建築家・川西康之氏のデザインで、新振子装置により381系よりも乗り心地の改善を図っている。

スカイレール
スカイレール

4月末には広島市安芸区の新交通システム「スカイレール」が運行を終了する。老朽化した設備の更新に多額の費用がかかることから電気バスへの転換が予定されているが、許認可手続きの遅れにより運行終了時期を当初の計画であった12月末から4か月延期していた。

夏には阪急電鉄が新型車両2000系・2300系を導入する。このうち2300系では阪急初となる座席指定サービスの導入が予定されている。阪急京都線のライバルであるJRの新快速と京阪では既に座席指定サービスを導入しており、阪急の導入によって京阪間3線に指定席車両が揃うことになった。

秋には仙台市営地下鉄南北線の新型車両3000系が営業運転を開始する。令和12(2030)年度までに最大22編成が導入されて1000N系を置き換える予定だ。

立山トンネルトロリーバス
立山トンネルトロリーバス

12月1日には立山黒部観光無軌条電車線(立山トンネルトロリーバス)が廃止となる。国内最後のトロリーバスで、平成8(1996)年4月23日に営業を開始した。関電トンネルトロリーバス同様に電気バスへの転換が予定されており、当線の廃止を以て国内からトロリーバスが消滅する。

小田急8000形
小田急8000形

他に予定される注目すべきニュースとしては西武鉄道のサステナ車両導入が挙げられる。西武鉄道は老朽化した車両の置き換えのために他社から中古車両を導入する計画を発表しており、小田急電鉄から8000形、東急電鉄から9000系を譲り受ける。今年度に営業を開始する第一編成は小田急車で、東急車の導入は来年以降が予定されている。

また、京福電鉄も新型車両「KYOTRAM」を嵐電に一両導入することを発表している。曲線的なフォルムの車両で、令和7(2025)年度から令和10(2028)年度にかけて6両を増備。旧型のモボ101形6両とモボ301形1両を置き換える。

以上、今年予定される鉄道ニュースから注目すべきと筆者が感じたものを挙げてみた。路線の開業など明るいニュースがある一方で、路線廃止などの暗いニュースも目立つ。今年も日本の鉄道から目を離すことができなさそうだ。

鉄道ライター

駅に降りることが好きな「降り鉄」で、全駅訪問目指して全国の駅を巡る日々。

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