Yahoo!ニュース

【ガチ中華でちょい飲み】チェーンっぽくないガチっぷり!町中華とは違ったうまさが魅力!

富江弘幸ライター・編集者

ガチ中華」とはうまいネーミングだなと思う。

簡単に言うと、ガチ中華とは日本風にアレンジしていない中華料理または中華料理店のことを指しているようだ。中華料理が日本に入ってくると、日本人の好みに合わせて少し変化させることがあるが、ガチ中華はそのまんまだ。

例えば、担々麺はもともと中国では路上で売られていた小吃のひとつで、天秤棒を担いで売り歩いていたので「担々麺」と名前がついた。本場四川省でもさすがに天秤棒を担いで売る人はほとんど見なくなったが、店で出される担々麺は小さいお椀に入った汁なしのものだ。日本で見る担々麺の多くは、ラーメンの派生のようにも捉えられていて、それはさすがにガチ中華とは言えない。

また、日本では定食屋的な扱いの中華料理屋があり、その地域に馴染んだ店は「町中華」と呼ばれるようになった。町中華を取り上げるメディアも増え、町中華でちょい飲みする魅力も浸透してきているように思う。

そして、その町中華の対極にあるのが、ガチ中華だ。

しかし、ガチ中華ではどんな料理が出てくるのかわからないとか、中国人ばかりで日本語が通じるか不安とか、そういった不安があると思うので、今回はチェーン店のガチ中華を紹介したい。

「ガチなのにチェーン?」

と思うかもしれないが、ガチ中華なのにチェーンだし、しっかりおいしくて安い店なのだ。そのチェーンは「刀削麺・火鍋・西安料理 XI’AN」。

自ら名乗るガチ中華。「刀削麺・火鍋・西安料理 XI’AN」のシーアンセットでちょい飲み

「刀削麺・火鍋・西安料理 XI’AN」は、自らガチ中華を名乗っている。公式サイトに「東京、新宿、新橋、有楽町、五反田、大宮のガチ中華・中国西安料理『XI'AN シーアン』」と書かれているほど。

店に行ってみるとわかるが、料理を作っている人はほとんどが中国人だ。ホールの店員さんは日本人っぽいが、厨房からは中国語が聞こえてくる。中国人だがらガチ中華というわけでもないが、声の勢いが中国現地にいるかのよう。

その「刀削麺・火鍋・西安料理 XI’AN」でちょい飲みするときに迷わず選びたいのが、「シーアンセット」だ。

ミニ前菜、点心、料理or刀削麺(小)、ドリンクで1,480円(税別)。ミニ前菜は9種類、点心は4種類、料理or刀削麺(小)は22種類からそれぞれひとつを選べる。ドリンクはビールも選べてこの値段。料理にもよるが、普通に注文したら2,000円は超えるのでは。

ガチ中華にはサッポロビールが似合う

今回注文したのは、まずビール。

サッポロ生ビール黒ラベル」のジョッキだ(内側の気泡が気になるがそれは目をつぶる)。完全に個人的な感覚だが、ガチ中華にはサッポロビールが似合う。町中華にはキリンラガーかアサヒスーパードライかなという感覚。

町中華では絶対出てこない味わいの前菜

そしてすぐ前菜が出てくる。このときは「豚ガツの冷菜

見た目でもうガチ中華だと思わせる。町中華ではほぼこういった前菜は見ない。ピータンとかザーサイとかはよく見かけるが、豚ガツでピリ辛で香菜がのっている前菜はまず出てこない。

うまく言えないが、中華ならではのスパイス(五香粉とか八角とか、しらんけど)がきいていて、ガチ感がすごい上にめちゃくちゃうまい。

これ以上にうまいシューマイを見つけるのが難しいくらいの黒豚シューマイ

続いては点心。この店の人気メニューと思われる「黒豚シューマイ」。

通常メニューだと4個だと思われるが、シーアンセットだと2個。しかし、このシューマイの肉の旨味がすごいことすごいこと。そして、こちらも中華風スパイスが隠し味的にきいていて、町中華で出てくるシューマイとは違った魅力が感じられる。

このレベルの高い味わいとコスパを考えたら、これ以上のシューマイを見つけ出すのは難しいのでは…というレベル。

食感も楽しい牛肉のカキ油炒め

続いてはメインといった感じの、料理or刀削麺(小)から選んだ「牛肉のカキ油炒め」。

名前は「牛肉のカキ油炒め」だが、牛肉のほかにもパプリカ、きくらげ、アスパラ、エリンギなどが入っていて、食感が楽しい。特にアスパラはしっかり火がとおっているのにシャキッとした食感でみずみずしい。きれいに油をまとった感じも美しくて、どんどんビールも進んでしまう。

追加注文でチャーハンも

と、こんな感じで十分満足できるシーアンセットだが、ここまでうまかったら最後にシメも頼んでしまおうとチャーハンを追加。

これも町中華のチャーハンとは違ったうまさ。

東京・池袋や埼玉・西川口あたりには、ガチ中華の店が山ほどあるが、もう少しライトにガチ中華を味わいたい…という人にはぴったりの店。チェーン店らしい統一感はありつつも、出てくる料理はガチなところが素晴らしい。このコスパもあって、何度も通ってしまう店のひとつだったりする。

ごちそうさまでした。

ライター・編集者

ライター・編集者。1975年東京生まれ。法政大学社会学部社会学科卒業。卒業後は出版社・編集プロダクションでライター・編集者として雑誌・書籍の制作に携わる。その後、中国留学を経て、英字新聞社ジャパンタイムズに勤務。現在はウェブ、紙を問わずさまざまな媒体で記事を執筆している。日本ビアジャーナリスト協会のビアジャーナリストアカデミー講師も務める。著書に『教養としてのビール』(SBクリエイティブ、サイエンス・アイ新書)など。

富江弘幸の最近の記事