Yahoo!ニュース

疲れが取れにくい人が積極的休養に取り組んだら回復が早まった【スポーツ心理学者が教える急速充電】

赤田太郎の仕事に役立つ心理学常葉大学(静岡県)准教授 博士(教育学)公認心理師臨床心理士

みなさんこんにちは。仕事に役立つ心理学の赤田太郎です。

普段は大学教員として心理学の教育や研究を行い、また学校や企業でのカウンセリングなどの実践から、You Tubeインスタでこころの健康の大切さをSNSで発信しています。よろしければフォローをお願いします。

毎日いろいろすることがあって、疲れが取れない…。もっと身体を早くできないだろうか…。このような状態に陥っていて苦しい思いをしている人は多いと思います。

今回の記事では、疲れが取れない人がその回復を早める方法をスポーツ心理学の視点からお伝えしたいと思います。

人間の回復とは

長時間の労働や運動をすると、人間の身体は疲労します。その疲労を回復するためには、しっかりと休養を取らなければならないのは皆さんご存知だと思います。

人間が疲労すると、血中に乳酸が溜まり、これを代謝する(別のかたちに消化する)ことで、疲労回復することになります。ただ、専門家の間では、ごろごろ寝ているだけでは十分に回復できないという現象があることが知られています。

だからこそ、なかなか回復できないのです。それでは、どうすれば回復が早まるのかお話したいと思います。

軽運動が疲労を早く回復させる

FOX(1979)によると、回復の際に安静にしたときと軽い運動をしたときの乳酸の代謝の変化の違いを比較した研究があります。こちらの研究の結果をご覧ください。

積極的回復の効果(Fox,1979)
積極的回復の効果(Fox,1979)

回復のための時間を横軸に、血中の乳酸代謝量を縦軸にした図を見ていただくと、ゆるやかな運動を行った場合(グラフの点線)の回復が早まっている(早く100%に至っている)のがお分かりいただけると思います。

安静の場合(グラフの実線)、100%に至るまで160分(2時間40分)かかっているのですが、緩やかな運動では、60分(1時間)ほどでほぼ100%まで回復しています。

スマホの普通充電と急速充電の差ぐらいあるのがお分かりいただけると思います。

軽運動が回復を早める理由

最新の研究では、軽運動が身体の回復を早める理由として、回復のエネルギーに乳酸が使われているのではないかとされているのです。ゆるやかな運動は血液の循環を促し、スムーズな代謝を促すのです。

緩やかな運動とは

それでは、私がおすすめできる、ゆるやかな運動をご紹介しましょう。

ストレッチや体操

頭の先から首、首から肩、肩から腕、もどって肩から背中、背中から腰、腰からひざ、ひざから足首にへ、と頭から足の爪先まで筋肉を伸ばす運動をしましょう。そうすることで、それぞれの筋肉に溜まっている乳酸の循環が良くなります。

散歩やジョギング

カバンや荷物を持たずに全身をいっぱい使った散歩を行いましょう。具体的には、腕をしっかり振り、腰を前後方向に回転させて、足は高めに上げてしっかりと歩きます。これが全身運動になり、緩やかな運動になります。

筋トレやヨガ

軽い負荷をかけて筋トレしましょう。例えば腕立てでもひざをついた状態や、むしろ壁に向かって腕立てをしたり、なるべく負担のかからない軽い運動で、なるべく続けることを重視します。

回復のポイント

これらの運動を行うときに、意思決定バランスを意識するようにします。筋トレをする肉体的負担と、運動で得られる恩恵である回復のバランスを、なるべく回復できる方に重みを置くようにします。

どうしても負担のほうが大きくなる傾向があるため、無理のない運動を軽く続けることが大切です。これを緩やかな運動と呼んでいるのです。

このように、緩やかな運動を意識することで回復が早まるので、疲れがなかなか取れない人や時間のかかっている人は、ぜひ取り入れてみてください。

記事を最後までお読みいただきありがとうございました。

赤田太郎の仕事に役立つ心理学では、社会のおける心理学的な解説そして仕事に役立つ心理学をお届けします。

よろしければ フォローをよろしくお願いします。 また次の記事でお会いしましょう!

常葉大学(静岡県)准教授 博士(教育学)公認心理師臨床心理士

常葉大学(浜松)健康プロデュース学部心身マネジメント学科/常葉大学大学院健康科学研究科臨床心理学専攻 准教授。立命館大学/武庫川女子大学・大学院非常勤講師。働く人と家庭のメンタルヘルス・ストレス・トラウマが専門。働くみなさんにこころの健康の大切さを伝えるために、誰でもわかりやすい心理学をYouTube・Instagramで発信しています。

赤田太郎の仕事に役立つ心理学の最近の記事