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上村松園・松篁 母子が描く「美人画と花鳥画の世界」@山種美術館【東京都渋谷区】

Luna Subitowriter editor(東京都渋谷区)

山種美術館で開催中の開館55周年記念展「上村松園・松篁 ―美人画と花鳥画の世界―」。4/17が最終日なので、どうぞお見逃しなく。今展は 日本画家の上村松園(1875-1949)と、その長男 上村松篁(1902-2001)に焦点を当てた特別展。

会場の第一章エリアには、上村松園の珠玉の美人画がずらり。描かれた美女たちは、さながら当時のファッションリーダー。ヘアメイクも衣装も パーフェクトなスタイリング。

ちょうちょをふっと眺めていたり、蛍をぽーっと見つめていたり、牡丹雪を伏し目で見降ろしていたり――松園の美人画の魅力は、美女たちのはなやかなルックスだけにあらず、その媚のないたおやかな仕草や眼差しにあるのではないかと。

上村松園「春風」1940年
上村松園「春風」1940年

上村松園自身もこう語っています。
私は大(たい)てい女性の画ばかり描いている。しかし、女性は美しければよい、という気持ちで描いたことは一度もない。一点の卑俗なところもなく、清澄な感じのする香り高い珠玉のような絵こそ私の念願とするところのものである

上村松園「牡丹雪」1942年
上村松園「牡丹雪」1942年

第2章は、上村松園の息子・上村松篁の華麗なる花鳥画の世界。四季折々の花鳥の一瞬の美を捉えた画に、自然への深い敬愛の情を感じます。

上村松篁「日本の花・日本の鳥」(1970年)
上村松篁「日本の花・日本の鳥」(1970年)

上村松篁がインドに渡航した際に出逢った白孔雀を描いた幻想的な「白孔雀」(1973年)について、息子の画家・上村淳之は「仏の使いとして描いたのではないか」と語っています。

右:上村松篁「白孔雀」(1973年)
右:上村松篁「白孔雀」(1973年)

上村松篁の息子 上村淳之の屏風画「白い雁」も展示されていました。上村松園・松篁・淳之の母子三代の画家の傑作が一堂に会するのも今展の魅力です。

上村淳之「白い雁」1973年
上村淳之「白い雁」1973年

山種美術館入口にある「Café 椿」では、上村松園・松篁「美人画と花鳥画の世界」をイメージした上品な特製和菓子もいただけます。

ミュージアムショップでは、今展をはじめ、山種美術館所蔵の日本画の名作をモチーフにしたオリジナルのミュージアムグッズを販売。速水御舟の猫をあしらった付箋や懐紙や、歌川国芳のキーホルダーなどなど アート好きの心をくすぐるアイテムはお土産にもおすすめです。

「アートは好きだけど、日本画はあまりよく知らない…」という方も、今展は文句なしに愉しめますよ。山種美術館の企画展は毎回見ごたえ十分なので、ぜひお見逃しなく!

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―美人画と花鳥画の世界―【開館55周年記念特別展】
上村松園・松篁 ―美人画と花鳥画の世界―
会場:山種美術館
会期:2022年2月5日(土)~4月17日(日)
入館料:一般1300円、中学生以下無料 (付添者の同伴が必要)
[春の学割]大学生・高校生500円※本展に限り入館料通常1000円が半額に。
障がい者手帳、被爆者健康手帳をご提示の方、およびその介助者(1名)1100円
※きもの特典:きものでご来館された方は 一般200円引きに。
※複数の割引・特典の併用はできません。
※入館日時のオンライン予約ができます
主催:山種美術館、日本経済新聞社

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writer editor(東京都渋谷区)

奥渋在住20余年。旅、アート、インテリア、ウエルネス、映画、猫など多様なメディアに携わる文筆家。

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