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【泉佐野市】なんだこれ?!“謎スポット”巡る『さの町場迷路地マップ』がおもしろい。探検してみると..

旅する日々の記憶と記録。matka08ライター(泉南市・泉佐野市)

南海電鉄「泉佐野」駅から海側に広がる泉佐野市の旧市街地「さの町場」

古き良き時代の日本の風景が今も色濃く残るそのエリアは、2020年に「日本遺産」に認定されるなど、江戸時代にタイムスリップしたような情緒ある町並みが 注目を集めています。

今回は、その「さの町場」の魅力を伝える“おもしろい地図”があると聞き、取材してきましたのでお伝えします。

世代を問わず注目が高まる「さの町場」

みなさんは「さの町場」で近年 資源を活用した取り組みが盛んに行われているのをご存知ですか?

前回取材した築200年の古民家で開催される「まちば日和」(月イチマーケット)もその一つ。まるで、おばあちゃんの家に遊びに来たかのような雰囲気の中で楽しむ「おいしいごはん」と「お買いもの」体験が、毎回大人気で多くの人が訪れています。

「さの町場」で迷子続出?地図誕生のきっかけ

地産地消を味わい、文化と触れ合える歴史的スポットとして、世代を問わず注目が高まる「さの町場」ですが、「迷宮都市」と称されるほど道が細く入り組んだ地域でもあるため、イベントに訪れる多くの人が迷子になるのだとか。

迷宮都市「さの町場」
迷宮都市「さの町場」

それならば、いっそ迷路を楽しむように「さの町場」を散策してもらおう!地図を作って、「さの町場」の昔と未来を未知の人に伝えよう!と立ち上がったのが、株式会社 くらしスタイルふくろや 代表取締役 袋谷 幸宏(ふくろや ゆきひろ)さんら、20名ほどの地元の有志メンバーたち。

(メンバーは)商店や寺社、民泊などを営む傍ら、班分けされたエリアに赴き、観光地図には載っていないお宝スポットや、インスタ映えするフォトジェニックな場所、生活道路で一番狭い道?など、地元住民も知らないであろう“謎スポット”などを取材し、約2年かけて『さの町場迷路地マップ』を完成させたといいます。

写真左から、発案者の袋谷 幸宏さんとメンバーの袋谷 常文さん(泉州特産水なす漬け本舗 マコト商店 店主)
写真左から、発案者の袋谷 幸宏さんとメンバーの袋谷 常文さん(泉州特産水なす漬け本舗 マコト商店 店主)

「手書きだけどかっこいい(映える)ものにしたいと思い、佐野工科高校の卒業生にデザインを考えてもらいました。大きな道や、建物が主役ではなく、迷路のような路地が主役です。観光地図には載っていないお宝を探しだしてみてください」と袋谷さん。

「この地図の注目ポイントはココなんです」と指し示してくださった赤い星のマークは…

地元住民が知らないスポットも

「ちから石」「2階からの洗面台」「隠れ松風庵」?

「漁師町ならではの車止め」「ユニークなおじさんのいるお店」「古き風情とステンドガラスが素敵」「割り箸アート(あさひ亭)」「隠れおたふく」「オシャレな壁アート」「ギリギリ通れる細い路地」

「地元の人も見逃してしまうようなユニークな隠れスポットをご紹介しています」とにんまり微笑む袋谷さん。

なんと、なんと、おもしろすぎます!まるで「珍百景」です 笑。

めちゃめちゃ気になるし、現地へ行って確かめてみたくなります!

もちろん、他にもカフェランチ利用できるお店ほか、寺社リラクゼーションスポットスイーツのお店公園など、地域住民にはありがたい情報も盛りだくさん。

ざっと数えたら*100ヶ所も掲載されていました!

*現在、なくなっているスポットもあります。そこは、ゆるりご愛嬌で。

「さの町場」を探検してみました

“謎スポット”巡りを楽しめるのはもちろんのこと、普段使いにも便利な『さの町場迷路地マップ』。取材日は豪雨だったため、日を改めて晴れの日に探検してみました。

「さの町場」は、南海電鉄「泉佐野」駅(山側)からも、国道(海側)からもアクセスが良く、気軽に行くことができます。

今回は「りんくう北駐車場」(無料)に車を停めて、ぶらぶら歩いてみました。

地図片手に町をウロウロ…。もうこの時点で楽しい。

まず、わたしが気になったのはココ。「おしゃれな壁アート」「ちから石」

早速、道に迷っています。実は、わたし方向音痴なんです。

そんな様子を心配してくれた町の人が、道案内をしてくれました。

「ちから石? あ~、それやったらあっちやで~。あそこに大きな木が見えるやろ?そこに公園があんねん。そこを左に曲がって、ちょっと行ったところにあるわ~」。

こんな風に道案内をされたのは久しぶりです。人の温かさにふれて、なんだかうれしいな。紙の地図を持っていたからこそ生まれた交流だと感じました。

大きな木が植わっている公園が見えてきました。

「本町第一児童公園」の先を左に曲がります。

すこし進んだ先の右手に、ここが日本とは思えないような壁画アートが現れました!

この辺り一帯の雰囲気が素敵です。お醤油を貸し借りしていた頃の住宅の風景が残されていました。

壁画の向かいで駄菓子屋を営む店長にお話を伺うと、店長の知り合いのアフリカ人が描いた「壁画アート」なのだとか。一発目から凄いものを見てしまった高揚感で小躍りしてしまいそうです。異色のコラボ(古き良き時代の日本の風景×アフリカ)が醸し出す雰囲気がとてもユニークで、ここは必見の価値ありだと感じました。

淡い色合いといい、ゆーるいイラストといい、センス抜群の「壁画アート」
淡い色合いといい、ゆーるいイラストといい、センス抜群の「壁画アート」

ここから少し先に進むと右手にドン!と例のアレが現れました。

「ちから石」です! すごっ。 一般の方のご自宅?の軒先にドカンと置いてあります。

江戸時代に廻船業や漁業で栄えた「さの町場」。“海の男たち”が力だめしで使っていたという石が、そのまま残されています。袋谷さんは、とてもじゃないけど持てない、と云っていました。重さは150kg、昔の男たち、凄すぎるやろ…。

次に気になるのが「隠れおたふく」「2階からの洗面台」???

これまた、くねくねと迷いながら目的地へ向かいます。

地図上の曲がり角に目印の記載はなく、難易度はそこそこ高め。でも、そこがおもしろく、仲間や親子で協力し合いながら探すのも楽しいだろうな~と感じます。

どうしてもわからない時や、道に迷った時は、地図の右下についているQRコードを読み取ると「さの町場迷路地マップGoogle Map版」も見ることが出来るのでご安心を。

「まちば日和」の開催場所、「くらふとや」を発見!

次回の「まちば日和」は、7月8日(土)夜市(16時~20時)です♪

すこし早い“夏祭り”を楽しんでみては?

ありゃ~、こっちであっているのかな~と不安になりながらも「隠れおたふく」に逢いたい一心で歩みを進めます。もう、見つけるまでは帰れない ちょっとしたミッションになっています 笑。

お…? もしや…

え…なんかおる。

おおおお、可愛すぎる…!

地面スレスレのところで、心地よさそうに微笑んでいます。

衝撃的な遺物を目の当たりにして、感動すら覚えます。

この場所は1897年に設立された泉陽銀行の跡地で、当時の名残を示す銀行の蔵の石積みに「お多福効亀甲の彫刻」が遺っているのだそう。

この場所で、どれほどの長い期間 繁栄を願って微笑んでいたかと思うと、感慨深いものがあります。

今回ご紹介するスポットは、地域の方が普段暮らしている“生活の場”でもあります。立ち入る際は、近隣住民の方のご迷惑とならぬようご配慮ください。

次に、つばさ通り商店街を通って「2階からの洗面台」を探してみます。

つばさ通り商店街へ向かいます。

地図で見ると、「マル進鮮魚店」を右に曲がった通りにあるはずなんだけど…

ここだ! ありゃ、更地になっています!

実は、つばさ通り商店街で偶然袋谷さんとスタッフの方に出逢い、この場所を一緒に確認したところ、「以前はこんな風でした」と写真を提供してくださいました。

(写真提供 株式会社 くらしスタイルふくろや)
(写真提供 株式会社 くらしスタイルふくろや)

え…。衝撃的な光景です。まさに、2階からの洗面台 笑。

実物を見たかったけれど、おそらく今回ご紹介するスポットは、現代に遺っていることが奇跡のようなお宝ばかりのため、時代と共に取り壊しや撤去が行われていたとしても仕方がありません。

「地図は約2年前に完成したもので、なくなってしまった遺物もあります。新たに発見した“謎スポット”なども追記して、随時更新していく予定です。この地図は、ずっと未完成のままなんです」と袋谷さん。

地域のみんなで情報を寄せ合い、都度更新されていく「さの町場迷路地マップ」も素敵だなと感じます。

そろそろ、お腹もすいてきたので、お昼ごはんがてら「割り箸アート(あさひ亭)」を見に行ってみたいと思います。

地図に載っていない古い建物や、壁に埋め込まれた素敵なタイルなど、「さの町場」を歩いていると、他にも魅力的なスポットがいっぱいありました。レトロ好きにはたまらない散策エリアです。

「割り箸アート(あさひ亭)」
「割り箸アート(あさひ亭)」

「あさひ亭」で冷やし中華をいただいた後、撮影させていただいた「割り箸アート」がこちら。

お客さんが使用した割り箸で作ったという「割り箸アート」。

多くのお客さんに愛されてきたお店であることがうかがえます。割り箸を廃棄せず、再利用した“地球にやさしい”取り組みに感動しました。

まだまだ気になる“謎スポット”はたくさんありますが、ネタバレになってしまうので今回はここまでといたします。

無添加住宅を推奨する工務店を経営している袋谷さん。実際にフランスの古い町並みを訪れ、そのあまりの美しさに感銘を受けたといいます。

フランスの古い町並みを撮影した写真集(袋谷さん作)。写真の町は、“コンク”という 小さな田舎町なのだそう
フランスの古い町並みを撮影した写真集(袋谷さん作)。写真の町は、“コンク”という 小さな田舎町なのだそう

「フランスでは、新しい町と古い町が分断されていて、古い町並みを大切にする文化が根付いています。現地の人々にとっては当たり前の光景が、旅行者の目にはこれほどまでに美しく映るものなのかと感動したことを覚えています。『さの町場』もいつかそんな町になれば…と切に願っています」。

“古いものを大切にしよう”という文化は全世界共通のはずなのに、便利さを追求するあまりに(日本の)古いものが壊されていく現実も見てきた、とも話されます。

「古い住宅は、自然界の中にある素材で作られたものが多く、朽ちにくく丈夫なのが特徴です。3年前の台風をきっかけに、取り壊しが進む現状を少しでも変えていきたい。この『さの町場迷路地マップ』をきっかけに、地域の若い人たちが歴史の素晴らしさに気づいてくれたらうれしい」と袋谷さん。

フランスの写真集を見て、ため息が出るほど美しい町並みに、世界の人たちの目に日本がどう映るのか、わたしたちの町を見てどう感じるのか、改めて深く考えさせられました。日本にも京都や金沢、鎌倉など、”観光地化”している古都は存在しますが、こんな身近な場所に歴史を感じられる素敵な町が存在することを誇りに思います。

「さの町場迷路地マップ」は、「オーガニック複合文化施設村 ふくろYA! BASE」「バリュー・リノベーションズ・さの」「泉佐野市観光協会」で入手できるほか、掲載店舗にも随時置いていく予定とのこと。

早速、若い男性二人組が「さの町場迷路地マップ」片手に、町を探検している様子を発見したそうですよ♪

普段使いに、そして“謎スポット”探検に、観光ガイドマップとしても活躍してくれそうな「さの町場迷路地マップ」。

今後、ますますパワーアップしていく「さの町場」の未来も楽しみですね。

おまけ

「オーガニック複合文化施設村 ふくろYA!BASE」の敷地内にある“インスタポイント”と、なぜここにいらっしゃるのかわからない”謎の石仏さま”(衣装は袋谷さんのお母様作)。

「インスタポイント」
「インスタポイント」

「謎の石仏さま」
「謎の石仏さま」

【基本情報】

「さの町場迷路地マップ」~海側の町を知ろう~
お問い合わせ先 
「オーガニック複合文化施設村 ふくろYA!BASE」(050-3204-2968)
公式HP(外部リンク)
公式インスタグラム(外部リンク)

取材協力 「むてんかスタイルふくろや」代表取締役 袋谷 幸宏様、「泉州特産水なす漬け本舗 マコト商店」店主 袋谷 常文様、「無添加石鹸 オラン・ク・オラン」代表 橋本 健一様
*記事内容は取材当時のものです。
*地図には、一部なくなってしまった遺物やスポットも掲載されています。

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ライター(泉南市・泉佐野市)

なんでもない日々を旅するように暮らす日常写真家。「ローライ35s」という小さなフィルムカメラでささやかな日常を記録しています。私たちの町のちょっとうれしくなるあんなことこんなこと。皆様の日常がもっともっと楽しくなりますように。

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