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バターチキンカレーの発祥はタンドリーチキン発祥の店?北インドカレーの特徴も紹介!

富江弘幸ライター・編集者

休日の昼はバターチキンカレーが食べたくなる。

ただ、これといった理由は特にないし、次の休日の昼はラーメンが食べたくなるかもしれないし、異論は認める。とにかく、今日はバターチキンカレーが食べたかったのだ。たまたまセブン-イレブンに入って、セブンプレミアムの「バターチキンカレー」が目に入ったからというのもある。

バターチキンカレーの発祥は?

バターチキンカレーの発祥は、インド・デリーにある1947年創業のモティ・マハル(Moti Mahal)という店。バターチキンカレーは、ヒンディー語でムルグ・マッカーニといい、鶏(ムルグ)とバター(マッカーニ)でまさにそのまんまの名前だ。

実は、このモティ・マハルは、タンドリーチキンの有名店でもあるらしい。タンドリーチキンとは、ヨーグルトや香辛料などに漬け込んだ鶏肉を串に刺し、タンドールという窯で焼いた料理のこと。タンドールで作るチキンなのでタンドリーチキンという(文法的になぜタンドリーになるかは知らない)。タンドリーチキンはパンジャブ地方の料理らしいが、デリーで提供を始めた最初の店がモティ・マハルだという話も。

そして、このタンドリーチキンをカレーで煮込んで提供したのがムルグ・マッカーニ、バターチキンカレーなんだそうだ。トマト、生クリーム、カシューナッツなどを使ったカレーで、トマトの酸味とバターの風味が合わさったまろやかな味わいが特徴。普通は鶏肉を炒めて煮込んで作るところを、タンドリーチキンを使っているところが普通のチキンカレーとは違うといえるだろう。

北インドカレーの特徴

ここで北インドカレーの特徴について書いておこう。パンジャブ地方はパキスタンとまたがったインド北部の地域で、デリーもインド北部にある。

北インドカレーの特徴は、まろやかで濃厚な味わい。乳製品が豊富らしく、カレーにも乳製品を使ったものが多い。バターチキンカレーも牛乳、生クリームを使っているので、北インドの食文化がよく表れたカレーなのではないだろうか。また、タンドールでナンを焼いて食べる文化もある。個人的には、ナンと一緒に食べて最もおいしいカレーはバターチキンカレーなのではないかと思っている。

南インドカレーはスープカレーのようなさらりとした液状で、香辛料のフレーバーが強い傾向にある。北インドはナンで、南インドは米文化でもあり、その違いもカレーに影響しているのかなと思ったりもする。さらっとしたカレーにナンは合わないような…。

日本人にも馴染みやすいバターチキンカレー

そんなわけで、北インドカレーは日本人に馴染みやすいのではないかと思っている。昔から食べている日本的なカレーのまろやかさに、北インドカレーは近いような気がするのだ。

本場に行ったことはないが、モティ・マハルのバターチキンカレーは、日本で食べるバターチキンカレーとはちょっと違うという。現地料理が日本に合わせて仕様が変わるということはよく聞く話だ。本場のバターチキンカレーは、日本の一般的なバターチキンカレーよりもトマトの酸味が強いのが特徴らしい。

本場の味わいはわからないが、日本で食べられるバターチキンカレーは本当にうまい。自分はカレー自体が大好きなのだが、その中でもバターチキンカレーはトップ3に入る。カレー的なものが食べたいけど、辛さは控えたいというときが意外とあるので、そんなときにはバターチキンカレーを選ぶ。子供の頃にはバターチキンカレーなんて一般的ではなかったと思うが、日本に入ってきてくれたのは本当にありがたい。

と思いながら、セブンプレミアムの「バターチキンカレー」の原材料名を見てみると、「直火焼き鶏肉」と書かれている。タンドリーチキンから作っているのかはわからないが、由来を知ると、素材や調理法の行間を読むことができておもしろい。バターチキンカレーの作り方もしらなかったのかと言われると何も言えないが、ただ食べるだけでなくいろいろと調べてみると新しい発見があって楽しいものだ。

そんなわけで、手軽においしいバターチキンカレーがいただけるレトルトカレーは素晴らしいなと思う休日の昼なのである。

213円(税込)やで。ありがたや。

ライター・編集者

ライター・編集者。1975年東京生まれ。法政大学社会学部社会学科卒業。卒業後は出版社・編集プロダクションでライター・編集者として雑誌・書籍の制作に携わる。その後、中国留学を経て、英字新聞社ジャパンタイムズに勤務。現在はウェブ、紙を問わずさまざまな媒体で記事を執筆している。日本ビアジャーナリスト協会のビアジャーナリストアカデミー講師も務める。著書に『教養としてのビール』(SBクリエイティブ、サイエンス・アイ新書)など。

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