こんなの初めて!萌え断な天ぷらは、友達に自慢したくなる美味しさと感動がありました【神戸市長田区】
私にとって天ぷらは、会席料理のコースの一品か、天丼のイメージでした。今回初めて、ほぼ天ぷらのみで構成されたコース料理を食べて、天ぷらのイメージがひっくり返りました。美味しいことはもちろん、楽しく食べられた天ぷらの魅力をお伝えしたいと思います。
天ぷら新太郎
全席同時にコース料理がスタートします。揚げ方や素材へのこだわりなどの話や、目の前で揚げられていく様子が面白く、釘づけになってしまいました。
おしながき
料理内容はお任せで(アレルギーや苦手なものは事前に伝えられます)今回のメニューはこんな感じでした。
- 太刀魚と青じそ
- 島オクラ
- 車エビ
- 車エビ頭
- 水茄子
- 稚鮎
- 縞鯵 宇和島産
- 鮑
- 紀州南高梅干し(箸休め)
- 鱧 徳島県産
- トウモロコシ
- メゴチ
- 石川小芋 和歌山産
- 赤茄子 肥後むらさき
- サツマイモ 熊本産シルクスイート
- かき揚げ丼としじみの赤出汁(〆)
素材の味を楽しむ
新太郎の天ぷらは、とても衣が薄く、良い意味で天ぷらを食べている気がしません。そこには素揚げでは出せない美味しさがあって、水分やうま味を衣が上手くキャッチして閉じ込め、凝縮された素材の味を楽しむことができるという仕組みです。
カットされた茄子から立ち上る湯気は、茄子にしっかり水分が残っているからこそ見えるものだそうです。また同じ茄子でも、赤茄子は口の中で消えてしまうような食感で、水茄子との食べ比べを楽しむことができました。
美味しさの秘密は油と衣
食材だけではなく、油そのものにもこだわりがあります。2種類の胡麻油による独自配合の透き通った油は、揚げる時に泡と衣が花火のように散らばっていき、とても美しかったです。約3時間コースの途中で、油を総入れ替えする贅沢な使い方が、味も見た目も美味しく保つ秘訣のひとつのように思えました。
この日見せてもらった揚げ方は、全国の天ぷら専門店の中でもそれほど多くないそうです。衣のタネはとても手間のかかる作り方で、低温で揚げることの多い絶妙な温度加減は、日々研究と実践を重ねられています。出来上がった天ぷらの衣は、薄い網目状になり、まるで絽生地の羽織のようで気品があります。
甘味を極めたサツマイモ
サツマイモを揚げ始めたので「次はサツマイモかな」と思ったら「2時間かけて揚げるので最後にお出しします」とのことでした。でんぷんが糖に変化する温度帯を保って熱を与えれば、どんどん甘くなるのだそうです。何度も揚げては取り出し、を繰り返して硬くならないようにします。確か、12回繰り返していたような…。最後に温度を上げ、キャラメリゼするように仕上げます。焼き芋かスイートポテトのような甘さでした。
揚げる様子も楽しめる
料理の楽しみは、味わうだけではありません。揚げる所作ひとつとっても美しく、自然と目が向きます。また、稚鮎は調理前の元気に泳ぐ姿を見せてもらい、それをそのまま衣のタネにくぐらせて油に放ち、油の中で動く様子を見せてもらえるため、宴会途中の余興のようで楽しかったです。
魚介類の美味しさ
野菜も美味しかったですが、私は魚介類の美味しさが印象的でした。「おとなのかっぱえびせん」とも呼ばれる車エビのお頭。真ん中が程よくレアな脂ののった縞鯵は、レア部分も冷たくなく、刺身やタタキとも違う味わいで「今まで魚の美味しさを知らなかったのか」と思える程でした。鮑は、こんなにも肉厚なものを口にしたのは初めて。ぷりぷりのメゴチは「魚が苦手な人にも食べてもらえるのでは」と思える程に癖がありませんでした。箸休めに出た大きな梅干しと共に食べる鱧は、贅沢な気分にさせてくれました。
天ぷら職人 新太郎
以前は焼き鳥店の店長として勤務していたという、原新太郎さん。独立を考えていた時に、名古屋の「天風良にい留」の味に出会いました。天ぷらの魅力に惹かれ、天ぷらの面白さを知り、様々なお店を食べ歩き、自分の天ぷらを作り上げる研究をしながらSNSに動画を掲載し、天ぷらに関する発信も始めました。
そして今年6月。まずはシェアレストランという形で「創作バル りゅうせい」の店休日である日曜日の夜を借りて「天ぷら新太郎」をオープンしました。「天ぷらの概念を覆し、天ぷらの美味しさと感動を伝えたい」と、若い人にも足を運んでもらいやすい手ごろな価格帯で天ぷらづくしのお任せコースを提供しています。
コース料金は1人9,000円~ですが、内容や時期によって金額が違い、この日は9,200円(税込・別途ドリンク代)でした。シェアレストランだからこそ出来る料金かもしれません。
食べる前は「天ぷらだけでお腹いっぱいになるのかな」「天ぷらばかりで胸やけしないかな」そんな心配をしていましたが、それは杞憂に終わりました。「もう食べられません」という程に満腹になり、もちろん胸やけもなく「また食べに来たい」と思えました。
これからの季節は、マツタケ、クリ、きのこ類が美味しくなるそうですよ。既にリピーターもいるようで、9月10月の残席は数席。11月も徐々に埋まりつつあるようです。「おひとりさま」でも食べられるコース料理なので、気になった方はぜひ早めに問い合わせてみてくださいね。