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CX-60と暮らす|元CX-5オーナーが感じた納車1か月のファーストインプレッション

三浦雄介ライフスタイルブロガー

CX-60が納車されて1か月とちょっとが経過しました。走行距離は900km程度とまだまだ短いのだけれど、少しずつこの車の素性がわかってきたので、ファーストインプレッションをやっていきましょう。

前提としては、僕は自動車評論家ではないし、いろんな車に乗ったことのある人間でもありません。ただの「CX-60オーナー」であり「車好き」のひとりで、あくまでもユーザー側にいる人間です。なので、この記事に書いた内容は、1人のユーザーの勝手な感想だと思っていただければ幸いです。

購入したグレード

僕が購入したのは、Mazda CX-60「XD-HYBRID Premium Modern」というグレード。Mazdaの車はパワートレインとランクでグレード分けされますが、3.3L直列6気筒ディーゼルエンジンとモーターを組み合わせたマイルドハイブリッドを搭載した「XD-HYBRID」というモデルのうち、一番豪華な「Premium Modern」というグレードです。

オプションや諸費用込みの乗り出し価格は600万円を超える勢いで、僕がこれまで買った車のなかで最高額を更新してしまいました。それでも、比較対象となるLexus NX、BMW X3、Mercedes-Benz GLCなどと比較すると、200〜300万円ほど安いバーゲンプライスです。

いい点と気になる点を列挙

今回のファーストインプレッションは、1か月乗って感じた「いい点」と「気になる点」を列挙する形でお伝えします。つらつらと感想を書くよりもピンポイントで指摘した方がわかりやすいと思います。目次も付けておくので、気になるところから読んでみてもOKです。

評価の条件としては、現在の走行距離900km程度。内訳は街乗り:高速=7:3くらいかな。高速は首都高が中心だけど、1回だけ横浜成田山往復のロングドライブをやりました。

また、CX-60の前には、Mazda CX-5(2020年式、2019年12月発売モデル)に2年8か月ほど乗っていました。「XD Exclusive Mode」というグレードで、2.2L直列4気筒ディーゼルエンジンのモデルでした。

この記事では、元CX-5オーナーとしての視点も持ちつつ、CX-60のファーストインプレッションを書き記しておきます。

*関連リンク
CX-5の記事一覧(ブログ記事)

いい点は9つ

まずは、1か月乗ってみていい点からお伝えします。列挙するとこんな感じで、上から順番に詳細を記載します。

  • 高速域での安定感
  • MRCC/LASが明らかに進化
  • 加速すごい
  • 内装の高級感
  • パノラマルーフの開放感
  • 燃費も意外といい
  • 見た目がいかついからか、全然煽られない
  • ステアリングが滑らか
  • 半ドアになりにくい

高速域での安定感

まず特筆すべきは、高速域での安定感です。自動車評論家の方々の動画でも概ね同じような意見だったように思うけれど、ユーザーとしても同感。直前に乗っていたCX-5ですら、雲の上を進むようにすぅーっと進んでいたのに、それ以上の滑らかさです。

スピードを上げても全く不安定にならないし、むしろ100km/hを超えた方が安定するんじゃないかってくらい。後述する加速力と相まって、高速道路でも意のままに車を操ることができます。

MRCC/LASが明らかに進化

MRCC(Mazda Radar Cruise Control)とは、全車速対応のアダプティプクルーズコントロールで、前走車がいない場合は設定速度で走行、前走車がいる場合は車間を保って走行できるように、自動的にアクセルやブレーキを調整する機能です。

一方、LAS(Lane-keep Assist System)とは、車に搭載されてカメラで道路上の白線を読み取り、車線内をキープするようにステアリングを自動(補助)操作するシステム。大抵は高速道路などでMRCCと同時に使い、車速調整も車線維持も車に補助してもらえるようにできています。

そして、CX-60はLASが大きく進化しています(MRCCの精度はあまり変わらない)。僕が乗っていた2020年式のCX-5は動作精度が甘く、LAS作動中にカーブに差し掛かってもなかなかステアリングを切ってくれませんでした。しかし、CX-60はカーブの始まりからじわじわと切り始めてくれます。

つまり、CX-5はドライバーが常にステアリングを監視して修正が必要だったのに対し、CX-60は監視はするものの大して修正は必要ありません。いちいち修正するのが地味に疲れる原因だったので、それがなくなるのは長距離ドライブの疲労がぐっと減りますね。

加速すごい

ハイブリッドなしのディーゼルモデルに乗ったことがないから、電動ドライブの利点が出ているのかどうかは分からないけれども、アクセルを踏み込んだときに得られる加速はすごいです。CX-5のときも感動していましたが、CX-60はその遙か上を越えていきました。

ただし、ここまでの加速が必要な場面があるかと問われると、その機会は少ないかもしれません。でも、高速道路の追い越しでは、CX-5で思っていた「この状況で後続車に迷惑をかけずに十分加速できるかな?」と不安になる場面はなくなりました。CX-60だと「この車なら大丈夫っしょ」と思って加速しています。実際そうだしね。

内装の高級感

僕が購入したPremium Modernというグレードは、CX-60の中でも最も高級感のある内装が施されています。本体価格が約550万円なのに、この高級感は反則でしょう。700万〜800万円の車にも十分勝っていると思います。

ダッシュボードには、日本の伝統美を思わせるようなファブリック素材が使われており、非常に繊細な「かけ縫い」という技法で2枚のファブリックがつながっています。

また、白いナッパレザーが使われているシートには、織物を思わせるような素材の黒いラインが入っており、シート全体が引き締まった印象になります。その黒いラインにはきらきらと光る加工が施されていて、第一印象では「ここまでやっちゃうか…!」という感想を抱きました。

パノラマルーフの開放感

Premium Modernをはじめとした一部のグレードには標準で「パノラマルーフ」が装備されます。後席までかかるほどの広大なサンルーフで、その開放感は本当にすごいです。一度味わったら戻れない気がする。

また、白い内装と相まって、車内がとても明るくなります。明るく感じるのではなく、本当に明るいんですよ。だからといって、不思議と日差しが熱いわけではないし、優しく照らしてくれる光が空から降り注いでるような感覚。

そして、前席のシートがフラット近くまで倒れるから、夜にドライブして車の中から星を観察するのもいいかもしれません。これは絶対今度やります。

燃費も意外といい

そして気になる燃費ですが、街乗りで17km/Lくらい、高速で20km/L以上はいきます。3.3Lディーゼル+モーターの加速感を得ながら、2トン近くの車を動かして、このような軽自動車並みの燃費を得られると。しかも燃料は軽油だから、満タンにしても精神的なダメージは小さく済みます。

とはいえ、車両本体価格が高いから経済的なメリットは少ないかもしれません。しかし、燃費がいいということはその分の給油回数を減らすことができるというわけで、ガソリンスタンドに行く手間が少なくなって時間の節約にもなるのです。

見た目がいかついからか、全然煽られない

キューブ → CX-5 → CX-60と乗り換えてきた実感として、大きい車に乗っていると全然煽られなくなります。片側1車線の道を速度控えめで運転していても、CX-60なら全然煽られないんです。キューブだったらそうはいかなかったはず。

また、肌感覚では、CX-5よりもCX-60の方が煽られる頻度が減ったように思います。煽られ運転をしているわけでなく、周囲の交通の流れに乗っていても、無意味に煽ってくる人たまにいるんですよ。そういう人に遭遇しなくなりました。大きい&いかつい車の恩恵だなあと思っています。

ステアリングが滑らか

2020年式のCX-5から乗り換えて感じることですが、CX-60はステアリングがかなり滑らかになりました。

CX-5は重めのセッティングで、(もちろんパワステではあるものの)タイヤと直結している感じがしていました。よくも悪くも高級感は少なかったです。

けれども、CX-60は高級車らしく非常に滑らかなフィーリング。それでいて、直進時の安定性は特筆すべきものがあるくらい、方向はばっちり決まります。

半ドアになりにくい

「半ドアになりにくい」のも、CX-5からの乗り換えで感じたことです。CX-5は、一見ちゃんと閉まったように見せかけて半ドアだったことがよくあったので、かなりの力で叩きつけるようにしてドアを閉めるようにしていました。

でも、CX-60はそこまでの力は必要なく、CX-5では半ドアになっていたような微妙な力加減でもちゃんと閉まってくれるのです。もしかすると、他メーカーと比較するとすごく低レベルな話をしているかもしれませんが、元CX-5オーナーからするとこれは画期的なことです。

気になる点は5つ

いい点9つに対して、気になる点は5つ挙げました。こちらも1つずつ述べていきます。いずれも温度感としては、「受け入れがたいほど気になる」のではなく、「気になるけど受け入れられる」という感じ。

  • サイズが大きい
  • 速度調整がやりづらい
  • 減速からの停車が難しい
  • 変速ショックが大きい
  • 後ろのセンサーがバグってた?

サイズが大きい

購入時から分かっていたことですが、やっぱりサイズが大きいです。さすがに扱いに困る場面が多く存在します。僕が乗っていたCX-5とサイズを比べるとこんな感じ。

  • CX-5:全長4,545 mm × 全幅1,840 mm × 全高1,690 mm(2019年12月発売モデル)
  • CX-60:全長 4,740 mm × 全幅 1,890 mm × 全高 1,685 mm

全高は低くなっているけれども、取り回しに影響する全長は+195 mm、全幅も+50 mmと、結構大きくなりました。

購入時は全幅ばかりに気が取られて、「5cmしか大きくなってないし、全然大丈夫っしょ」と思っていたのですが、実際にいつもの道で乗ってみると、全長が20cm近く伸びているのがボディブローのように効いています。

全長が長くなった影響で、駐車場での車庫入れや転回では特に気を遣います。狭い駐車場ではもちろんですが、全然狭くない普通の駐車場でも四隅をかなり気にしないといけないんです。CX-5は見た目の割に取り回しが簡単だったので、個人的には雲泥の差です。まあ、慣れの問題かもしれませんが。

Mirror to Mirrorの全幅はCX-5と同じとのこと
Mirror to Mirrorの全幅はCX-5と同じとのこと

速度調整がやりづらい

僕が購入したCX-60には、「e-SKYACTIV D」というディーゼルマイルドハイブリッドシステムが搭載されています。そのおかげで、一定速度での走行が非常にやりづらい。

CX-60のマイルドハイブリッドシステムは、アクセルを踏んでいない空走時には積極的にエンジンを止め、モーターだけで走って燃費を稼ぐような制御がされています。でも、モーターのみだと加速しないから、アクセルを踏むとエンジンがかかります。

ポイントは、「一定速度で走っているときは、アクセルを踏んだり離したりする操作を、無意識のうちに繰り返している」こと。そのとき、CX-60の挙動としては、〈アクセルを離す → エンジンが止まってモーターのみの走行に切り替わる → アクセルを踏み直す → エンジンがかかって加速〉という工程を何度も踏むことになります。

そして、ここには2つ問題があります。

1つ目の問題は、〈モーターのみ走行時にアクセルを踏み直す → エンジンがかかって加速〉の間に少しラグがある点。

ラグがあるせいで、アクセルを踏み直した直後は十分な加速感が得られない。だから無意識のうちにもっと強く踏んでしまう。それに対し、エンジンがかかった後はアクセル開度に応じたトルクが出る。そのため、アクセルを踏み直して2秒程度のラグの後、一気に加速してしまいます。これが地味に不快で、分かっていても制御するのが難しいのです。

一方、空走時には必ずエンジンが止まってモーターに切り替わるわけではありません。エンジンがかかったまま空走していることもあり、その場合はアクセルを踏み直してもすぐにトルクを得られます。これは普通の車と一緒です。

すなわち、2つ目の問題は、一定速度での走行時、常に「今エンジンがかかっているのか、それともモーターのみで走行しているのか」を把握しておかないといけない点。それに応じて、トルクが得られるまでの時間を勘案した上で、アクセル開度を調整しないといけないんです。これも難しいのですよ。

まあ、「慣れの問題」と言ってしまえばそれだけかもしれませんが、1か月が経っても解決の糸口すら見出すことができません…

減速からの停車が難しい

上の「速度調整がやりづらい」とも関連しますが、こちらは一定速度での走行中ではなく、赤信号などで停車するときのコントロールについてです。

上記のとおり、例えば前方が赤信号になってアクセルから足を離すと、エンジンが止まってモーターのみの走行に切り替わります。その後、ブレーキをかけて減速していきますが、モーター走行のみで停車まで持っていくことができます。

停車の際は、カックンブレーキにならないように、速度がゼロになる瞬間にブレーキを抜きたいんです。でも、CX-60の場合、ブレーキの踏力が一定以下になるとモーターのみの走行がキャンセルされ、エンジンがかかるような制御になっているのです。そして、エンジンがかかるとクリープ現象が発生します。

カックンブレーキにならないようにブレーキを抜きたい。でも抜きすぎるとエンジンがかかってしまい、逆にクリープ現象によって前に進んでしまう。だから、「できるだけカックンにならず、エンジンがかからない範囲内」で、ブレーキを緻密に制御する必要があります。このせめぎ合いがかなり難しい。

1か月が経っても、これもまだマスターできていません。どう調整しても少しカックンブレーキになってしまいます。同乗者や犬には本当に申し訳ない。

変速ショックが大きい

CX-60には新開発のトランスミッションが搭載されていますが、〈1速→2速〉と〈2速→3速〉の変速ショックが大きいのです。

変速に時間がかかっているような印象で、その分トルクが失われている時間が長いので、変速ショックが大きいように感じてしまいます。同乗者が不快に思わないか心配になるほどは大きいです。

後ろのセンサーがバグってた?

遭遇した事象は2種類。

1つは、30km/hくらいで低速走行しているようなシチュエーションで、メーター内に以下のエラーが表示されました。これが納車から1か月の間に7回。

レーダーセンサーが外部からの強い電波を受けて、正しく作動しません。
i-ACTIVSENSE(先進安全・運転支援システム)が正しく作動しない可能性があります。

もう1つは、バックで車庫入れ時に緊急ブレーキがかかる現象が、1か月間で3回ほどありました。後ろを目視しても何もなく、そのまま進んでも全く問題ないようなシチュエーションです。緊急ブレーキがかかると何の前触れもなく急に止まるので、運転手も同乗者もびっくりしてしまいます。

1か月点検の際に、これらの現象をディーラーに報告したところ、「サイドレーダーセンサーのリプログラミング」を実施してもらえました。これで直るはずと言われ、確かにそれ以降は現象に遭遇していないのですが、本当に直ったのかどうか判断するにはもう少し時間が必要かもしれません。

番外編

番外編として、上記の他にCX-60に乗りながら感じたことを共有しておきます。

足硬くなくない?

自動車評論家の方々のレビューとか、巷の評価とかで、「CX-60は足が硬い」と評されることが多いように思います。個人的には、多少硬いとしても取り立てて騒ぐほど硬くないと思うし、少なくとも僕が乗っていたCX-5より乗り心地はいいです。購入前の方はあんまり気にしなくていいと思います。

結構注目を浴びる

街中を走っていると、通行人の注目を集めることもあるし、対向車のCX-5オーナーからガン見されることも少なくありません。まだ見かけるのが珍しいし、Mazdaオーナーにとっては気になる車だからと思っています。

新商品ゆえの荒さを受け入れられるなら、満足度は高い

いろいろ書いてきましたが、総合的には満足度は高いです。つまり、ここまで書いてきた「気になる点」は「いい点」に相殺されて、全体としてプラスになるということ。

まあ、身銭を切って買ったので、そう思わないとやってられないですよ!——というのは冗談としても、楽しく快適に長距離ドライブに出かけることができ、家族との思い出をたくさん作ることができる車であることに間違いはありません。僕はそのために車を所有しているので、必然的に満足度は高くなります。

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しかしながら、「気になる点」に書いたとおり、新商品ゆえの作り込みの荒さはあります。このあたりは、年次改良などで熟成が進めば改善されるはず。もしくは、運転手が慣れれば改善される部分も大きいのかもしれません。

そのため、ある程度の荒さがあっても、CX-60であることに価値を見出すことができるのであれば、購入して全く問題ない完成度になっていると思います。

僕もCX-60を運転していて、「ああ、いい車だなあ」と思う瞬間が何度もあります。それは、上記の「いい点」が身に沁みているということですね。それと比べると「気になる点」を感じる瞬間なんて微々たるものですよ。

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したがって、総評としては「新商品ゆえの荒さを受け入れられるなら、満足度は高い」となります。

何度も言いますが、上記の気になる点は「受け入れがたいほど気になる」のではなく、「気になるけど受け入れられる」という温度感です。もしCX-60を気に入って買いたいのであれば、迷うことなく決断しちゃっていいと思いますよ!

ライフスタイルブロガー

ライフスタイルメディア〈starnote*〉を運営。1988年生まれのミレニアル世代です。薬学の博士号を持っており、仕事をしながら趣味でブログを書いています。

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