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【英会話】どっちもいいよって言ったら、外国人が満面の笑みでふざけはじめた。なんで?

英語雑学エッセイスト 徳田孝一郎英語・英会話研修スクール「英語・直観力」代表

 英語嫌いなのに、何の因果か仕事で英文法をマスターして、挙句の果てに英会話スクールで働いちゃったもんだから、私は時折(しばしば?)Native English Speakerから思わぬ反応を引き出しちゃうことがあります。
 【英会話】編は、そんな私のやらかしを多少脚色も加えて一笑していただこうというエッセイです。
 受験英語は知ってるけど、Native English Speakerと急に話さなければならなくなったという方、どうぞ笑ってやって、参考にしてください。

 仕事にはPCが必須の時代ですが、私が勤めていた英会話スクールも当然そうでした。スタッフはもちろんだけど、Native English Speakerの講師たちも受講生からのメールチェックやレッスンで使うプリントの作成、印刷なんかにPCが必要。

 そういうわけでNative English Speaker用に何台かのPCを余らせてあったんですが、ある時、使っていい? って訊かれて、笑われちゃったことがあります。

 彼はアメリカ人の講師でAndrewって言ったんですが、明るいやつでしてねぇ、こういうやり取りでした。

"Hey! Toku san. Can I use a PC?"

 って訊かれたんです。もちろん、そのために用意してあるPCですからいいんですが、その時はたまたまPCが2台空いていた。
 私はいいよ~ってつもりで、

"Both will be fine."

 って答えたんですが、その途端に、Andrewのやつ、満面の笑みを浮かべましてねぇ。

 おもむろに2台のPCのあいだに椅子を持ってきて座ると、右手で右のPCのキィボードを、左手で左のPCのキィボードをカタカタはじめたんです。

 で、嬉しそうに私の方を振り向く。

"More is less."

ですって。「多すぎるのはよくない」って何だ? と思ったんですが、どうしてこうなったか、みなさん気づかれたでしょうか? 

 これは完全に私の英語が間違っている。いや、文法的には合ってるんですが、私の言いたいこと(シニフィエ)をあらわす英語になってないんです。

 あとで、友人のEnglish man のRich が、教えてくれたんですが、私が言うべきだったのは、

"Either will be fine."

だよとのこと。

 なんで? と一瞬思ったんですが、はっと気づく。

 そうなんです、both は100%ってことなんです、だから、どっちをつかってもいい(50%=either)という意味ではなくて、どっちも使え、という意味なっちゃったんです。なんで、これは美味しいところとAndrewがフザケてきた。
 いま思えば、あのAndrewのボケをうまく処理できなかったのが残念です。いまなら、

"I think you have to use both."

って言ってやれるんですが。後の祭りですね。

 と、こんな感じで、このエッセイの【英会話】編ではNative English Speakerたちに伝わらなかった私の失敗英語エピソードをご披露したいと思っております。
 お気に召しましたら是非ともごひいきくださいますようお願い申し上げます。

 GWに海外で買い物をされるみなさんもいらっしゃると思いますが、くれぐれもご注意を。どっちかのジャケットが欲しいと思っていたら、両方買うということにもなりかねませんから。

イラスト 大橋啓子

英語・英会話研修スクール「英語・直観力」代表

英語嫌いだったが、仕事で必要に迫られ日本語を英語にする方法で英文法をマスター。その実績を買われて英会話習得カリキュラムを作成するために英会話スクールに転職し活躍する。この時期に英文法をネタにした小説「英語の国の兵衛門」も上梓。その後Vice-presidentに就任。Native English Speakerのマネージメントを経験し、日本人とは違った価値観や思考法に振り回されるという経験を多々する。現在は独立し、英会話スキルだけではなく、Native English Speakerとうまく交渉できるスキル習得を目指した英語・英会話研修スクール「英語・直観力」を経営している。

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