繊細さんはHSPが原因なの?心理学者が解説する「HSPだから仕方ない」で陥る罠とその脱出法
みなさんこんにちは。仕事に役立つ心理学の赤田です。
普段は大学で教員をしながら、学校や企業でのカウンセリングを行っています。You Tubeやインスタグラムでこころの健康について情報を発信しています。よろしければフォローをよろしくお願いします。
私がカウンセリングをしていると、相談者の人から「私はHSPと思うのですが、先生はどう思いますか?」と聞かれることが多くなりました。この言葉は、悩んでいる人にとって救世主のような存在なんだろうなぁと思うのですが、私はこの現象に対して気になることがあります。
そこで今回の記事では、HSPの人がなぜ「私はHSPです!」と思いたいのかという理由と、そう思うことで気をつけれなければならない注意点について解説したいと思います。
私はHSPです、と思いたい理由
まず、自分自身をHSPと思いたい理由をお話すると、人は、結果に対して何かしらの原因がないと落ち着くことができないからです。心の悩みを持つ人の多くは、自分がなにかしらの病気と診断されることによって、それだけで安心します。
敏感で対人関係で苦しんでいる人にとって、自分が「HSP」である自覚できると、原因を突き止めた気持ちになって、それだけで安心できるのです。
また、HSPについての解説された記事や資料を読むと、当てはまることが多く、共感されたような感覚になります。また、具体的な解決法にたくさん出会う事ができます。これで、救われる気持ちになるわけです。
HSPの人かおちいる落とし穴とは
世の中には溢れんばかりのHSPの記事があり、HSP専門のカウンセラーがいたりと、こころの悩みを解決できそうな感覚になるのですが、実際にはうまく行かないと感じている人が多いのではないでしょうか。
これは、HSPが原因を説明しているのではなく、現象(症状)を説明しているからなのです。こころの病に共通して言えることなのですが、一般的な身体疾患は、病名を原因から表現するのですが、こころの病は、現象(症状)を表現しているに過ぎないからです。
例えば、うつ病一つをとっても、うつ状態であることしか説明していません。うつ状態が原因ではなく、あくまで結果なのです。うつ状態を解消するためにうつ状態を原因にすると、解消できるどころか、更にうつを深めてしまうのです。HSPにも同じことが言えるのです。
HSPの原因を特定するためには高度な専門性が必要
私たち臨床心理士や公認心理師は、これらの原因を特定するために、生育歴や現病歴、人間関係の聞き取りや観察、そして心理テストなどを用いて、その人の全人的な理解(いろいろな側面)から原因を探ります。
主な原因としては、発達障がいなどの発達特性からくるもの、あるいは人間関係や親子関係の問題からくる情緒的なもの、また、日常の出来事や仕事などのストレスからくるもの、衝撃的な出来事を体験したなどのトラウマからくるものなど、多岐にわたります。
これらの原因を見たときに、かんたんに解消することが難しいことがおわかりいただけるのではないかと思います。そういう意味で、HSP専門のカウンセラーと標ぼうしている人がこれら全てに対応できるとは、とてもではないですが思えないのが実際のところです。
HSPという自己診断に依存しないことが大切
他のこころの病でもいえることですが、診断名に依存すると、問題の解決を遅らせると言われています。その理由は、診断名に対して納得してしまい、原因を病気のせいにしてしまうからです。
精神科や心療内科などの病院に行っても、診断名をはっきりと教えてくれない理由はここにあります。
こころの悩みを解決するためには、自分の努力が不可欠です。自分のせいにするまで意識する必要はないですが、病気のせいにしてしまうと、自分で解决する努力をしなくなってしまいます。
悩みを解決したい人は、原因を突き止める事ができる臨床心理士や公認心理師の資格を持つ経験豊富なカウンセラーに相談するようにしてください。それが遠回りのようで解決を早めることになると思います。
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