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【英会話】今度ね って言ったら、外国人が悲しそうな顔。なんで?

英語雑学エッセイスト 徳田孝一郎英語・英会話研修スクール「英語・直観力」代表

 え~、わたくし徳田孝一郎と申します。

 元英会話スクールVice-presidentで、現在は英語をネタにしたエッセイや小説を書いたり、企業向けの英語・英会話研修スクールを経営したりしてるんですが、英語を話せるようになったのは30代中盤でして。

 それまでの私の失敗英語や、今も私の周りで起こっている英語にまつわる失敗談を多少脚色も加えて、笑いながら英語を憶えていただこうというエッセイです。

the をつけるか、つけないかで

 Native English Speakerのなかにも本好きがいまして、神保町に連れて行ったことがあります。
 古書店街として世界的に有名な神保町には西洋古書店もあるんです。私が神保町に詳しいとバレちゃったんで、連中にせがまれましてね。遠足の先生よろしく古書店巡りです。

 神保町は通りにずらっと古書店や書店が並んでいて、みんなで「シェイクスピアだ、ジョイスだ」と興奮して歩いてたんですが、そのなかにボードゲーム好きってやつがいましてね。神保町にあるんですよ、ボードゲームの専門店が。

 で、そこに通りかかった時のこと、

To, Toku-san!
 ってa Welshman のAaronが裏返った声を出してきた。

 どうしたのかな? と思って訊くと。こんな凄いボードゲーム店は見たことがないと言って立ち止まっている。しかも、いかにも入りたそうな風情で。

 でも、残念なことに、打ち上げの呑み屋の予約してあったんです。ここに寄ったら絶対間に合わない。仕方がないから、 今度ね のつもりで、

We'll come back here the next time.

って言ったんですが、そしたらすげえ悲しそう顔になる。
 思わずしょうがねえなぁ、立ち寄るかと思ったんですが、すかさず周りのNative English Speakerが、

We've not set the next schedule yet. Calm down, Aaron!

って言ってきた。あれ? 「まだつぎの予定は決まってないよ、落ち着け」どういうこと? って思ったんですが、Aaronの顔がほっとした顔になる。

 これ、どうしてだかわかります?

 その場で、友人のRich が言ってきたんですが、徳さん、the は要らないよ とのこと。

 ん? なぜだ? と思ったんですが、はっと気づく。

the next time って、たしかに 次の機会 ってことなんですが、これって、次の機会の予定が決まっているときに使う言い方なんです。具体的に確定したものだからthe が必要。
 なので、Aaronには

もう予定している次の遠足の時に、来ようよ。

ぐらいに聞こえてる。

 遠足の先生役の私がそんなこと言うものだから、ボードゲーム好きの彼は「おれ、次回の遠足のこと知らないよ、ハブられたのかな」と思っちゃった。悲しくなるのも当たり前。

 私が言うべきだったのは、もちろんtheを抜いた

We'll come back here next time.

です。
 まぁ、それでもボードゲーム好きの彼が悲しい顔をしたのは変わらないかもしれませんが(笑)ハブられるよりはましでしょうか。

 でも、あのときの周りのまわりのNative English Speakerの反応は速かったなぁ。呑む機会は絶対に逃さない人々=Native English Speakerです。

 と、こんな感じで、Native English Speakerたちとの英語やカルチャーギャップのお話をご披露したいと思っております。
 お気に召しましたら是非ともごひいき(フォロー)くださいますようお願い申し上げます。

 ちょっと今回は、英語のお土産が少ないので、クイズ的なものを。
 レストランの予約をしようとして、いっぱいですと言われたときの返事として、「またにします」って言うと思いますが、その時は、
I'll try again the next time.
I'll try again next time.
どっちでしょう? 答えはイラストの下です。

I'll try again next time.
です。予約する次の機会が決まってるってのはおかしいですから、the をとって不確定に。

イラスト 大橋啓子

英語・英会話研修スクール「英語・直観力」代表

英語嫌いだったが、仕事で必要に迫られ日本語を英語にする方法で英文法をマスター。その実績を買われて英会話習得カリキュラムを作成するために英会話スクールに転職し活躍する。この時期に英文法をネタにした小説「英語の国の兵衛門」も上梓。その後Vice-presidentに就任。Native English Speakerのマネージメントを経験し、日本人とは違った価値観や思考法に振り回されるという経験を多々する。現在は独立し、英会話スキルだけではなく、Native English Speakerとうまく交渉できるスキル習得を目指した英語・英会話研修スクール「英語・直観力」を経営している。

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