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CX-60と暮らす|納車半年、アップデートで乗り心地が変わる稀有な車の現在地

三浦雄介ライフスタイルブロガー

CX-60が納車されて半年が経ちました。走行距離は4,000kmほどで、僕にしては少ない方です。

たぶん普段だったら10,000km近くいってもおかしくなかったけれど、犬を飼い始めたタイミングと重なったので遠出する機会が少なかったのです。

頻度は少ないけれど、いろんなところに行きました。軽井沢、蓼科、静岡、成田、箱根など、高速道路を使って遠出してきました。

CX-60の購入は失敗なのか?

そして、CX-60に関しては、足が硬いとか、トランスミッションの完成度が低いとか、そもそも失敗作とか、ネガティブな話を聞くことが多いように思っています。

オーナーとして思うところは、同意できる話・できない話だけでなく、ソフトウェアアップデートによって改善された問題も数多くある。おそらく皆の期待値が高かったが故に、初期の頃のネガティブな情報が独り歩きしている印象を受けます。

特に、既にソフトウェアアップデートによって改善された部分も、まるで今でも存在している問題のように語られていることが多くて辟易します。

さらっと書いたけれど、CX-60は「ソフトウェアアップデートによって改善されていく、乗り心地が変わっていく」という、かなり稀有な車なのです。

そこで、この記事では、半年間乗って感じた感想をお伝えしつつ、1人のオーナーとして感じる「CX-60の現在地」に迫ってみたいと思います。

ソフトウェアアップデートを適用

先日、CX-60を半年点検に出してきました。通常の半年点検と同時に、4月にアナウンスされたリコールサービスキャンペーンのソフトウェアアップデートを施してもらいました。

対策された内容は公表されているとおりですが、おそらく記載されている内容以外の調整も入っているはず(勝手な想像です)。

注目したいのは太字にした部分で、トランスミッションやエンジンを制御するコンピューターに対してアップデートが入ったことです。

【リコール】

① トランスミッション制御コンピュータにおいて、制御プログラムが不適切なため、変速時やEV走行からのエンジン再始動時に、強めにブレーキを踏むと締結しているクラッチが解放しないことがあります。そのため、エンジン回転が低下し、最悪の場合エンストするおそれがあります。
→ 全車両、トランスミッション制御コンピュータの制御プログラムを対策プログラムに修正します。

② 電力変換装置(インバータ)において、制御プログラムが不適切なため、プッシュボタンスタートをオフした直後にオンするとインバータが起動しないことがあります。そのため、アイドリングストップ後にエンジンが再始動できなくなります。また、バッテリーへの充電が停止するため、充電警告灯が点灯し、最悪の場合エンストするおそれがあります。
→ 全車両、インバータの制御プログラムを対策プログラムに修正します。

③ コンビネーションメータ(フル液晶タイプ)において、制御プログラムが不適切なため、メータの液晶画面を表示するための起動制御が完了できないことがあります。そのため、速度計や警告灯等が表示できないおそれがあります。
→ 全車両、コンビネーションメータの制御プログラムを対策プログラムに修正します。


【サービスキャンペーン】

① ドライバー・パーソナライゼーション・システム搭載車のボディ・コントロール・モジュールにおいて、制御プログラムが不適切なため、プッシュボタンスタートの操作を短時間に繰り返すと、電源ポジションをオフしても省電力モードに移行しないことがあります。そのため、電流が流れ続けることでバッテリーが上がるおそれがあります。
→ 全車両、ボディ・コントロール・モジュールの制御プログラムを対策プログラムに修正します。

② エンジン制御コンピュータにおいて、制御プログラムが不適切なため、定常走行や緩加速時、また停車時に発生するエンジンの回転変動がトランスミッションに伝わり、がたつき音が発生するおそれがあります。
→ 全車両、エンジン制御コンピュータの制御プログラムを対策プログラムに修正します。

③ マイルドハイブリッド用バッテリーにおいて、制御プログラムが不適切なため、低外気温時にエンジンを始動した場合、回路内に流れるリーク電流が減少することにより冷媒回路異常と誤判定するものがあります。そのため、エンジン警告灯及びマスター警告灯が点灯し、メータに「ハイブリッドシステム異常」のメッセージが表示されるおそれがあります。
→ 全車両、マイルドハイブリッド用バッテリーの制御プログラムを対策プログラムに修正します。

ドタバタ感が消えた…!

CX-60については、1か月時点でレビューを書きました。その中で、一般道におけるパワートレインのドタバタ感を指摘しました。大きく以下の2点が気になっていたのです。

① マイルドハイブリッドシステムにおける、走行中のエンジン再始動ラグ
② 低速域の変速ショックが大きい(1速→2速、2速→3速)

これ、①はエンジン、②はトランスミッションの制御に対する問題でした。今回はここにアップデートが入ったわけですね。

その結果、①②の両方ともきれいさっぱり再現することがなくなり、僕がCX-60に感じていたドタバタ感が全て消え去ったのです。「ハードウェアは何も変わっていないのに、ソフトウェアアップデートでこんなに変わるのか!?」と大変びっくりしました。

当初よりすばらしかった高速域におけるフラットライド感が、今回のアップデートによって一般道の速度域にももたらされた感じ。乗り心地めちゃめちゃよくなった。

乗り心地の改善は、リコールとして届け出られた直接の問題ではないかもしれません。でも、仮に副作用だったとしても、ソフトウェアアップデートで乗り心地が改善されるのは大歓迎です。

そして、自分の車がどんどんいい方向、楽しい方向にアップデートされていくのは、なかなか味わうことのできない感覚ですね。

とすると、他に問題はある?

乗り始めた当初から思っているけれど、CX-60は運転していてかなり楽しい車で、その巨体を感じさせないほどのパワーを持っているので、さながら大きなスポーツカーのようなフィーリングを持っています。

そのうえ、上記のようにドタバタ感が消えたので、エンジン走行とモーター走行の切り替わりも全然気にならなくなりました。気づいたらエンジンが止まってモーター走行になっているし、その逆も然り。本当に滑らかになりました。

だから、運転手としてステアリングを握るのはとても楽しいです。とすれば、他に問題はあるでしょうか?

いい点は変わらず

まず、1か月時点のレビューで書いたとおり、以下のような点も今も変わらずいい点だと思っています。慣れとは怖いもので、乗っているうちにそれが当たり前になってくるけれども、いい点であることに間違いはありません。

  • 高速域での安定感
  • クルコンが明らかに進化
  • 加速すごい
  • 内装の高級感
  • パノラマルーフの開放感
  • 燃費も意外といい
  • 見た目がいかついからか、全然煽られない
  • ステアリングが滑らか
  • 半ドアになりにくい

気になる点が消えつつある

一方、1か月時点で気になる点として挙げた6つのうち、「サイズが大きい」以外の5つは解決してしまいました。

  • サイズが大きい
  • 速度調整がやりづらい → 今回のアップデートで解決
  • 減速からの停車が難しい → 今回のアップデートで解決
  • 変速ショックが大きい → 今回のアップデートで解決
  • 後ろのセンサーがバグってた? → 前回のアップデートで解決
  • ドライバー顔認識が使いものにならない → コツを掴んだら成功率100%

サイズは確かに大きくて、今でも扱いに困る場面が多くあります。狭い道は極力避けるようにしているし、仮に通ったとしても当然気を遣います。駐車場も狭くて車が多い区画を避け、遠くに止めたりしています。取り回しは本当に苦労しますが、それを承知の上で購入したのでCX-60のせいじゃない。

また、もうひとつ挙げるとすれば、スポーツカーのようなフィーリングであるが故に、運転手としてステアリングを握るのはとても楽しいのだけれど、同乗者がそれを味わうことができない。だから同乗者とこの車のいい点をあまり享受できていないのは申し訳なく思っています。

このような感じなので、走りに関わるような部分は全く気にならなくなっています。アップデートでここまで解決するのすごすぎない?

これは最高の車なのでは

何度でも言うけれど、運転手としての感覚は「CX-60は大きなスポーツカー」です。確かに脚は固めかもしれないけれど、スポーツカーとして捉えれば全然問題ではありません。

CX-5で不満だった高速走行中の再加速もとてもパワフルだし、もちろん低速からの加速もセンターコンソールに置いたスマホが飛び出すほどの力強さがあります。さらに、一般道でも高速道路でもフラットライド感を味わうことができるし、どんなにきついカーブでも安定している。

ただ、運転が楽しいと思えるのは、僕が乗っているディーゼルハイブリッドモデル特有かもしれません。直列6気筒ディーゼルエンジンとモーターの組み合わせによって、塊感のあるパワートレインになっているんです。

先日ディーラーでPHEVモデルに乗せてもらいましたが、確かにEVの滑らかさはあって、それはとても魅力的だった。けれども、直6ディーゼルにモーターを組み合わせた楽しさはありませんでした。

同乗者は運転の楽しさを味わうことができないけれど、フラットライド感は共有することができるし、Premium Modernの豪華な内装も満足できるものであるはず。

かけ縫いが施されたダッシュボードや、ナッパレザーの白いシート、メープルウッドの内装パネルなどは、遠出することに対するテンションを大きく上げてくれることでしょう。

また、こんなにいい車が550万円くらい(諸費用・オプション込みで乗り出し600万円程度)で買えるのも家計に優しいです。ライバルとなるBMWやレクサスで買おうと思ったらもっと高いですからね。

そして何より、万が一事故に巻き込まれたときも安心です。大きい車ゆえの衝突安全性はもちろんのこと、予防安全システムも年を追うごとに進化しています。大切な家族を乗せる車だからこそ、大きくて新しい車を買う意義があると思います。

ライフスタイルブロガー

ライフスタイルメディア〈starnote*〉を運営。1988年生まれのミレニアル世代です。薬学の博士号を持っており、仕事をしながら趣味でブログを書いています。

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